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*「ハミザベス」 栗田有起

ハミザベス
ハミザベス
栗田 有起
「お縫い子テルミー」がことのほか気に入ったので、他の作品も読んでみようかということで図書館から借りてきた。第26回すばる文学賞受賞の表題作「ハミザベス」と「豆姉妹」の2編収録。

ありふれた日常とは少しだけ離れたところにいる登場人物達。はたからみると家庭環境もその身に起こることも、いくらか深刻で突拍子もないことと思える。それを作者は軽快なリズムを刻む文章で、明るい笑いとともに描いていく。だからありえないような設定も、読んでいて不快な気持ちにも、どんよりと暗く重量をもってこちら側にのしかかってくることもない。その点では構えることなくすんなり読める作品。

「ハミザベス」は更年期障害を向えた母の梅子と娘のまちるが、死んだと思っていた父から突然遺産を受けるところから始まる話。
「豆姉妹」は双子のようによく似た年の離れた姉妹の話。
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栗田流とでもいうのだろうか、この作者の書く会話部分は特徴的だ。登場人物達の間をポンポンポンと行き交う会話、会話だけが並ぶ。背景描写も人物描写も一切ない会話なんだけど、会話から表情までが想像される。けっこうシビアなことが話題でも、なぜか笑えてしまう不思議な魅力がある。

「ハミザベス」はまちるの両親が別れるに至る顛末がなんとも驚きだ。人が寝るのには畳一帖ほどもあれば事足りる。でもこの畳一帖という大きさが笑うに笑えないような、笑えないとは思いつつ滑稽な面白味を醸し出してしまう。これは衝撃的事実をちょっと引き気味ながら、それでもなんなく受け入れてしまう感覚が登場人物達にあるからなのかと思う。

「豆姉妹」での突出した設定は、肛門科の看護士からSMの女王への転身とアフロヘアーだろう。なんでそうなるんだと唖然としながらも、登場人物達にしてみれば至極真面目な選択なのだ。外から見えるものの異質さと内面にあるまっとうさのギャップに、笑いと物悲しさを感じたが、この作者の小説は読後感がさらりとして気持ちよい。

(2006年7月15日読了)
| ■か行の作家■ | 23:23 | comments(4) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんにちわ。
>衝撃的事実をちょっと引き気味ながら、それでもなんなく受け入れてしまう感覚が登場人物達にある

その辺がすごく独特の面白みを醸し出してるって、私もそう思います。
読みながら私も、その世界に引き込まれてしまい、同じように受け入れてしまっていて、はっとしたりしました。
「豆姉妹」の3人が、大真面目にちゃぶ台を囲んでるところを想像すると、今でもおかしくなります。
| june | 2006/07/19 12:51 PM |
juneさん、こんばんは。
ちゃぶ台でね〜、豆姉妹じゃなくて豆姉妹弟並んで、
どんな顔して喋ってるのかって思うと笑いが。
個人的にちゃぶ台が好きでもありますし(笑)
栗田さんはあと2冊くらい本が出ているんですよね?
どんな方向へ向っていくのか興味あります。
| 雪芽 | 2006/07/20 10:00 PM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
「豆姉妹」の3人の会話が延々と続くあたりがとっても素敵でした。
この3人、弟は血のつながりがないはずなのに、絶対に何かシンクロしている!と思いましたね。
そうそう、畳一帖って「タヌキ」のことですよね〜。
ということは、まちるの父とあかつきさんはタヌキ一族?と勝手にコメディに走ってみたりして・・・(笑)。
| 水無月・R | 2008/08/27 11:20 PM |
水無月・Rさん、こんばんは。
「豆姉妹」というネーミングが素敵です。
弟がひとり増えて、男なんだけど姉妹で無問題なキャラでした。
3人の会話もよかったですね。
タヌキ一族というと、モリミーの毛深き兄弟が浮びますが、もしや豆姉妹と親戚?な〜んて(笑)
| 雪芽 | 2008/08/29 6:10 PM |

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ハミザベス
ハミザベス 栗田有起 「お縫い子テルミー」と「ABARE・DAICO」がよかったので、かなり期待して手にとったのですが、ちょっとがっくりしました。 「ハミザベス」の方が、あまりにもあっけないラストだったのです。何か重要なことを読み落としたのでは?
| 本のある生活 | 2006/07/19 12:53 PM |
レビュー「ハミザベス」 栗田有起(第26回すばる文学賞)
「ハミザベス」   栗田有起 集英社文庫 (2005/7/20) 0000(4、1)  二十歳になる私の前に、急死した父親の愛人(本人曰く愛人ではなく師弟関係の弟子と名乗る私と同じ年の女性)が現れ、遺産はいりませんとだけ言って、我が家を後にした。  
| BLOG MYSTERY NOVELS | 2006/08/19 3:55 AM |
『ハミザべス』・栗田有起 ○
栗田有起さんは、『オテル・モル』や『お縫い子テルミ―』の作家さんです。水無月・R的に好みが微妙にずれるというか・・・「だから、何?」なんですね。 で、この『ハミザべス』、2つの物語からなっていてですね。この2つが、私にはまったく逆の反応を引き起こしたん
| 蒼のほとりで書に溺れ。 | 2008/08/27 11:15 PM |
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