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*「仔羊の巣」 坂木 司

仔羊の巣
仔羊の巣
坂木 司
ひきこもり探偵シリーズ第2弾。

野生のチェシャ・キャット
銀河鉄道を待ちながら
カキの中のサンタクロース


世界的に名の知られたイギリスのファンタジーに登場するキャラクター、日本の東北にイーハトーブを夢想した作家の有名な童話、毎年12月になると街中に彼の姿が溢れる人気者、今回の3つの短篇は誰もが知っている本やキャラクターがタイトルに顔を覗かせている。
料理の隠し味のように不思議のエッセンスを一滴。
さて、お味は?

野生のチェシャ・キャット
坂木は外資系の保険会社に勤めている。これは比較的自由が利くという理由による、鳥井優先のための選択だった。
同僚の吉成哲夫から、同期の女性佐久間の様子がおかしいと相談されたところから話は展開していく。頼りの鳥井が風邪で寝込んでいたため、無謀にも坂木が探偵役を務めることになるのだが…

3人は同期入社でよく話もする仲である。職場での仲間であっても、一歩踏み込んだ友達関係かというとそうでない場合は多い。
坂木は考える。友達について。自分と鳥井との関係について。
1巻目から登場している滝本は高校時代のクラスメイトで、現警察官。鳥井亭にはちょくちょく顔を見せる。誰に対しても調子のいい男と書かれているが、完全な陽の彼が放つストレートな問いは実に鋭い。滝本の言動は真実だけに坂木には痛い言葉である。向き合わなければいけない現実だけに動揺は激しい。

鳥井を突き放すことができるのか。
鳥井に自分以外の友達ができることへの喪失感。怖れ。

未来のふたりの関係を予感しながら心が揺れる坂木だけど、実は自分自身が依存から抜けて独り立ちすることでもある。
気づいている。気づいていてもふたりの依存関係を断ち切るのって難しそうだ。

銀河鉄道を待ちながら
ベースにあるのはジョバンニとカムパネルラのような少年達の友情。違うのは少年が待つのは銀河鉄道ではなく、地下鉄だということだ。決まった時刻に姿を現す少年利明と、坂木の顧客でもある栄三郎さんが始めた木工教室で出会った男性。
この話はちょっと切なかったなぁ。

カキの中のサンタクロース
坂木への悪意の連続。こうなると鳥井が黙ってはいない。
いったい誰が?なんのために坂木を悪意の標的にするのか?

クリスマスにカキを食べたことを思い出した。生のカキにレモンをぎゅっと絞って食べる。想像するだけでも、美味しい〜
うむむ、どうも食べ物のほうに興味がいってしまっていけない。

最近また読書ノートをつけるようになったのだが、ひきこもりシリーズを読んでいると、書き残しておきたくなる文章がけっこうある。自己啓発とか癒し系の本に近いものを感じる。短く簡潔にわかりやすい言葉で心に響く文章。自己啓発本もそうだが、そこにある言葉を陳腐で胡散臭いものと感じることもあれば、心の糧の一部にと思えることもある。読む時の心境でもずいぶん違う。自分の心に響いてくる言葉に出会えることも、巡り会わせのもたらす喜びだ。

脇キャラへ向けられる目線について思うのは、彼らは切捨てられない。心に傷を抱えているのは鳥井に限ったことではない。偶然出会う中で鳥井が事を解決し、彼らとの関係も繋がっていくが、さらにはその後のフォロー話もちゃんと織り込まれる。読者にとってもいたれりつくせりである。

優しくしてあげればいいんだよ。困っている人には、声をかけてあげればいい。なに、簡単なことじゃないか。一番近くにいる人からはじめて、まだ手が届くようだったら、もう少し先の人に優しく。そういう風にしていけば、いつか遠くにも届くだろう?

