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*「一千一秒の日々」 島本理生島本 理生 大学生の男女を主人公に、生真面目で不器用な恋模様を描いた連作短篇集。 ある短篇では主人公であった登場人物が、別の短篇では脇として出てきたりして、短篇ごとに舞台上にいる人物のひとりにスポットライトがあたり、他の役者は物語の背景へと存在を薄くする。 *「ナラタージュ」島本 理生 静かに切なさが注がれていく。注がれた切なさが満ちていく。満ちた切なさが激しく波打つ。想いを寄せ合うふたりが選んだ結末とは。繰り返し甦る愛の記憶と痛みの中で続く、終わらないラブストーリー。 島本作品は「リトル・バイ・リトル」に次いで2作目。 この人の文章は読んでいて、違和感なくすとんと心の内に落ちてくるので心地良い。 ここでも主人公は淡々とした第三者的視点を持つ。そこに冷たい感触はなくて、だからといって温かいわけではないが、まるで繊細な観察者といったものを主人公の言葉から感じる。痛みの痛点を鈍くするための自己防衛でもあるのか。物語の場の空気に淡く潜む切ない匂い。が、誰だって心が波立つことはあるものだ。心情が表に激しく吐露される時、彼女の想いが、そこにある哀しさや切なさがより強い印象で顔を覗かせる。 *「リトル・バイ・リトル」 島本理生島本理生 目に映る風景、肌に受ける風、周りには自分以外の他人がいて、いつも何かしら感じたり、考えたり、ただぼ〜っとしていたり。言葉を口にすることもあるけれど、言葉は音にならず、自分の中でどこへか向って漂っていることもある。 島本理生の文章を読みながら思った。 なんだろうこの感覚は? 言葉の息遣い、そんな言葉が浮んだ。 息を吸い、息を吐き、時々大きく深呼吸して、ある時はちょっと溜息もつく。主人公ふみの言葉の息遣いに、知らず知らず自分の呼吸が重なっていくようで、いつの間にかほんとに自然にこの小説の世界に溶け込んでいた。 | 1/1PAGES |
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