本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「ゲド戦記輝討箸寮錣ぁ ル=グウィン

ゲド戦記 1 影との戦い
ゲド戦記 1 影との戦い
当初ゲド戦記シリーズは3巻までしか出ていなかった。少年期の自己との戦いから、世界の均衡を取り戻すために地の果てまで旅をする大賢人のゲドまでを描き、この物語は完結する。読者は手にした3冊の中で語られた物語がすべてだと思っていた。
ところが作者は18年もたってから4巻目をこの世に送り、さらに11年を経た2001年に5巻目と外伝にあたる6巻目が出版された。
続きがあったの!?
驚きとともに現在のゲド戦記シリーズ6巻はある。

ゲド戦記シリーズの気蓮岷討箸寮錣ぁ
少年は自分に不思議な力が備わっているのを知る。
大小様々な島からなる多島海諸地域アースシーの世界では、魔法使いやまじない師の存在は普通のことだった。
しかし、ハイタカと呼ばれるゲドの力は他より抜きん出ていた。

歪んだ自尊心。慢心。虚栄心。
ゲドの才気は間違った方向へ彼を導いていく。
取り返しがつかないほど大きな間違いへと。
ゲドがこの世に呼び出してしまった影の正体とは。

物語は少年だったゲドの心の色が驕慢、不安感と怖れ、決意と覚悟へと移ろいながら、魔法使いとして成長していく様子をテンポよく描く。一人の少年が自己と戦う姿を描いたこの作品、派手な展開はないがエピソードの数々は読んで面白く、思わず引き込まれる。また、誰もが持つだろうゲドの心理的葛藤が痛いほどに感じられる。
最初の師オジオン、魔法学院の教師達、魔法使いとしての先達である彼らの言葉が意味するところは深い。ある意味禅問答。
孤独の淵にあるゲドに向けられた友人カラスノエンドウが示す友情、オジオンの懐の深い愛に、読んでいるとちょっと涙が滲む。
この世界ではどんなものにも真の名がある。真の名を知ることは重要なことだった。最後にゲドが叫んだ名、そこで起きたことに感動する。
再読ではあるけど、こんなに面白い話だったんだと改めて思った。

ここから先は読んだことのある人向け感想

孤軍奮闘
タイトルに戦いとあるが、戦いに臨むのはたった独り。ゲドが独り負わなければならない孤独な戦いだ。自己との戦いなのだ。
ゲドが偉大なる力を持つ者であることが、戦いをより苛酷なものにする。援軍を請えない独りの戦いなのに、負ければ世界の均衡を揺るがしかねない。自分だけのことなら「や〜めた」と投げ出すことも出来るだろうけど、この責任の重さたるや。ああ、ゲドは辛い。

宇宙の均衡
魔法を使う者にとって大切なのが均衡ということ。
3学院の章で手わざの長がゲドに言う言葉が好きだった。
「石は石でまたいいものじゃ」
「石は石のままにおくことじゃ」
あるがままの姿を肯定し愛しむようなこの長の言葉は深い。
ロー・トーニングでゲドが猩紅熱に罹った子どもの命を、無理にこの世に繋ぎ止めようとしなかったのも、薬草の長の言葉があったためだ。
「黄泉の国に向わんとするものには手を下さぬこと」
魔法があればなんでも出来ると考えたくなるが、思いのほかこの物語に出てくる魔法使い達は慎重なのがわかる。それは均衡をなにより尊重するからだ。『指輪物語』のガンダルフだって無闇に魔法は使わなかった。魔法でちょいちょいと敵を倒す、それはファンタジーではなくて漫画の世界だ。

カラスノエンドウとオジオン
カラスノエンドウが故郷に帰るため、別れを告げにゲドの部屋を訪れる。最初から彼はいい奴だった。後に再会した時も相変わらずいい奴だったけど、この時のカラスノエンドウは最高の友だった。自分の真の名を明かすなんて、しかも相手は同じ魔法使い。
このシーンは正直目が潤みましたね。知らずゲドの不安と恐怖、孤独に感情移入しながら読んでいたのか、いっきに温かな風が吹き込んできたように思えたもの。
オジオンはゲドの最初の師。寡黙なこの方はほんとうにゲドがどうしようもなく困った状況にある時、行く道を示してくれる光のような人。
二人に限らず、学院の大賢人や長達も若いゲドを見守ってくれていた。糸の切れた凧のようなゲドだけが、その心に気づけなかっただけなんだ。

