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*「春期限定いちごタルト事件」 米澤穂信

○○限定という言葉には弱い。限られた時間、限られた場所、特定の条件においてしか得ることのできないという希少価値性が、潜在意識にある優越感をくすぐる。
<アリス>の春期限定いちごタルトが、小佐内さんにとってその年のその春しか食べることのできない、だからこそ特別なタルトであったように、小鳩くんと小佐内さんふたりにとっての高校一年生の春もまた、二度と味わうことのできない春期限定期間でもあるということか。
この本は「小市民」を目指す小鳩くんと小佐内さんが、小市民たらんと努力する日々の物語であり、高校生の日常に起きるささやかな出来事を綴る青春小説風本格推理小説であり、登場するスイーツの描写にせつなく喉が鳴る話でもある。

プロローグに続く5つの短篇、エピローグから成り立つ。短篇はそれぞれに独立した話として読めるが、全体でひとつの長編物語として読めるよう構成されている。
事件はありふれた日常に潜む。事件と書くのも憚られるような出来事を上手く推理のネタにしてしまう。“おいしいココアの作り方”なんてその最たるものだ。普通なら誰も気に留めないないようなことに端を発し、喧々諤々と推理を述べ合う登場人物達。飛び交う会話の中で、会話に登場しない小鳩くんの友人堂島健吾のキャラ立てまでなっているなど上手い。最後の思わず笑えるオチも鮮やかだった。

主人公の小鳩常悟朗はなんでもつい推理してみたくなる推理癖を持つが、いまはそんな小賢しい知恵はみせず、小市民を目指そうと心に決めている高校1年生の男の子。彼と互恵関係にあるが依存関係にない小佐内ゆきも同じ高校の1年生。小動物のイメージを持つ地味な印象の彼女は、甘い食べ物を語る時だけ真に嬉しそうな顔をみせる。
ふたりはお互いを逃げる口実に使うという共通の了解事項があった。小市民を目指そうとするふたりの過去とは。この過去の姿については読むにつれて少しずつ見えてくる。『狐』と『狼』、『狼』と『狐』。ふたつの動物に例えられるふたりの本性とはいかなるものか。
<アリス>の春期限定いちごタルトがこんなふうにストーリーの展開に係るとは、と驚く結末が待っている。
もっと驚くのは、続きを書きたいところだがネタばらしになるので止めておく。最初は高校生が主人公の軽い推理物かと思って読み始めたが、どうやらそれだけではないようだ。続きが楽しみな作品だ。

《5月3日読了》
| 米澤穂信 | 15:45 | comments(4) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんは。
実は、「他の方のブログを見ていて…」というのは、他ならぬ雪芽さんのブログなんですよ。
ただ、この表紙のイラスト、可愛らしすぎて、ちょっぴり小左内さんのイメージとは違うような気がしないでもありませんが。
ぼくからも、TBさせていただきました。
| touch3442 | 2006/05/17 9:46 PM |
え、ここのブログのことだったんですか?
読むきっかけになったとしたら嬉しいです。

表紙の小佐内さんにだまされるんですよね。
可愛い、か弱い女の子って思って読んでいると……
大仕掛けじゃない日常にある推理の妙を楽しんだ本でした。

| 雪芽 | 2006/05/18 9:08 PM |
こんにちは。
雪芽さんのレビューを見て、この本を手に取りました。
話のテンポもちょうど良くて、難しいことは考えずに気軽に楽しめました。
続く「夏季限定〜」はこれから読むので、そちらも楽しみです。
| 空穂 | 2006/05/19 1:02 AM |
空穂さん、こんばんは。
私の感想に目を止めて頂いて読むきっかけになったなんて、
とても嬉しい言葉です。ありがとうございます。
難しいことを考えずに楽しめる本ですよね。
キャラも面白いし、意外や意外な展開もあるしで。
続編のほうはもっとビックリしますよ。
いまちょうど読んでいる最中でしょうか。
こちらからもTBさせて頂きました。
| 雪芽 | 2006/05/21 1:01 AM |

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