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*「図書館内乱」 有川 浩

有川 浩
メディアワークス
¥ 1,680
(2006-09-11)

『図書館戦争』(感想)に続くシリーズ第二弾。
前作では図書館の自由、読む側の自由を守る為の、図書館隊と良化特務機関との戦闘も辞さない対立構造を軸に、敵に(敢えて敵と書こう)立ち向かっていく図書館員達を描き、敵見方がはっきり分かれて判りやすい構図だった。なにより図書館と戦争という突拍子もない設定にも、ずいぶん度肝を抜かれたものだ。

2作目においても相変わらず良化特務機関との抗争という状況は変わりなく存在するが、突拍子もないことでも既知の世界には慣れてくるから衝撃度は下がる。慣れって恐ろしいな。非日常だったことをあたり前のように感じてしまう、精神的耐性が出来てしまうんだから。

この作品が創り出す世界全体に、ありえない!と突っ込み入れつつのめり込んだのが前作とすれば、章ごとに小さな驚き多発だったのが今回の内乱。内乱という言葉が示すとおり、外部との対立ではなく、内部にある微妙な考え方の違いが明らかにされる。
まさに敵は内にあり!な展開が待っている。油断大敵だ。
図書館内部に存在する派閥間には軋轢も生じるし、そこには当然のことながらパワーゲームが持ち込まれる。ほんと油断ならない。色恋沙汰、兄弟間の確執、巧妙に張り巡らされた罠が郁達を絡め取ろうと待ち受けている。
少年犯罪の実名報道という、現代の社会問題にリンクする深刻なテーマも提起されている。その時、図書館は何を守るべきなのか。どこまで公平性を保てるのか。

と、ここまで全体の感想を真面目に(の、つもり。なんか眉間にシワが……)書いてきたが、実のところあまりに可笑しくて夜中に何度も吹き出してしまった。ズバズバと切り込んでいく会話の面白さは前作同様であり、個性の強い面々故の掛け合いを、思い切り楽しみつつ笑わせてもらった。皆自分の役割分担をハズさずきっちりこなしてくれているから、安心してノッていける。

今回は脇キャラの小牧、柴崎、手塚にも1章ずつ光を当て、彼らが持つ背景や内面を描いている。本書の最後が“……To be continued.”とあるから、第3弾へ続くシリーズ化を想定しての展開なのだろう。
個々のエピソードに後々そこから展開していきそうな芽を孕ませているところからも、先々どういう具合に繋がっていくのか想像を巡らせてみたくなる。

少し個別に感想を。
2章“恋の障害”に登場するのが中澤毬江という少女。小牧の実家の近所に住む女の子で、幼い頃から見知った関係なのだけど、思いましたね、笑う正論小牧は王子様らしい王子様だなってことを。
それならば王子様らしくない王子様はどうなのか、その御仁についてはまた後で書こう。
精神的にも肉体的にもボロボロになろうとも、守るべき人を守ろうとする姿が男前に感じた。それにしても1対50なんて酷いじゃないのよ。
小牧が毬江に薦めた本「レインツリーの国」が、実際本になって出版されるという。これまでの作者の作風とは異なる青春恋愛小説だそうだ。

郁と同室の柴崎。美人で如才ないが実は相当な毒舌家でもある彼女。前作から情報収集能力の凄さを発揮して驚かせていたが、現在の柴崎がいかにして形成されたかが描かれている。読んでこういうことだったのかと納得しつつ、柴崎の鉄壁のガードが郁によって揺らいでいるのが感じられた今回だった。

恐るべし手塚兄、慧。
でも、う〜ん、いけ好かない奴だ。負けるな弟、光。
この先慧はいろんな展開に絡んできそうなので要注意人物になりそうだ。図書館内乱の最小形が兄と弟の間にある。

自分に本を取り戻してくれた王子様への憧れから図書館勤務、それも戦闘職種配属を希望した郁。それだけでも充分に乙女の純情な設定で、読みながら恥ずかしさを覚えるのだが、今回郁と堂上の遣り取りを読んでいると、さらに乙女心仕様度が増して、むず痒いような感触にくすぐられるのだ。
当人たちは認めたくないかもしれないが、はたから見ている人間達のほうが、二人の気持ちをよくわかっている気がする。もっと素直になればいいのに二人とも。
それにね、郁が窮地に立たされた時にはいつも堂上が颯爽と、時には憮然とだけど、現れるんですよ。なんだこの展開は!(もう開き直って楽しんでしまおう)
ぶっきらぼう、堅物、熱血、生真面目な堂上が示す郁への愛情表現は、堂上からするとそれは部下への無骨な労いと言いたいかもしれないが、意外とスキンシップありなのだ。堂上が何か落ち込む郁の頭をクシャクチャと撫でる度、むず痒さが湧き上がってくる感じだ。次回作で再会の時の二人にも期待するとしよう。たとえもっともっとむず痒さが増したとしても、そこもこのシリーズのお約束であるから。

今回、無謀ともいえる郁の熱さが事の突破口となった時もあった。きっと郁はこの先も常識を穿つ風穴となって、図書館隊に風を送り込むことだろう。

(2006年9月27日読了)
| 有川 浩 | 22:42 | comments(12) | trackbacks(12) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんは。
今回もなかなか楽しませてもらいました。
と、同時に考えさせられました。今回も。
相変わらず乙女度全開なのですけど、締めるときは締める、そのギャップがまた魅力だったりするのでしょうね。
堂上の郁に対する行為はやっぱりむずむずしたものです(笑)うわーむず痒い!痒すぎる!とのたうち回っていました。まぁそれでも次回が楽しみであるところは完全に作者の意図にはまっていますね。

