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*「夏雲あがれ」

夏雲あがれ(上)夏雲あがれ(下)
夏雲あがれ(上)夏雲あがれ(下)
宮本昌孝
前作『藩校早春賦』から七年、十代半ばの少年だった新吾、太郎左、仙之助の三人にも旅立ちの時が訪れようとしていた。

太郎左は将軍家台覧による武術大会に推挙されたため江戸へ、仙之助も藩主江戸参勤のお供衆に選ばれ国許を後にし、ひとり取り残された思いの新吾だが、やはり切っても切れない友情で結ばれた三人のこと、あることから新吾も藩命を受け江戸へ向うことになる。その先に待ち受けていたのは、前作からずっと燻り続けている藩主吉長の叔父蟠竜公の陰謀だった。
お家騒動に絡み、藩内にあっても誰が敵か味方五里霧中の状態、ここのところの探り合いの面白さ。表紙のほのぼのさ加減からは想像もつかない迫力ある剣戟シーン。隠密組織「白十組」の暗躍などもある。そこへもってきて新吾達の友情や親子の情愛が、読み手の緊張した心をふっと緩ませる。時代小説に欠かせない要素が上手く織り合わさって、読み出すと止まらなくなる。

新吾、太郎左、仙之助の三人もいつまでも十五、六の少年のようにはいられない。仙之助は家督を継いで藩に出仕もしている。太郎左にしても長兄としての責任をこれから先担うことになる。三男でどこぞに養子の口でもかからなければ家の厄介者である身の新吾は、自分の処遇が定まらない不安を抱えている。
大人になればなるほど、置かれた立場の違いは大きくなる。武士にとって大事なのは藩。藩が第一であるべきなのだが、三人は互いを案じながら、友情を第一として果敢に行動を起こしていく。
友情を重んじる彼らに共通するのは、人への情かもしれない。であるからこの陰謀に立ち向かう時の彼らを動かすのは、藩へというより敬愛する藩主吉長に向けられる、人としての情が作り出した正義感なのかと思える。吉長が三人に向けて言った「藩主としてではなく、人として」という言葉は、彼らの思いに充分応えるものだったのではないだろうか。

夏の空を仰ぎ見るように、晴れ晴れと青く突き抜けて爽快な心楽しい物語だった。おかげで毎日寝不足が重なり、寝起きの頭の重さは爽快感からは程遠かろうが、「藩校早春賦」、「夏雲あがれ」と続けて読んで感じたのは清々しさに他ならない。

続きはあるのだろうか。なかなか進展しない幼馴染の志保との恋は、新吾ためにもこの次こそはと期待しよう(笑)
それにしてもよく笑い、よく泣く三人の若者だことと、変なところに感心してしまった。

(5月19日読了)
| 歴史・時代小説 | 23:52 | comments(4) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

おはようございます。
『夏雲あがれ』にも、TBさせていただきました。
雪芽さんのおっしゃるように、新吾たちを突き動かしているのは、藩主・吉長に対する敬愛の念なのでしょうね。
鉢谷十太夫をはじめとする他の登場人物も、もちろん、吉長に対して深い情愛を感じているでしょうが、それでも最終的には藩主よりも藩の存続の方が大事という、リアリストの一面を持ち合わせているような気がします。
それだけに余計、新吾たちの純粋さが際立っているように思えます。
宮本さんには、是非とも、続編を書いて欲しいですね。
| touch3442 | 2006/05/21 11:35 AM |
こんばんは。
こちらにもコメントありがとうございます。

脇を固める大人達は若者達を温かく見守りつつ、現実を踏まえた人物として描かれている。だからこそおしゃっるように新吾達の純粋さが際立つのでしょうね。
ほんとそうだなって思います。
こうしてコメント頂くと、内容への理解がさらに深まり嬉しいです。
藩主を社長に、藩を会社に置き換えてみると現代に通じる部分もありますね。
この本はとても面白かったので、ぜひ彼らのその後を読みたいものです。
| 雪芽 | 2006/05/21 9:23 PM |
雪芽さん こんにちは。

「藩校早春賦」「夏雲あがれ」と読んで雪芽さんが寝不足になった気持ちがよく分かりました。
読み始めると止まらなくなります。
親子、兄弟,師弟、同志などの様々な関係の愛情が心地よく感じられるのは時代小説だからでしょうか。
「愛する人たちを守りたい」その気持だけで動く純粋で一途な
新吾に誰かさんの姿を重ね合わせて読んでいたのは私だけでしょうね。(笑)
| りょう | 2006/05/27 3:53 PM |
もう両方とも読んだんですか!?
りょうさん読むの早〜い。
でも、読み出したら止まらなくなるでしょ
人間関係があったかくていいんですよね。
新吾の純粋な一途さ、読みながら私もりょうさんと
同じこと考えてたんですよ〜
考えることは一緒ですね、やっぱり(笑)




| 雪芽 | 2006/05/28 8:42 PM |

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『夏雲あがれ』宮本昌孝著(集英社文庫)
『藩校早春賦』の続編。藩校が設立された5年後、二十歳を越えた、筧新吾、花山太郎左衛門、曽根仙之助たちの物語。
| 生きることにも心急き、感ずることも急がるる… | 2006/05/21 11:23 AM |
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