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*「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ天国はまだ遠く 瀬尾 まいこ 本の感想を書こうと思い、さてどう書き出そうかなどと考えていたら、どういうわけだか『水戸黄門』の主題歌が頭の中で鳴り出した。そうだそうだ人生には楽な時もあるし、苦しい時もあるものだ。楽な時は楽なのだからまずはいいとして、どっちを見ても自分の見ている風景が苦一色の単色だったら、辛い気持ちであるには違いない。 主人公の千鶴が旅に出たのはそんな心境の時である。ある決意を持って旅に出るのだ。 ところが千鶴の気持ちとは裏腹に、物語の始めのほうで深刻な決意はあっけなく頓挫してしまう。事の実行には効果はなかったが、14錠の睡眠薬は深い眠りと爽快な目覚めには大いに役に立った。死ぬつもりがたっぷり寝てすっきりと目覚める。この脱力した展開は瀬尾さんらしい。 仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。 *「幸福な食卓」 瀬尾まいこ幸福な食卓 瀬尾 まいこ 家族という単位を普段はとくに意識することもない。あまりに自然であたりまえのことのように思っているから。ところが、 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」 いつも家族が顔を揃える朝の食卓で、本の主人公佐和子の父は、父親を辞める意志を伝えるのである。 お〜、出だしから意表を突く驚きの展開だ。 *「優しい音楽」 瀬尾まいこ優しい音楽 瀬尾 まいこ 受けとめきれない現実。止まってしまった時間―。だけど少しだけ、がんばればいい。きっとまた、スタートできる。家族、恋人たちの温かなつながりが心にまっすぐ届いて、じんとしみわたる。軽やかな希望に満ちた3編を収録。 (「BOOK」データベースより) とても読み易い文章であったし、作品全体が醸し出す雰囲気も柔らかく、さほど時間もかからずにサクサクと1冊読めてしまった。 まあるく丸まった猫の綿毛が、肌の上を転がっていくような感触である。ふわふわとして心地良いような気もするが、読み終わった後の印象は薄い。あれ、これだけ?という喰い足りなさが残った作品でもある。 3つの短篇の感想を少し。 | 1/1PAGES |
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