悩んでいた思春期の坂木におばあちゃんが言った言葉のように、坂木と鳥井を軸として、ふたりの世界はどんどん広がっていっている。人が抱える痛みの種は違っても、このシリーズの温かな人間関係に触れることで、癒しのようなものを感じるのかもしれない。
なによりも出てくる美味しそうな料理が持つ力は大きい。(結局は食べ物か)
その料理を作る鳥井は、癒し効果ゼロなキャラクターではあるが。

12月。今年は誰になにを贈ろうか。

11月23日読了
| 坂木 司 | 21:44 | comments(8) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

Rayさんこんにちは。やぎっちょです。
実はうちのブログのリンク集が一杯で見にくくなりまして、これを機会に本ブログのリンク集を仮オープンしました。
http://blog.livedoor.jp/honblo/
それで、お手数なんですがRayさんに改めて登録フォーム(http://form1.fc2.com/form/?id=152350)を送っていただけないかなと思いまして、記事には全然関係ないのですがコメントさせていただきました。
実はライブドアの「本が好き!」という企画からリンクを貼ってもらい、ユーザーがかなり流れていますので、こちらにも流れるよう協力していただけるとうれしく思います。
上のリンクはやぎっちょメルアドにしましたので、わからないことがあればお尋ねください。
それではぜひぜひよろしくお願いします!
| やぎっちょ | 2006/12/05 8:39 PM |
あ〜やってしまったぁ!
Rayさん宛名になってる。ごめんなさい。ごめんなさい。
気を悪くされないでくださいね!
| やぎっちょ | 2006/12/05 8:41 PM |
ここはどこ〜?私は誰〜?
なんて一瞬焦りましたが、我が家だった、ほっ(笑)
こちらまでお立ち寄り頂きましてありがとうございます。
名前違いはどうぞお気になさらずに。
今朝コンフレークに牛乳をかけて、いざ口に入れてみたら酸味がある。
あれれ?と思って見たら、近くに置いてあったのは牛乳ではなく、ソフトカツゲンのパックだったという。
こんな間違いもまま起こるものです。

「ほんぶろ」拝見させて頂きました。
素晴らしいですね〜♪
得意な作家は、好きな作家という解釈でもいいのでしょうか。
ただいまちょっと忙しく、本も読むだけ読んで感想をup出来ていない状態なので、週末に登録やリンクさせて頂ければと思います。
お声を掛けて頂いてありがとうございました。
| 雪芽 | 2006/12/07 9:47 PM |
雪芽さんこんばんは。
ソフトカツゲンのパック・・・が何かよくわからないやぎっちょです。きっとすごいものに違いない。しかもすっぱいのキライだったりして。。。
とうろくやらはいつでも構いませんので、お時間の許されるときによろしくお願いします。
得意な作家は好きな作家と考えてもらっていいですよ♪
ではでは。
| やぎっちょ | 2006/12/07 10:42 PM |
雪芽さん、こんばんは。

ぼくも、3編の中では、『銀河鉄道を待ちながら』が一番好きです。
切ない話ですよね。

坂木のおばあちゃんの言葉も印象深いです。
まず、自分の身近にいる人に優しくすること。
でも、最近の幼児虐待のニュースなどを見ていると、それすらできない人が増えているようで、悲しいです。
| touch3442 | 2006/12/10 8:11 PM |
touch3442さん、こんばんは
わあ、同じ作品が好きで嬉しいです!
『銀河鉄道を待ちながら』は友情ものだし、父と息子の情も描かれていて、ぐっと胸に迫るせつなさがありました。
最近のニュース観ると、親子関係が壊れている事件が多過ぎて、どうなっていくんだろうって思ってしまいます。
おばあちゃんの言葉、いいですよね。
| 雪芽 | 2006/12/12 11:29 PM |
雪芽さん、こんばんは!
メモしておきたい言葉確かに沢山ありますよね〜
本を読むときは付箋を付けながら読むんですが、これは一杯になってしまいました。
おばあちゃんの言葉や、滝本の言葉などなど…
そしてこの中の料理も食欲をくすぐりますよね〜
ただ、牡蠣だけは苦手なんですけど。
食べられないのに、牡蠣の殻だけは開けるのが得意な私です(苦笑)
| エビノート | 2006/12/29 7:50 PM |
エピノートさん、こんばんは!
あ、私もミニミニ付箋を付けながら読んでます。
滝本の言葉が鋭いところを突いていて、坂木にはそうとう痛いだろうけど、友達だから言える言葉でもあるんですよね。
滝本やっぱりいい奴だ。

牡蠣だめなんですか?あの食感のせいかな。
殻を開けるのが得意なのは誰かさんと一緒ですね(笑)
私は大きくてプリプリしたのはダメなんですよ。
牡蠣は小粒に限るのです。
とにかく食欲を増進させる本ですね。軽くヤバイ。
| 雪芽 | 2006/12/31 12:14 AM |

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