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*「藩校早春賦」

藩校早春賦
宮本 昌孝
時は江戸時代後期、東海地方の三万石の小藩に藩校が設立されることになった。その藩校の剣術教授方を決める御前試合、藩校建設中に連続して起きた事故の謎、小事に見えた出来事の裏には、藩を揺るがす陰謀の大事が隠されていた。
徒組三十石の筧家三男新吾、同じく徒組三十石で子沢山の花山家の長男太郎佐衛門、ふたりとは身分違いながら固い友情で結ばれる馬廻組百二十石曽根仙之助ら少年達が、大人達の権力闘争の渦に巻き込まれながらも、互いの友情を育み成長していく姿を爽やかに描く時代青春小説。

なんて清々しいことだろう。なんとその正義感の熱きことだろう。まったくもって面白い三人組なのだ。三人寄ればなんとかというが、三人が集まるところ明朗な笑いが溢れている。階級や立場の違いを超え深まる友情、そこに描かれているのはまさに青春そのものの姿だ。三者三様の性格設定も話の中で上手く生かされている。

三者三様といえば筧家の三兄弟も然り。俊英な長男、気はよいが何事にも適当なところがみられる次男、これといったところがなく中庸をいく三男新吾。
でもこの新吾という男、怖れを知らず突き進む、不器用なまでの峻烈な正義感を持ち合わせている奴なのだ。こんなふうにまっすぐに物事にぶつかっていければ、でもそうは簡単にいかない場所に身を置く我が身の、成せない事への羨望も込めて快哉を叫びたくなる。

無防備な心のまま己が身を挺するこの若者の行動と心情を、理解し温かく見守る周りの大人達もまた多種多様、それぞれになにかと曰く有り気な人物だったりするところが、さらに物語を面白くしている。

出番は少ないが登場人物中私が一番好きなのは、新吾の一番上の兄精一郎。その才気から将来を嘱望されているこの男は、長兄としても、藩に身を置く武士としても、責任と分を充分にわきまえ、新吾を鏡とすれば対極にあるような静謐さを佇まいに持つ。でも、決して朴念仁の堅物でないのが知れるのは、新吾が隣に住む幼馴染の志保から、姉の真沙のことを相談されたある出来事によってだった。
やる時はやる男はいつの世もかっこいい。

(5月14日読了)
| 歴史・時代小説 | 21:30 | comments(2) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、おはようございます。
レビューを読ませていただいて、そうそう、精一郎もいい味出しているなあと、改めて思いました。
ただ、新吾にはかなり煙ったい存在でしょうね。
また、次男・助次郎のぐーたらぶりも、徹底していて感心します。実は剣をとったら、○○流の達人なんてことであれば、ありがちなヒーローものの登場人物なのですが、彼に限っていえばそんなことはなさそうですね。
TBさせていただきました。
| touch3442 | 2006/05/21 11:20 AM |
touch3442さん、こんばんは!
助次郎ですが、彼に限ってそれはないでしょうね(笑)
あのへこたれない呑気さも、どこかで生かされることがあるかもしれません。
TB、コメントありがとうございました。
| 雪芽 | 2006/05/21 8:54 PM |

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『藩校早春賦』宮本昌孝著(集英社文庫)
舞台は東海地方のある小藩、多分、浜松あたり。主人公は、家禄三十石という徒組の三男坊、筧新吾。彼と二人の親友とを軸に織りなす青春小説。
| 生きることにも心急き、感ずることも急がるる… | 2006/05/21 11:11 AM |
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