本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*地下鉄(メトロ)に乗って





いつもの地下鉄を降りると、
そこは昭和39年の東京だった―。






友人から映画の試写会のお誘いを受けた。
昨日、仕事を終えるや、いそいそと会場へ急いだ。
いつもの地下鉄に乗って。

観たのは浅田次郎原作の「地下鉄(メトロ)に乗って」だ。
地下鉄。通勤や通学を日常とするものにとって、地下鉄は欠かすことの出来ない移動手段のひとつである。

地下鉄はどこへでも行きたい所へ運んでいってくれる。
学生時代の恩師が言外にほのめかす不思議の糸に手繰り寄せられるようにして、時の迷路に迷い込む主人公真次。映画の舞台となる地下鉄とは、東京メトロのことである。先だって東京へ行ってきたばかり。しかも東京メトロの銀座線やら日比谷線の迷路を(不慣れな者にはまさに迷路状態、迷子状態)歩いたばかりであるので、なんとも懐かしいような思いで映像を観る。
地下を這うように張り巡らされた地下鉄の線路網。さらに毛細血管のように地下歩道が広がる。その先にぽっかりと開いた出入り口が、時の位相を違えたとしても、それはそれという気がしてくる。

地下鉄構内でふと視界を過ぎった兄の姿、若くして事故死した兄を追って辿り着いた出口の向こうにあったのは昭和39年、東京オリンピックに沸く、真次の生まれ育った町並みだった。この時を境に真次は幾度となく過去に迷い込むことになる。最初はひとりで、しだいに恋愛関係にあるみち子とふたりで、時を越え、時代を遡り。

父と絶縁状態にある真次は過去へタイムスリップして若き頃の父と出会う。そこで自分が知らなかった父の生き様、心情、子への愛情に触れていく。となれば、これは父と息子双方の和解という流れになるかと思いきや、さすがに安易な方向に流れなくてよかった。
真次は父を赦すことが出来たのだろうか。赦しはきっと心の中にあるに違いないと思いたい。先をより長く生きる者にとってこそ、赦しは大切なのだ。

父と息子の物語。
この映画の主人公真次は小さな衣料品会社の営業マン。一方大会社を経営する父は強引な手法で世に知られ、幼い頃から家族に対しても常々暴力的であった。相反するふたりでありながら、似ているふたり。父と息子、過去の父の姿に、息子は何を思い、見えなかった愛を見つけることができるのか。

男女の愛の物語。
真次には妻があり、小学生の息子もいる。その彼に会社の同僚であるみち子との愛がある。
このみち子が思いのほか重要な位置にいる。最後にきて驚いた。
血が出会わせたのか、運命としかいいようのない愛。
親の幸せと愛する人の幸せの狭間に立つ彼女が問いかける。
「親っていうのはねえ、自分の幸せを子供に望んだりしないものよ」
それが母の答えだった。
その言葉にみち子は心を決めるのだけど、たぶんもう心はその前に決まっていたのだろう。この後の展開に思わず「え〜!、そうきたか」と唸った。だけど、タイムスリップものとしてはこれはいいのか。唐突に、すべては終わる。
この時のみち子の心定めた表情といい、父の暴力に耐えてきただけの人かと思っていた真次の母がさらりと告げた恋といい、女の凄みのほうを実は深く感じた映画だった。

昭和の風景もセピア色な雰囲気でレトロな風情を楽しめる。

映画が終わって夜の街並みに立つと、空には十五夜へ満ちていこうとする不完全な丸みの月がぽかりと浮んでいた。
満ちては欠け、欠けては満ちていく。
人の情も似たり。満ちれば想い溢れ、欠ければ想い欲する。

帰りはまた地下鉄に乗って帰ったのだが、昭和のどこかに降り立つこともなく、普通に家に辿り着いたのはもちろんいうまでもない。

2006年10月21日公開
監督・篠原哲雄 原作・浅田次郎 音楽・小林武史
俳優・堤慎一 岡本綾 田中泯 笹野高史 北条隆博
   吉行和子 常盤貴子 大沢たかお 
| 映画・国内 | 22:34 | comments(6) | trackbacks(23) | | |

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♯ コメント

おばんです。
雪芽さんもご覧になってたんですねぇ。
そうともしらず…

はっきり言って、原本が本棚にあったなんて忘れてました。という位だから、内容はあいまいです(苦笑)
でも、思いっきり泣いた記憶はあります。
ちゃんと読み返してみます。

でも、父と子の「トラウマ」はいつの世もありそうですね。
| juzji | 2006/10/24 12:01 AM |
juzjiさん
そうなんですよ、試写会に行くことはほとんどないのですけど、ひと足お先に観ました。
原作、泣けたんですね。
いつになったら読めるのかしらと思いつつ、
読みたい本リスト入りさせておきましょ。
| 雪芽 | 2006/10/26 10:28 PM |
TBさせていただきました。

ストーリーがもっと整然としていても良かったと思います。
| タウム | 2006/12/29 4:32 PM |
タウムさん、こんばんは。
TBとコメントありがとうございます。
原作の浅田さんの作品ではどうなんでしょうね。

| 雪芽 | 2006/12/30 11:45 PM |
TBありがとう。
ときどき、地下鉄というのは、不思議な空間に迷い込んだような気になることがありました。
いまの、明るいメトロじゃなくてね、昔の地下鉄銀座線の神田から須田町あたりにかけて、とかね。
| kimion20002000 | 2007/04/09 3:32 AM |
kimion20002000さん
コメントありがとうございます。
住んでいる札幌の地下鉄はもともとそう古いものでもなく、明るい空間なので、東豊線なんて空調のためか風がびゅんびゅん吹き抜けますし、映画のようなレトロな感じは想像できませんが、でも、昔の東京の地下鉄は、映画のような雰囲気だったんでしょうね。

| 雪芽 | 2007/04/10 11:00 PM |

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