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サブリエル 冥界の扉
ガース・ニクス

3部作からなる古王国記シリーズ1作目にあたるのが「サブリエル 冥界の扉」だ。
“ダークファンタジーの最高傑作がついに待望の文庫化!”
本の帯にあるダークファンタジーという言葉に読む気がそそられた。ファンタジーには光も闇も、生も死も、憎悪や嫉妬心だって多く描かれるのに、なにゆえ敢えてダークなわけ?もしかすると主人公が相当腹黒いとか暗〜い奴なのか。
たぶんその理由は作品世界を支配する闇とうごめく死霊達にあるのだろう。

魔術が盛んであり、また死霊が徘徊し冥界の門が常に開かれている古王国と、『壁』を挟んで存在するアンセルスティエール、このふたつが物語りの舞台。
5歳の頃からアンセルスティエールの寄宿舎学校で過ごしたサブリエルは、行方不明となった父のアブホーセンを探すため、『壁』を越え古王国に入る。
サブリエルの父アブホーセンはチャーター魔術師であり、人々が恐れるネクロマンサーだった。ただ彼女の父は他のネクロマンサーとは違い、死者甦らせるのではなく死者を眠らせ冥界へ送る。
冥界は第一門から始まり、いくつかの門を経て最終門の先は完全な死が待っている。最終門をくぐらず、冥界に蠢き、果ては現世界へと姿を現す死霊。それが大死霊ともなれば事は重大だ。
サブリエルは父を探し出せるのか。古王国でなにが起こっているのか。
ゾンビとかスプラッタはあまり好みじゃない。ヌルヌル、ドロドロとした感触を想像させるものはどうもねと思う。この作品にはおぞましい姿形をした輩が無数出てくる。好みに反している。とはいえ、読むのにさほど気にならなかったのは、ストーリー展開にスピード感があって淀みがないことと、出てくるキャラクターの面白さがあったからだろうか。
サブリエルという少女が、魔術師としてアブホーセンという歴代の名を継ぎ、敵と対峙するまでを描く成長物語であり、その過程では少女が初めて経験する恋も描いて恋愛要素もある。ファンタジーにはつきものの旅もあれば旅を供にする風変わりな白猫と、長い眠りから醒めた謎の男チャーターストーンの存在もある。行方不明となった魔術師の父と、そのことに関係しているのか古王国で起きている異変の謎を巡るミステリー部分。父と娘、親子の情愛もさりげないがきっちりと描かれている。クライマックスへ向けて増す緊張感。最大にして最強の敵も気味悪くおぞましいこと。いろんな要素を含んだファンタジーらしい作品だと思った。

アブホーセンという役割がもたらす使命に対して父がそうであったように、サブリエルも忠実でなければならないということ。なにをおいても優先させなければならないということ。使命を受け入れ成長していく少女というのが物語の中心にある。サブリエルは18歳という設定だ。幼い頃からチャーター魔術を学んできたという自信家でもある。自信はあってもまだ未熟な部分は隠せない。戸惑いも生まれる。だけど決してメソメソしない。クールな主人公だ。

果たすべき使命が優先される、ずっと父もそうだった。彼はチャーター魔術師であり、ネクロマンサーであり、アブホーセンなのだから。そんなアブホーセンが父としての愛情を示すシーンが何ヶ所かある。直接言葉として伝えたシーンもよかった。それよりも好きなのが、冥界で歴代の何十人ものアブホーセンに混じっていた父のアブホーセンが、最後の瞬間娘の手にそっと触れる。父の万感の思いが伝わる印象深いシーンだった。
父のアブホーセンは出番は少ない。少ないながらも齢を重ねた渋さと威厳に満ちて、燻し銀の味を出している。実に素敵なのだ。

親子の愛情もあれば、ラブロマンスもちゃんと描かれている。
サブリエルとチャーターストーン。互いが相手を異性として感じていく心情の変化、恋愛はこの物語においては主要な部分ではないけれど大事な要素だ。ふたりにはそれぞれやり遂げなければいけないことがある。受け継いだアブホーセンとしての使命。過去の記憶に立ち向かい未来へ進むこと。でも、誰かを必要とする気持ちは、命懸けの局面に望む時だからこそ強く意識されることになる。
チャーターストーンはおとぼけキャラのようでいて、あら意外や意外な力をみせたり、でも実はという驚きのキャラ。なんだけど、なんとな〜く頼りないと思えるのは、最初の印象が印象なだけに。

サブリエルが古王国で出合った白猫、これが謎だ。3部作のどこかでもう少し詳しいことがわかるのだろうか。

「サブリエル」は最近文庫になったばかり。あとの2作品は文庫になるんだろうか。単行本がこれまたビックリするほどお高い。図書館には3部作のうち2番目の作品だけ蔵書にないときている。なんで2部がない!続きが気になるが買うのもね。悩むところだな。

(2006年7月21日読了)
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