ゲドと影
オジオンの言葉に従い、追われるものから追うものになったゲド。
ゲドと影が同時に同じ言葉を発する。
光と影、自分と影がひとつになるこのシーンは感動だった。
自分のことは自分ではわからないとはよくいわれること。だからか自分探しの旅なんて流行ったりしたことがある。
ゲドは長い苦難の旅の果て、影とひとつになった。自分を知ることはそれほどに大変なことなのかもしれない。

(2006年6月17日再読)
| A・K・ル・グゥイン | 21:58 | comments(4) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんわ〜
TBありがとうございました。
ってお礼に伺ったら、2巻のレビューも発見(笑)
2巻分、合わせてTBさせていただきますので、よろしくお願いします。(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪

この本のレビュー、実はわくわくして待ってました。
随分前にお話したかも〜、ですけど(笑)。

それにしても、鋭い洞察をなさってますね。
客観的かつ真実を突いている、というか。
自分は違った側面に目がいってしまって、
あるがままに存在することが肯定されている、ことにまで
気がつけなかったのかもって思います。
確かに、心に余裕がなかったからこそ、ゲドは人の心の優しさに気がつけなかったのかも知れません。

それにしても、この作家さんの描写力と言い、
雪芽さんの冴えたレビューと言い、いつもながらに脱帽
です〜(笑)
オオーw(*゜o゜*)w
| littleapple | 2006/06/20 11:08 PM |
littleappleさん、こんばんは〜
そうでした、ゲドのことお話したのはだいぶ前ですね。
ル・グィンの本について感想を書くのは難しい。
頭を捻り、言葉を捻り出しやっとです。
その割りにずいぶんな長さで、読んで頂ける方には申し訳ないことだと^^;
斜め読みして充分かと思いますが(笑)
物語に散りばめられている思想が奥深くて、考え出せばきりがない。
そこはさらっと読んで作品世界を楽しむのも一興ですが。

私は再度littleappleさんのレビューを読んで、
“受容”という言葉にすごく納得させられました。
そうだ、この言葉なんだって。

TBもありがとうございます♪
| 雪芽 | 2006/06/21 9:52 PM |
こんばんは(*´∇`*)
雫@伊VS豪戦観戦中です。
ゲド戦記、いつ読み始めるのか自分でも謎ですが
とても楽しみにしています。
もしかして深く読み込むには原書だけでなく邦訳
も必要じゃないかと思っています。
いづれにしても物語を楽しむことが大切なので
それを優先しようと思っています。

それにしても雪芽さんの記事はいつもワクワクします!!
すぐにでも読みたくなりますが、まだ他の本があるので
我慢です〜。
| | 2006/06/27 1:52 AM |
こんばんは、雫さん。
観てますね〜W杯。
私もちょこちょこチャンネル合わせてますよ。
日本は残念な結果でしたけどね。

ゲド戦記を原書で読むのは難しそう^^;
読み比べてみるのもいいかもしれませんね。
あと4冊。映画の公開までに読めるかどうか。

ワクワクと読んで頂けるなんて嬉しいです!
雫さんのお手元には「空色勾玉」もあるんでしたね。
待ち遠しく感じる楽しみがたくさんあるっていいです♪
| 雪芽 | 2006/06/27 9:49 PM |

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影との戦い ゲド戦記1
SFの女王アーシュラ・K. ル・グウィンさんが書いたこの作品 スタジオジブリが映画化を決めたハイ・ファンタジーである いわゆる正統派のこの物語。 主人公は、魔法使いのゲド 彼の通称はハイタカ ときに、若さとは自
| 備 忘 録 | 2006/06/20 10:57 PM |
「ゲド戦記〜影との戦い〜」ル=グウィン
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| 読書とジャンプ | 2006/08/06 5:24 PM |
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