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*「水滸伝(1) 曙光の章」 北方謙三

水滸伝〈1〉曙光の章
水滸伝〈1〉曙光の章
北方 謙三
十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた―。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。
「BOOK」データベースより


まず禁軍(近衛兵)武術師範の王進が登場する。王進がこの巻の主軸かと思ったら違った。武術全般に抜きん出てたすぐれた人物であったが、高潔な実直さが上の者に疎まれ、叛乱の罪で処断されそうになり、年老いた母とともに出奔し表舞台からは早々に退場してしまう。王進に槍だけは勝るとも劣らぬ力を持つのが師範代の林沖(リンチュウ)で、実は彼がこの巻の中心を担う人物である。
水滸伝に登場する豪傑達は108人にも及ぶらしい。林沖もその中のひとりであるに過ぎないのだろうけれど、強さの中に弱さをみせるという人物像に惹かれる。
恐ろしいほどに強い。棒で槍を手にした16人を一度に相手にし薙ぎ倒す豪傑ぶり。生きては出られぬという地下牢で耐え生き延びた精神的強さもある。しかし、荒ぶる強さを持つ男は、亡き妻への限りない愛情に悶え苦しむ。この苦しむ姿がまたなんともいえなく(林沖殿、あいすまぬ)、すっかり林沖に同情的な気持ちになってしまう。
中国の古典ものは土地の広さに即してか、喜怒哀楽を語るにも、人物の力量を語るにも表現が大きい。林沖の苦しみも半端じゃなく深い。生きていた時には愛していたことに気づかなかったという、気持ちのすれ違いが悲恋としての切なさを強くする。
が、なによりも志に生きる男でもある。宋江(ソウコウ)の命を受け、罪人の身のまま牢へ潜入することになる。つくづく思うのだが苦労と困難の多い林沖である。それでもなんで俺ばっかりと愚痴をこぼさないのが漢である。試練を越え、事を成し遂げていく姿が実にかっこいい。
牢で出会うのが安道全(アンドウゼン)と白勝(ハクショウ)のふたり。安道全は医者である。ちょっと、いやだいぶ変わっている。人の病を治すことしか頭にないような人物。林沖と会話していても話がずれている。それでいて憎めない。いわゆる天然系だ。この先3人の間に通うようになる友情も泣かせどころである。
男3人の友情といえば『三国志演義』の桃園の誓いを思い浮かべるが、水滸伝には少華山の3人も固い契りで結ばれた義兄弟として登場する。
先に登場した王進の弟子史進に対し、残ったふたりは捕らわれの身となったひとりを返してもらえないのであれば、共に死ぬまでと答える。欠けた部分を補い合い、3人でひとりなのだと。さらに強過ぎる史進に、悲しい強さであるとも説く。

「それは、史進殿が強すぎるからだ。寄り添って、弱さを補い合わなければならぬ者の、気持ちがわからないからだ」

志があるだけではだめだ。ただ強いだけでもいけない。
この物語を読むと、人と人が結び補い合うのが人の生き方であると思える。大きな志を共有し、国を糾そうとする動きの双璧といえる宋江と晁蓋(チョウガイ)然り。自分にないものを相手の中に見て認める。それぞれが自分の場を見つけて志に生きる。熱き漢(おとこ)達の物語、先を読むのが楽しみだ。

とにかく登場人物は多い。これからもっと増えてくるのだろう。名前を覚えるのが大変だ。でも、名前の読み方を忘れても大丈夫。そういう時は言葉としてではなく視覚として見て目で捉える。そのうちふりがながまた出てくる。これは有り難い。

前々から四大奇書のひとつである「水滸伝」を読みたいと思っていた。本はいろいろ出ている。長編なので読み切れるかが問題だと思った。『西遊記』は岩波文庫の1巻目で挫折したままだしなぁ。吉川英治の『新・水滸伝』、駒田信二の『水滸伝』と1巻目だけ買ってみる。そうこうしているうちに北方版「水滸伝」が文庫で刊行されることになった。毎月1巻、19巻で完結。結局巻数としては一番長いのを選ぶことになってしまったが、ゆっくりのんびりいこう。

(2006年11月18日読了)
| 歴史・時代小説 | 19:21 | comments(2) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

水滸伝は、以前に途中で挫折したことがあります。
これを機会に雪芽さんの記事を読んで、本書を読んだような気になろうと思います。
って、ダメですかね?
| hoy. | 2006/11/20 4:30 PM |
それはダメですよ〜、hoy.さん(笑)
これを機会に完全読破に一緒に挑戦してみるなんてのはいかがでしょうか?
| 雪芽 | 2006/11/20 11:55 PM |

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対談集 日本人への遺言 (文庫)
この対談で特に印象的なのは、宮崎駿監督との対談です。意外(?)にも、司馬さんは宮崎作品を良く・・・
| 速読 & 読書 感想文 | 2006/11/23 12:31 AM |
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