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*「宵山万華鏡」 森見登美彦本を手に取ってみると、動かすたびに角度によってキラキラと光ってみせる。 これは面白いと、迷わず買う。 7月の夜をともに過ごすはずだった。気がつけばキラキラと雪が光るいまは冬。 そんなこともあるさ。 祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。 *「恋文の技術」 森見登美彦最後に手紙を書いたのはいつだろう。誰に宛てて書いた手紙だったか。 手紙を書くのは好きだった。夥しい数の手紙を書いた。一度に何枚も書いた。時に便箋も封筒も手作り、素材に趣向を凝らしイラストも入れる。熱狂的な手紙の時代だ。“白ヤギさんではないのですから、読まずに書くのはやめてください”、文通武者修行に励む本書の主人公守田の森見氏を叱る言葉が耳に痛い。 どうしてあんなに夢中になったのだろう。 忘れていた手紙の楽しさを思い出させてくれた1冊だ。 そこかしこに炸裂するモリミーワールド的オモチロさも堪能できます。 京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。 *「美女と竹林」 森見登美彦語るのみならず、友人明石氏を無理矢理誘い出し、編集部の面々を伴い、伸び放題好き放題気儘勝ってにやってる竹林に秩序をもたらすべく、労力を捧げる森見氏なのである。 これって所謂エッセイなのだよね? 美女に会ったら伝えてくれ。俺は嫁を大事にする男だと。妄想と執筆に明け暮れた、多忙にして過酷な日々。森見登美彦氏を支えてくれたのは、竹林であった。美女ではないのが、どうにも遺憾である。虚実いりまぜて、タケノコと一緒に煮込んだ、人気文士の随筆集。 *「有頂天家族」 森見登美彦有頂天家族 森見 登美彦 幻冬舎 (2007/9/25) 京都の街を闊歩しているのは、天然黒髪乙女や男汁溢れる妄想男子大学生ら、人間達ばかりではないらしい。 《かくも毛深き家族愛!!》 毛深いのはちょっと苦手である。天然純毛100パーセントのモコモコとした手触り肌触り。想像するとなんて、なんて……、かわいいのだろう!両腕に収めてぎゅっとしたくなる。寒いこれからの季節にはなおのことだ。温まるには純毛毛玉とお鍋が一番。 とはいえ、いくら食べちゃいたいくらいかわいいと思っても私は食べませんよ、毛玉達を。私はね。ならば誰が食べるのかというと、金曜倶楽部という怪しき集団がなのだ。彼らの忘年会のお鍋のメイン具材は狸。そう昔話にもよく登場する狸だ。物語の主人公は毛深き狸達、愛らしい毛玉達なのである。 糺の森に住む狸の名門下鴨家は、父・総一郎が鍋にされあっけなく命を落とすという出来事があり、母と四兄弟が残される。宝塚の男装の麗人に憧れるおっとりした母、生真面目だが融通が利かなく土壇場に弱い長兄・矢一郎、まったくやる気をみせない次兄・矢二郎は蛙に姿を変えたまま井戸暮らし、度胸はあるが楽天主義で面倒を起こしてばかりの三男・矢三郎、怖がりで化けてもすぐに尻尾を出してしまう末弟・矢四郎。 下鴨家の宿敵である夷川家との狸の名誉賭けた争いに、狸界のみならず、天狗界、人間界をも巻き込んだ三つ巴の化かし合い、騙し合いが繰り広げられる。毛深き家族愛の行き着くところは愛か涙か。 モリミ〜ワールド炸裂で最後の一行までいと楽し!いと可笑し! *「【新釈】走れメロス 他四篇」 森見登美彦新釈 走れメロス 他四篇 森見 登美彦 名の知れた古典短篇を森見さんが書くとどうなるのか、というのが一番の楽しみだった。読んでみての感想はというと、笑い先行ではなく、いつもの持ち味を生かしながら、情感ある余韻が残る作品が多かった。 原作を読んでこちらを読む。こちらを読んで原作を紐解く。どちらが先でもよいが、たぶん両方読んでみるのが一番よいのだろうと思う。とはいえ、それを抜きにしても異なる作品の風味を楽しめるのでは、と思った。 *「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦京の都を偶然を装いながら、思いを寄せる黒髪の乙女を追って恋の成就に奮闘する男子大学生と、夜の街を、古本市を、秋の学園祭を、風邪の猛威に静まる師走の街をと、二足歩行ロボットのステップ踏み踏み闊歩する、天然黒髪乙女の物語。 とにかく面白かった!期待の上の上、頭上数センチ上をいっている。 *「きつねのはなし」 森見登美彦京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は―。端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。 *「四畳半神話大系」 森見登美彦四畳半神話大系 森見 登美彦 右に行こうか、左に行こうか。パンにしようか、ご飯にしようか、はたまた猫ラーメンにしようか。目の前にあるいくつかの選択肢からひとつを選ばなくてはいけない場面というのは、人生において多々あることだ。 人生、それが昼時のメニューを決めるという一見重みのない選択であっても、後々に大きな影響を及ぼすことだって在り得なくはない。いま在る自分は枝分かれした道を、これと選んで歩いてきた結果でもある。でも、もしもあの時別の選択をしていたら、いまとは違う自分がいたのだろうか。 「四畳半神話大系」は人がふと思う“もしもあの時”を、森見さんらしく妄想爆笑風に描いてみせた作品だ。 大学三回生の春までの二年間を思い返してみて、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。―『太陽の塔』(第十五回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)から一年。無意味で楽しい毎日じゃないですか。何が不満なんです?再びトンチキな大学生の妄想が京都の街を駆け巡る。 *「太陽の塔」 森見登美彦太陽の塔 森見 登美彦 この文庫は買ってからずっと積読本になっていたのだが、あっちこっち、そっちこっちの本ブログを周遊してみれば、いたるところで“太陽の塔”が立ち始めているではないか。この現象はいったいなんであろう。謎を解明すべく本を紐解くのであった。 ところがである。最初の何ページかを読んだだけというのに、もう気分的には2,3歩後ろへ体勢が引いていた。いっそこのまま後退してしまおうかと思ったほどだ。 私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 | 1/1PAGES |
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