雪芽さんの文章にはいつも惚れ惚れします。
これからも楽しみに拝見いたしますね。
| リサ | 2006/10/01 10:49 PM |
リサさん、こんばんは。
シリアス部分では深い海の底へ沈んでいく、沈思。
キレのよいコメディ部分では上昇気流で天高く、有頂天。
アップダウン激しく翻弄させられました。
それがまた楽しくて!
堂上、郁コンビが醸し出すむず痒さ、
前回で慣れてるはずなのに、
堪えきれずのたうち回ってました。
なんだかんだいって好きですし、こういうの(笑)
『レインツリーの国』もう買われたんですね。
私も買いに行かなくては。
本屋へ急げ〜(お客様、閉店時間過ぎてます)

文章のことなど褒めて頂くと照れ々々です。
溶けてしまいます。なんせ成分は雪(嘘)
| 雪芽 | 2006/10/02 11:37 PM |
雪芽さんこんにちは〜。
なんだかコメントの投稿フォームが以前と違いますねー。
図書館シリーズ。良い!こってりすっかりハマりそうな予感がプンプンしてます。
この本もすっかり感情移入しまくりで、しかも誰か特定の登場人物に感情移入するんじゃなくて、自分が図書隊の一員になったつもりで感情移入するからアブナイ・・・。
次はレインツリーの国に挑戦するつもりですが、やはり図書館シリーズの三作目が早く読みたいですね!
| やぎっちょ | 2006/10/08 1:02 PM |
やぎっちょさん、こんばんは〜
こってりすっかりって、濃い〜ハマリ方ですね。
それくらい感情移入してしまう気持ちわかります。
読んでいてすっごく楽しいのは、同士として一緒に戦っている気分になってしまうからでしょうか。
三作目も気になって仕方ないけど、その前に「レインツリーの国」ですね。
私も近々読む予定です!
| 雪芽 | 2006/10/09 7:22 PM |
いやもう手塚の兄さん馬に蹴られてしまえという感じです。よりによってそこでアナタがやってしまいますか。
次回作での郁の堂上への第一声がどうなるのか…裏返って言葉にならないんじやないかって気がします。
今回特にスポットが当てられなかった分、次は大変そうですよね堂上教官。
そして戦争、内乱ときて次はどんなタイトルになるのかも楽しみです。
| たまねぎ | 2006/10/15 6:17 PM |
たまねぎさん、こんばんは。
手塚兄、ムカツク〜、パンチ炸裂だ!
この本を読むと血の気が多くなります^^;
郁の堂上への第一声も、郁が真実を知ったことを
わかった時の堂上も、どっちも気になります。
お互い相当恥ずかしい状況で。
次回作のタイトル、わあ、予想が難しいですね。
| 雪芽 | 2006/10/15 11:14 PM |
今回はむず痒さ全開でしたね。堂上さんは郁の頭なですぎだし。
でも堂上さんラヴなので、私もなでてほしかったりします(笑)。
でも今回はもう一人の王子様もよかったですね。いえ、それでも私は堂上さんですが(聞いてませんね 笑)。

郁と堂上さん、3巻ではどうなるんでしょう。またやきもきさせられるんだろうとは思うんですが、楽しみです。
手塚と柴崎のラスト近くの会話がよかったので、あの二人はどうなるんだろう?とか色々妄想してます。
| june | 2006/12/21 11:15 PM |
juneさん、こんばんは!
だんだんむずむず痒さがないとダメな身体になってしまいそうです。困ります、どうしましょ(笑)
周りにいくら王子様系がいても、やっぱり堂上さんですよね〜
(賛成、賛成!)
頭もなでて欲しいわ。

3巻目でいっきに進展するか気になります。
お互いの気持ちを知ってる知ってないにかかわらず、もう充分いい雰囲気過ぎではありますけどね。
恋人同士のじゃれあいみたいですもん。
堂上ファンとしては妬ける(笑)
手塚と柴崎も進展あるでしょうか。
| 雪芽 | 2006/12/22 12:12 AM |
こんばんは★
いやいやいや、今回はもう、萌え萌えでしたネ(〃▽〃)キャー♪
小牧ファンの私としては、彼の優しさと芯の強さに悶えまくりでした。
悶えるといえば、堂上&郁も…
あぁ!!もう、頑張れよオトメ!!という感じでしたネ。
いよいよ第3弾発売ですねぇ。
でもその前に『レインツリー〜』を読まねば。
| Rutile | 2007/01/27 11:04 PM |
Rutileさんは小牧ファンですか。
堂上ファンとしてはライバルが増えなくてよかった(笑)
今回の小牧は萌えどころいっぱいで、これは惚れますね。
自分の身体を張って大切な人を守るなんて素敵過ぎ。
堂上と郁は次回がどうなるやら気になって。
第3弾は2月でしたっけ?
いままで以上に照れ照れな展開になりそうで、
読む前には心の準備が必要かしら(笑)
『レインツリー〜』は違った意味でよかったですよ。
ぐぐっときます。
| 雪芽 | 2007/01/28 12:02 PM |
こんにちは。
前作に続き、テンポがよくてラブコメであっという間に楽しく読めました。
キャラクターたちの会話や心理の描写もよかったですね。
自分がピンチの時に必ず助けに来てくれること…。
心強いですよね。憧れます。
次は堂上のエピソード?。楽しみです。
| 藍色 | 2007/04/18 2:35 PM |
藍色さん、こんにちは。
仲間のキャクター同士のびしっとツッコミの効いた会話に大笑いしたり、すっきり感があったり、小気味よさが読んでいて心地良く感じます。
郁ピ〜ンチ!に必ず登場する堂上って、郁危機センサーでも持っているのでしょうか。それはもしかして愛?(笑)
ふたりとも早く素直になればいいのにと思ってしまいます。
| 雪芽 | 2007/04/22 11:46 AM |

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