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*「水の時計」 初野 晴

初野 晴
角川書店
¥ 660
(2005-08-25)

「生きているのか?それとも死んでいるのか?この女」

それは南丘聖隷病院の一室で、心電図、人工呼吸器、栄養補給のチューブに繋がれた葉月と出合って、高村昴が最初に口にした言葉だった。
医学的に脳死と判定されながら奇跡のように生き続け、月明かりの夜にだけ特殊な装置を使って言葉を話す少女葉月。
暴走族ルート・ゼロの幹部高村昴は、一千万円という報酬と引き換えにある仕事を引き受ける。
月明かりによって目覚める葉月が望んだことは、自分の臓器をひとつずつ、移植を希望する相手に分け与えていくということ。臓器をタイムリミット内に届けることが昴に課せられた仕事だった。

物語冒頭にはオスカー・ワイルドの「幸福の王子」の要約がある。
つばめは王子の像の願いで、像を飾る宝石を貧しい人のもとへ運ぶのだが、最後には王子の像も打ち捨てられつばめも死んでしまうという話だ。
ストーリー的にはこのワイルドの有名な童話をベースにしている。

オムニバス形式で各章ごと、角膜、腎臓、心臓などの臓器とそれを必要とする個人、家族の姿が、臓器移植の問題、家族の問題、ホスピスなど、命あるものなら誰しも逃れることの出来ない生と死、病い、そこで揺れる想いを通して静かに描き出されていく。

昴と葉月の関係も最後に解き明かされることになる。臓器を運ぶのがなぜ昴なのか。ここにある想いがせつない。
生きることも死ぬことも叶わない葉月。
生ある彼女が最後に見た風景、これが明らかにされた時のイメージは強烈だ。読み手はそこに何を感じるだろう。循環していく命、その頂点にあるのは必ずしも人間ではない。

この本は、人間の根源にある問題を真摯に見つめながら、月明かりに浮ぶ風景のように陰影を帯びた美しい現代の寓話となっている。
読み進み、後半にいくほど引き込まれた。

第22回横溝正史ミステリー大賞受賞作
| ■は行の作家■ | 10:38 | comments(7) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

bananaです。banana。bananaですからね(しつこいね〜)
お引越しおめでとうございます。

「水の時計」読みました。
人の死に対する考え方がこの本を読んで、ちょっと変わった気がします。
「あたえるじゆうと、あたえないじゆう。もらうじゆうともらわないじゆう」この言葉が心に残りました。実際にはこの本の中で活きる言葉なんでしょうけど・・・
葉月という少女がせつないですね。
その生き方を思うと切なくて涙が出てしまいます。

私って、しばらく現実に戻れない人なんで・・・
今度は、「月の裏側」って本読んでみたいと思います。
が、その前に買った上下巻読んでからにします。

漫画も大好きなんで、楽しみです。
| banana | 2005/09/11 11:42 AM |
bananaさん、いらっしゃい!ありがとうございます。
もう、そんなに何回も言ってくれちゃって、わかってますよ(笑)
「水の時計」読んだんですね。
現代社会の一部分を象徴するような暴力と、また別な意味で数多くの問題を抱えている臓器移植という、現代的なふたつの面が、ファンタジックな世界で溶け合っている。
好きな文章かといえば違うけど、惹きつけられる独特の雰囲気があって、読んだ後のほうが考えることの多い作品です。

上下巻、作者が書く世界にハマれるかどうかなんですよね。好きな人はすごく好きになる作者なんです。

漫画好きですよ〜
萩尾さんのを読み直しているので、感想も書いてみたいと思っています。
| 雪芽 | 2005/09/11 4:49 PM |
雪芽さん、コメントありがとうございました。
萩尾さんですね。望都さん!
「地球(テラ)へ」好きでしたね〜

昔、最も好きだったのは、庄司陽子の「生徒諸君!」です。
嫁入り道具として大切に持ってきましたから〜
子供に絶対に読ませようと思ってね。熱い奴でしょ?(笑)

映画も大好きなんで、その感想も楽しみです。
今最も見たい映画、ラッセルクロウの「シンデレラマン」。
「チョコレート工場の秘密」って、今ジョニー・ディップがやってる「チャーリーとチョコレート工場」の映画と同じなのかな?
| banana | 2005/09/11 9:17 PM |
banana さん、「地球(テラ)へ」は竹宮恵子さんですね。
萩尾さん、竹宮さんともにSFも描いてますね。
竹宮さん「天馬の血族」、「イズァローン伝説」もよかったなぁ。名作、問題作「風と木の詩」は衝撃的でしたけどね。
「生徒諸君!」も読みましたよ。好き、好き。

映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作は「チョコレート工場の秘密」です。観たいなぁ。
映画の感想も少しずつ書いていきますので、またお越し下さいませ。
| 雪芽 | 2005/09/11 11:20 PM |
(^^;
そうでした。竹宮さんでしたね。(^^;
相変わらずボケボケですみません。

やっぱり、原作ですか?!
私も観たいです。
| banana | 2005/09/12 11:46 PM |
こんばんわ。
過去記事に失礼いたします。
とっても共感したので、カキコしたくなりました^^;
皆様のブログを見て知った作品で、気になって読んだのですが、素晴らしかったです。
葉月と昴の関係が分かったときは本当に切なかったです。
SFのような設定ですけど「幸福の王子」のように純粋に人を救いたいという想いが強くあって、昴もその気持ちをちゃんと分かっていて。
見事でした。
初野作品、他にもちょこちょこ読んでいるのですが、他の作品も素敵ですよ☆
機会がありましたら是非。
| 苗坊 | 2009/10/09 11:46 PM |
苗坊さん、こんばんは。
過去記事へも大歓迎ですよっ!
共感して頂いたという言葉がとっても嬉しいです。
難しい問題を扱っているけれど、ストーリー設定が美しくて、葉月と昴の関係のせつなさと相まって感動でした。
初野さんの他の作品も読まれているんですね。
素敵とお薦めあらば読んでみたくなります。
いずれきっと。
| 雪芽 | 2009/10/12 5:04 PM |

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