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*「剣客商売・一 剣客商売」 池波正太郎

剣客商売
剣客商売
池波 正太郎
ついに足を踏み入れてしまったか。
剣客商売シリーズは池波正太郎の人気シリーズ。元々はこのシリーズを読む予定ではなかった。同じ作家の『真田太平記』のほうに興味があって、本屋に行くたび手に取っては買いあぐねることを繰り返しているうちに、気づいてみれば買っていたのは「剣客商売」だったという経緯である。
このシリーズ、TVドラマとして放送されていたのは知っているが、観たことがない。親子の剣術使いが出てくる話という程度の予備知識はあったものの、読んだ方の評判もすこぶるいいし、期待にわくわくしながら剣客商売シリーズへ足を踏み入れた。

田沼意次の権勢はなやかりし頃の江戸。長らく剣術の道を歩み、現在は孫ほども年の離れたおはると悠々自適の楽隠居生活を送る老人秋山小兵衛と、その息である大治郎。この秋山父子の活躍と彼らを取り巻く人々を描く。第一弾に収められているのは7つの短篇。
女武芸者/剣の誓約/芸者変転/井関道場・四天王
雨の鈴鹿川/まゆ墨の金ちゃん/御老中毒殺
短篇としては一話完結、秋山父子の物語としては時間が経過して話が進展していくようになっている。だからやはり順番に追って読んでいくのがいいようだ。
対照的な父子だ。
父小兵衛は60歳。過去には剣客としての名も上げているらしいが、飄々といたって呑気に、20歳のおはるとの暮らしを楽しんでいる様子。なにするわけでもないのに暮らし向きは悪くない。顔も広いようだしと、ちょっとした疑問が湧く。この爺さま、実は只者ではないのかもしれない。いや、一体何者だ!?
一方の大治郎は道場を持つ身なれど、弟子はまだひとりもおらず、朝夕に根深汁(ねぎの味噌汁)と漬物の質素な食事をする暮らしぶり。この点でも父とは大違い。
“女武芸者”の冒頭、大治郎が根深汁で夕餉を取る描写がある。ここで見せる大治郎の食へ向う時の無邪気さと、あとに父のところで茶菓子を食べる場面、これは巧い。それにいかにも美味しそう。二つの描写から生活には貧しても、心は貧さず、人として卑しさのない大治郎の人となりが伝わってくる。ただ若造の生真面目さゆえ、父のように融通無碍とはいかない。
暮らしぶりも性格も対極にあるようなふたりだ。

武功を立てることで立身出世が見込めた戦国の世と違い、太平の世に剣で身を立てることは難しい。大治郎、道場持ちとはいえ、いつも閑古鳥が鳴いているようでは身も立たない。では同じ剣で身を立てた父は?小兵衛のところに転がり込んでくる金子の出所がおいおいわかってくる。そこに剣客商売の名たる所以があるのだが。

「剣客というものは、好むと好まざるとにかかわらず、勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ」
剣客の道に足を踏み入れ生きることの重みを一番わかっている父小兵衛の言葉がずしりとくる。

剣客として世を渡り、剣だけではない老練な才知を見せる小兵衛だが、さすがに息子の大事を知った時は心中穏やかではない。剣客としての非情を口にしつつ、情に流れる親としての行動。そんな自分の行動を自嘲気味に見る小兵衛がよい。この小兵衛が時おり見せるてらいや自嘲する姿が、案外かわいいのだ。

短篇のひとつひとつに味わいがある。とくに印象に残るのは剣の誓約とまゆ墨の金ちゃん。どちらも剣客の最期を描いた作品だった。
この先田沼意次の娘三冬が秋山父子にどう係ってくるのかも気になるところ。
いや〜、面白いな〜、剣客商売!

(2006年7月4日読了)
| 池波正太郎 | 21:21 | comments(2) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんは!
読み始められたのですね〜(*^-^*)
私もわくわくと紐解いた時のことが思い起こされました。
どんどん面白くなるので楽しいですよ〜。
ゆっくりペースですが、年内読破を目指している私です。
また雪芽さんの感想楽しみにしていますね。

TBさせていただきました。
| リサ | 2006/07/08 12:25 AM |
はい、リサさん読み始めてしまいましたよ〜
いっきに読んでしまいたくなるけど、
私も急がず楽しみながら読みたいと思います。
| 雪芽 | 2006/07/08 8:44 PM |

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『剣客商売』池波正太郎
剣客商売池波 正太郎新潮文庫2002-09by G-Tools 勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き
| ひなたでゆるり | 2006/07/08 12:23 AM |
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