本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
ネタバレもあるので未読の方はご注意ください
<< July 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
RECOMMEND

 極北ラプソディ 

  
読んだり観たり
雪芽さんの読書メーター 雪芽の最近読んだ本 雪芽さんの鑑賞メーター 雪芽の最近観たビデオ
読みたい!聴きたい♪
Blog散歩道
今年読んだ本
将棋○名人戦・順位戦●
≡ SPONSORED ≡
<< 「お縫い子テルミー」 栗田有起 | main | 「剣客商売・二 辻斬り」 池波正太郎 >>

*スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | | |

*「くろねこのうた」 田中隆尚

くろねこのうた
くろねこのうた
田中 隆尚
ネコ語を解し、ネコの喧嘩からネコ山の事情まで、ネコの風俗習慣に深く通じる一人暮らしの老教授と、奇しき因縁で結ばれたクロネコとの、美しく哀しい愛の物語。
(本の帯より)


作者略歴。大正7年、山口県の長府町に生まれ、斉藤茂吉に師事、帝大卒業後は群馬の大学でドイツ語を講じる。雑誌『ももんが』を創刊、編集人となる。歌人、随筆家としての著作もある。
本書は作者の体験によるところが大きい。全編猫ずくしといってよいほどに、猫と人間、猫と猫の、日常が仔細に描写されている。詳しくはあるが、猫の生態をつぶさに観察し記するという、観察日記風ではない。そこには老教授と猫との交流が“会話”をもって描かれているからだ。
老教授は猫と会話をするのだ。これを猫好きな人間の一方的な思い込みと解釈して読んではつまらない。
老教授は一人暮らしなので、講義などで不在の間黒猫クックの餌など、世話をしてくれる人が必要になる。そこで家を造作して猫のバアチャを迎え入れ、猫好きのバアチャが連れてきた猫達も加わり、猫だらけな日々が賑やかに過ぎていくのだ。
猫は生き物である。新しい命の誕生もあれば、老いや病気、やがては死も巡ってくる。

老教授は田中という姓である。父は田中隆といった。隆氏は大正7年、来日していた中国の政治家孫文氏に経済的支援をし、日中友好の証として蓮の実4粒を贈られる。後にこの蓮の実を大賀博士が発芽育成させた。兄弟姉妹の最後の存命者であった息子の老教授が、蓮の実を携え、中国の青島で行なわれる青島と下関の友好記念行事に赴くことになる。
クックの病状が芳しくない。そんな折の旅行に老教授の心は揺れる。

最後の章、補陀落渡海(ふだらくとかい)は、老教授とクックの深い繋がりを強く感じさせる展開となっている。西方浄土を目指して海へ漕ぎ出す補陀落渡海。老教授がクックに話して聞かせた夜話とリンクして、哀しく愛おしい心情が行間を漂う。

文章は、行きませう、いふ、さう、というように現代では使われない言葉遣いなので、少し読み難いかもしれない。
今日は天気もいいし、図書館で『ハミザベス』を借りることが当初の目的だったけど、思わぬ出会いがあってよかった。

(2006年7月8日読了)
| ■た行の作家■ | 20:38 | comments(0) | trackbacks(0) | | |

*スポンサーサイト

| - | 20:38 | - | - | | |

♯ コメント

♯ コメントする









コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。


♯ この記事のトラックバックURL

♯ トラックバック

ABOUT
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
TRACKBACK
ありがとうございます
COMMENTS
ありがとうございます
LINKS
MOBILE
qrcode
OTHERS