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*「面影小町伝」 米村 圭伍米村さんの作品を読んで感じるのは、人の心によぎるわびしさや哀感を、ユーモアで優しく包み込む、ほっこりした温かさだ。思うにまかせないこともある。けれど恨みを深くしたり、諦めて世を拗ねるよりは、吹く風に身を任せ飄々と慎ましく生きる。そこへめだか姫のような活き活きとしたキャラが登場し、悪い奴らを懲らしめるという痛快活劇に大喝采なのである。笑いの中に描かれるお色気も突き抜けて明るい。 これまで読んだ作品から受けた印象を書いてみたが、今回の作品は出だしからちょっと違った雰囲気で始まった。弥生三月、雛の節句の宴の艶やかさは、紀州秦栖(はたす)藩を揺るがすお家の一大事へと発展するのである。いきなりのシリアスな展開に意表を突かれる。 時を経てお江戸を賑わす評判の小町娘笹森お仙とは誰あろう、あのお仙ちゃんなのだ。とはいっても『風流冷飯伝』や『退屈姫君』シリーズを読んでいない方にはとんとわからぬことで相すみませぬ。機会があればどうぞご一読のほどを。 谷中の茶汲み娘・お仙は徐福の仙薬で色白美人に大変身。途端に評判の「小町娘」になって、錦絵にも描かれる始末。実はくノ一のお仙、人気が出ては困るのだ。ところが浅草にも美女・お藤が現れ、なんと二人の、幕府もひっくり返る大因縁が明らかになる。小町ブームに沸く江戸の町で伝説の秘剣が邪気を放ち、田沼の陰謀が渦巻く。お色気百倍の大江戸三部作完結編。 * 「おんみつ蜜姫」 米村圭伍おんみつ蜜姫 米村 圭伍 藍花とはツユクサの古名。この小さな花を紋所とする豊後温水藩の末娘蜜姫が、凛々しい若武者姿に身をやつし、大活躍するのがこのお話。物語には天下を騒がせた天一坊事件や尾張徳川家の暗躍まで絡み、姫の旅は天下の一大事になるやもしれない大騒動へと向っていくのだ。 そもそもは参勤交代で領国に戻っていた父の藩主、乙梨利重が、野駆けの折に刺客に狙われたことから始まる。この時は蜜姫のおかげで難を逃れたものの、二万五千石の弱小藩の藩主を暗殺?と合点がいかない姫に問い質され、利重が明かしたのは同じ二万五千石の風見藩との合併話だった。蜜姫が嫁ぐことまで決まっているという。婚儀を機に両藩を合併しようというのだ。そうはいっても地方の弱小藩が勝手に合併できようはずもない。が、利重にはなにやら秘策があるらしい。 おてんばをとおり越して暴れ姫とまでいわれる蜜姫のこと、藩を出奔し自ら探索の旅に出ることとあいなるのだった。 *「退屈姫君 恋に燃える」米村 圭伍 退屈姫君めだか姫が活躍する好評(私の中では大好評につき早く続編希望)シリーズ第三弾。 頃は秋。 秋に鳴くのはなにも秋虫に限ったことにあらず、めだか姫の退屈の虫が早くも騒ぎ出した様子。今度の姫の退屈しのぎは恋。それも身分違いの燃えるような恋だという。 姫、それはいくらなんでも不味いのでは。だっていまだに姫とは呼ばれているものの、あなた様はもはや人の妻。いくら弱小とはいえ、風見藩藩主時羽直重のれっきとした正室なのだから、いくら夫が国許にいて不在とはいえ、恋とは由々しきこと! *「退屈姫君 海を渡る」米村 圭伍 退屈姫君、めだか姫が活躍するシリーズ第二弾。 『退屈姫君伝』で風見藩二万五千石の藩主、時羽直重のもとへ嫁いだめだか姫だったが、夫は参勤交代で国許へ帰って不在。 残された姫はといえば、いつもの台詞が口を突いて出る。 「ああ、このままでは退屈で死んでしまいそう」 そんなところへくノ一お仙が天下の一大事の報を持ってやってくる。 天下の一大事と聞いて「すてきすてき」と嬉しがるめだか姫だが。 *「風流冷飯伝」米村 圭伍 米村圭伍の退屈姫君シリーズは、現在3作目の『退屈姫君恋に燃える』まで出ている。2作目からは文庫書下ろしとなった人気シリーズだ。 1作目の『退屈姫君伝』を読み、この小説が持つなんともいえないのほほんとした、それでいて味わいのある雰囲気にすっかり嵌ってしまった。そうとなれば一刻も早く続きを読みたいと気持ちが急く。さっそく他の2冊を購入、いざめだか姫の待つお江戸へ参ろうと読み始めたら、いきなり出鼻を挫かれることになる。 『退屈姫君伝』のめだか姫が嫁いだ先というのが、四国は讃岐にある小藩風見藩なのだが、著者自らシリーズ2作目の本文中において、『退屈姫君伝』、『風流冷飯伝』も合わせて読むと、さらに一層楽しめると書いているではないか。 『退屈姫君伝』は読了済である。が、『風流冷飯伝』は未読。このまま読んでしまおうか、著者お勧めの順番に従おうか。 結局、著者の言葉に従って今回取り上げる『風流冷飯伝』を先に読んだ。 本書に辿り着くまでの事の成り行きを長々と書いたのも、これから米村作品を読んでみようかと考える方が、“さらに一層楽しめる”ようにと願ってのことだ。 『風流冷飯伝』、『退屈姫君伝』と順にいくのがベストだが、逆でも構わない。シリーズ1作目を読んで、もしこのシリーズがお気に召した時は、次に行く前に『風流冷飯伝』を読んでみるとよいと思う。 まずは本書の舞台となるのは四国は讃岐にある、二万五千石の吹けば飛ぶような小藩風見藩だ。そこへ江戸から幇間(タイコモチ)の一八がやってくる。一八は『退屈姫君伝』に登場したお仙の兄で、四国に行ったきりの一八の事の顛末をこの作品で知ることができる。またシリーズでお馴染の江戸お庭番の倉地政之助もここからの登場だ。 風見藩には男は城を左回りに、女は城を右回りに回るという習わしがあった。そんなこととはつゆ知らず、城を右回りに回って歩いていた一八は、すぐに余所者と知れてしまうのだ。 *「退屈姫君伝」米村 圭伍 磐内藩五十五万石の末娘めだか姫は、「めだか、喜べ、婚儀じゃ。嫁入りじゃ」という父君西条綱道の言葉に、誰ぞ上の姉姫君の婚儀が決まったかと喜ぶのだが、その姫君とはなんと自分のことだった。 このめだか姫、十七になるというのにかなりのお転婆で、各藩の若君姫君の出来不出来を調査する秘密諜報組織の位付けでは、「極々大凶」と最下位。 一体どんな姫さまなのかと思うだろうが、好奇心旺盛で天真爛漫、美貌のめだか姫がとても魅力的なキャラクターなのだ。明るくのほほんとしながらも、先頭切って突き進んでいく、こんな素敵なお姫さまっているだろうか。 | 1/1PAGES |
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