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*「包帯クラブ」

包帯クラブ The Bandage Club
天童 荒太 The Bandage Club

“傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした……。”
天童荒太6年ぶりの書き下ろし長編小説ということで読んでみた。
この本、本屋に行くとたくさん平積みにされて置かれている。手に取っては迷い、どうしようかと買う決断がつかずにいたら、先月だったろうか、ちょうどTV『王様のブランチ』本のコーナーで作者の特集があった。
長身でなかなかハンサムな風貌、語り口は柔らかい。その外見的印象からは想像もできないほど、創作に対する姿勢はストイックかつマニアック。『永遠の仔』の創作ノートを埋め尽くした文字、物語を構築する緻密な作業にはしばし唖然。やっぱりこの人の本は読んでみなくてはと思い、即購入して読んだという次第。
「包帯クラブ」に話は戻る。

目に見える外的な傷には包帯が巻かれる。
ならば目に見えない心の傷に包帯を巻く方法はあるのか。

ふとした出会いをきっかけに、<傷>の原因となった場所に包帯を巻くことによって、癒されたと感じた主人公のワラ。
彼女は外の景色と、心のなかの風景とは繋がっていると直感する。
癒しの魔法は友達から友達へ口コミで広がり、ホームページを通じてさらに町中に浸透していくのだが…
この「包帯クラブ」を結成したのはワラ、タンシオ、リスキ、ギモとディノの十代の少女少年たち。5人は<傷>に包帯を巻いていく。町の風景に点在する白い包帯。それは癒された<傷>の象徴だった。風景に広がっていく白い包帯。美しくもあり、逆に恐さめいたものも感じる情景だ。
<傷>に包帯を巻いていく、それは癒しになるという、ある種の宗教めいた高揚感、連帯感に包まれる彼ら。物語はハイスピードで少年少女たちをジェットコースターの頂上まで運んでいくが、その先に待ち受けていたのは反動作用だった。

物語の途中で挿入されるギモやリスキたちの報告は、「包帯クラブ」のその後の彼らの姿を語る形になっている。
日常見えない、見過ごしてしまう、気づかない振りをしている、痛みに目を逸らし蓋をしている<傷>を顕在化し、姿を与えられた<傷>に包帯を巻くという行動は共同幻想のようでもあるけど、「包帯クラブ」があったからこそと思える幾多の報告で語られる彼らの未来の姿に、読後感は爽やかだった。
どこに向って叫べばよいのかわからない理不尽な状況や、人の痛みに共感し、書かずにはいられない作者の思いが感じられる作品であるように思った。
「永遠の仔」を読んだ時のような圧倒される物凄さはないけれど、現代社会の無情に情という希望の光が薄く射すようなちょっとした感動を味わうことができた作品。
| ■た行の作家■ | 22:36 | comments(8) | trackbacks(7) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんにちは!
こちらでは初めまして(*^-^*)
コメントとTBをありがとうございました。
「王様のブランチ」、東京にいた頃は大好きで毎週見ていたのですが、
三重に越してから放映されないことを知り愕然としました。
今でも続いているんですね!ああー懐かしいです(>_<)

彼らのその後が途中途中に挿入されているのがさらに
良い効果を出していますよね。
若さゆえの行動だったと止めてしまわなかったことが
きっと若い世代に意味を持たせるのかな、と思います。
じんわり沁みた作品でした。

また伺いますね。これからよろしくお願いいたします。
| リサ | 2006/04/14 10:21 AM |
雪芽さん、どうも。
コメント、TBありがとうございました。
外見を気にするA型の自分としては、何度か気になってはいても、買うまでにはいたりませんでした。
そんな時、回覧されてきて、しっかりはまった本です。
読み終わったあと、ポワッと、暖かみを感じました。
オレにもこんな時代があったような・・・!?
今は全身傷まみれで、包帯巻いたら誰だかわからない位です(笑)
| juzji | 2006/04/14 11:58 AM |
リサさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
「王様のブランチ」の本のコーナーはチェックポイントでしょうか。たまに作家のインタビューがあったり。あとは映画の紹介が楽しみなんです。
仕事のある時は観れないのが残念ですけど。
でも、北海道は放送が午前中だけ、午後は何をやっているんだろう〜?

おばさんパワーも凄いですが、自分のことか(笑)、若さゆえの勢いって時に凄いパワーを生むものですよね。
ただ、この物語が一時の情熱だけの行動という一過性に終わらず、彼らのいく先、未来を描いてみせてところに作者のメッセージがあるんでしょうね。
ひとり取り残された形になってしまった女の子の疎外感もわかるし、そんなこんなを過ごした10代の疼くような痛みも思い起こさせる本でした。

はい、私もまた伺いますのでよろしくお付き合い下さいね。
| 雪芽 | 2006/04/15 12:04 AM |
juzjiさん、こんばんは。
A型ではないですが、若者への作者からのメッセージという気がして、買うのに躊躇しました。大概平気なのに。
回覧本だったのですね。
そういうのもいいですね、食わず嫌いというか、読まず嫌いな分野の本を読んで新鮮な出会いがあるかもしれません。

>今は全身傷まみれで、包帯巻いたら誰だかわからない位です(笑)
すみません、ミイラ男を想像して思わず笑いが出てしまいました^^;
あちこち擦り傷、切り傷、打ち身をこしらえて、それでも朝が来て、さあ、今日も行こうかって、そんな毎日でしょうかね。
包帯男の休息、ほっと出来る時間に、もしよければまた遊びにいらして頂けると嬉しいです。
| 雪芽 | 2006/04/15 12:05 AM |
雪芽さん、はじめまして。
touch3442と申します。
リサさんのブログを経由して、雪芽さんのブログにたどりつきました。
『包帯クラブ』ステキな作品ですね。
「格差社会」だ、「勝ち組、負け組」だなんて、得意げに叫んでいる連中には、ワラやディーノの爪の垢を煎じて飲ませてやりたくなります。
雪芽さんの読まれた本のリストを拝見していると、ぼくの好みと重なる部分がありますので、またお邪魔させていただきます。
TBもさせていただきました。
| touch3442 | 2006/04/29 8:40 PM |
touch3442さん、こんばんは!
TB、コメントありがとうございます。
勝ち組、負け組という言葉はよく聞きますね。
二極化できるほど単純ではないといつも思うのですが。
ともに痛みだってあるでしょうに。

本の好みが重なりますか?
それは嬉しい!
これからもいろんな本のお話が出来ればと思います。
どうぞよろしくお願いします。
| 雪芽 | 2006/05/01 12:47 AM |
こんばんは。とっても心温まる物語でしたね。読了後、私はいろんなものに包帯を巻きたくなっている自分に気がついてちょっと楽しい気分になれました。
| KORO | 2006/05/29 12:10 AM |
KOROさん、はじめまして!
TBとコメントありがとうございます。
包帯を巻くというのは意表を突かれました。
KOROさんは包帯巻きたくなっちゃいましたか(笑)
たまにはこんな温かな話もいいかなって思いますね。
| 雪芽 | 2006/05/30 1:00 AM |

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| みおの部屋 | 2007/07/26 10:25 AM |
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