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*「幸福な食卓」 瀬尾まいこ

幸福な食卓
幸福な食卓
瀬尾 まいこ
家族という単位を普段はとくに意識することもない。あまりに自然であたりまえのことのように思っているから。ところが、

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」

いつも家族が顔を揃える朝の食卓で、本の主人公佐和子の父は、父親を辞める意志を伝えるのである。
お〜、出だしから意表を突く驚きの展開だ。

ところが読み進めていくうちに、中原家の家族のありようは父の宣言以前に、すでに少し歪んだ状態にあったことがみえてくる。
原因は過去に起こったひとつの出来事にある。この家族にはとても重い記憶だった。
父さんを辞めてしまった父さんだった人がいて、長男の直ちゃんがいて、少し離れたところに暮らしてはいるけれど母さんもいて、形としては変形しているものの、お互いの思いやりとか温かさが中原家からなくなってしまったわけではない。わずかなことを除けば、一見平穏な家族とも思える。それでいてなんだろう、凪いだ水面を脅かすように、淡々と流れていく文章の底から、見えない不安感が浮上してくるのを感じたのだ。
登場人物たちが抱えてしまったひずみがある。それが彼らの足元をおぼつかないものにしているからなのだろうか。それともあたりまえと思っていた家族というものが、微妙な均衡と結び付きで成り立っていることの心もとなさか。

佐和子と同い年の大浦君。彼の持つ明朗な単純さがいいなぁ。単純だからといって無神経ではない。人間関係の機微もちゃんと見て取れる男の子だからこそ、佐和子のピンチに手を差し伸べることが出来たわけだ。この時の大浦君、かっこいいったらありゃしないのである。
佐和子がクラスの中で経験する人間関係の軋轢。担任の言葉にイラつきながら(なんだ〜こいつと何度思ったことか)、苦しい思いの最後に残るものがあってよかったとほっとする。

試行錯誤しながらなおいびつなままの家族であっても、物語としてはそれぞれ落ち着きどころをみつけて終わるのだろうと思っていたから、最後にまた驚いた。油断した。
だけどいかにもありがちな展開じゃないか。まさか話の終盤に持ってくるとは。なんて文句たらたら書きたい気分になるのは、思いもかけずこのベタな展開に涙してしまったからだ。
他人でしか救えないこともある。逆に家族だからこそ救われることもある。壊れかけているかもしれないが、家族であるが故に受け入れてくれる場所が佐和子にはある。なくしてもまだある大切なものっていうのもかわらないではない。
でもね〜、酷いですよ〜、瀬尾さん。

ちょうどクリスマスも近い。キラキラとした喧騒の街を歩きながら、佐和子のことだとか大浦君のことだとか思い出すのだろうな。

『優しい音楽』は最初のボタンの掛け違えが違和感となり、居心地の悪いまま読み終えた。瀬尾さんの本は自分には合わないかもと思っていたら、「今日の菱沼さん」の菱沼さんと「モンガの独り言 読書日記通信」のモンガさんに「幸福な食卓」をお勧めされた。前作のこともあるので実は怖々読んだのだけど(笑)、いまは他の作品も読んでみたいと思っている。瀬尾作品再チャレンジの機会を頂いたことに感謝!

(2006年12月15日読了)
| 瀬尾まいこ | 22:24 | comments(7) | trackbacks(8) | | |

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♯ コメント

雪芽さんo(^-^)oこんばんは。お読みいただきありがとうございます。私の好きなシーンはふさぎこんでしまった佐和子のために直ちゃんが「幸せになれる本」とかをたくさん買ってきたところです。雪芽さんも気に入っていただいて良かったです♪
| 菱沼 | 2006/12/21 11:03 PM |
菱沼さん、ほんとお薦め頂いてよかったです。
今回は最初からすとんと読んでいけたんですよ。
直ちゃんの慰め作戦、妹思いの兄が羨ましい。小林ヨシコ作シュークリームも意外性がありました。
いま読み返すのはせつない気がして、でも読まなくても細かな出来事がいろいろ浮んでくるんです。淡々とした描写だけど印象に残りますね。
| 雪芽 | 2006/12/21 11:52 PM |
これよいお話でしたよね〜。好きな話です!
何でも映画になるそうですよ、来年。と、cresent moonのRayさんのところに書いてありました。とゆーかUPが同じ日付ですね♪雪芽さんもRayさんも菱沼さんのオススメということですが、じつはあちきも菱沼さんのオススメなんですよ。すごいなひっしー!
あてきちもただいま瀬尾まいこさんがっばって読み中です。かぶるといいですね!
| やぎっちょ | 2006/12/22 12:28 AM |
こんばんは、雪芽さん。
気に入ってもらってありがとうございます。
どこかのブログで軽々しく傑作など書くなみたいなことが書いてあったが、傑作、大傑作なんって私は書きました、それほど何か感じるものがありました。
瀬尾さんの作品は、言葉つかいの巧さもありますが、設定・構成の巧さもあるような気がします。
| モンガ | 2006/12/22 1:01 AM |
モンガさん、こんばんは。
この小説はほんと読んでよかったと思えた1冊でした。
自分の心に響く言葉、響く本は自分にしか見つけることが出来ませんからね。
いまはまずデビュー作が読んでみたいなと思っています。
これならなんとか図書館でも借りられそうです。
瀬尾さんの本は貸出し予約が多いんですよ。
| 雪芽 | 2006/12/25 11:06 PM |
はじめまして。
こちらの記事にTBさせていただきました。

この読書は、ほんとうにいい時間を過ごしたという感じでした。
淡々と語られているからでしょうか、
妙に心にストンと落ち着きました。
ラストでは大いに心揺さぶられましたが、
読んだ後は、とても温かい気分になりました。

また来させていただきますね。
| Rutile | 2007/01/05 2:56 PM |
はじめまして、Rutileさん。
TBとコメントありがとうございます。

これだけ淡々と語られているのに、
気づいてみれば自分の中に深く物語が入り込んで、
またそれがとっても自然にでした。
だから余計にラストが不意打ちのように辛く感じたのかもしれません。。
それでも温かさの余韻もあって、ほんとうにいい時間を過ごせたと感じたのは同じです。

ぜひまたいらしてくださいませ!
| 雪芽 | 2007/01/08 5:43 PM |

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