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*「古道具 中野商店」 川上弘美

古道具 中野商店
古道具 中野商店
川上 弘美
だからさぁ、と唐突に話を始めるのが癖の中野さんが営む店は古道具屋。高値の品物が並ぶアンティークではなく、あくまでも古道具ということにこだわりがあるらしい。東京近郊の小さな古道具屋中野商店に集う店主の中野さん、姉のマサヨさん、アルバイトとして働くヒトミとタケオ、中野さんの愛人サキ子さん、怪しげな常連客らが繰り広げる、懐かしい匂いを伝える小説。
川上さんの世界は独特だなと思う。言葉遣いが独特というのもあるだろうけど、普通のことを書いても、流れる空気がなにか違うと思わせてしまうところがある。また、どきりとするエロっぽいことを、実にさらりと書いてしまいもするのだ。

中野さんが銀行へ行くといって出かける「銀行」とは、同業者でもあるサキ子さんとの逢瀬のことを意味する。適当でダメダメ男の浮遊感を漂わせる中野さん。この男になぜと不思議に思うほど、サキ子さんはいい女っぷりである。受ける印象の研ぎ澄まされた風情に、瞬間瞬間で艶然とした色っぽさが朱を刺すようで、ちょっと妖しいくらいの魅力である。
中野さんの姉サマヨさんも粋な大人の女を感じさせる女性だ。
比べてヒトミとタケオの関係はもどかしい。
人を信じる気持ちを積極的に持てないタケオは、失くした小指の先に似て掴みどころのない空虚を抱えているようにみえる。ヒトミはタケオのどこに惹かれていったのだろう。どこからもどかしい恋として自分を苦しめるほどの想いに変わっていったのだろう。それほどにぎこちない若いふたりの成り行きだったのだ。
気づいていながらふたりをさりげなく見守る周りの目も優しい。

最後になって中野商店は遠く懐かしむような場所に変わる。
古道具には使われた時代の記憶も、使った人の記憶も沁みこんでいるよう思う。同じ時を過ごしたヒトミたちにとって中野商店も、古道具に対するような愛着を残す場所として記憶に留まるのだろう。

この本を読んで何日かしてのこと、街中を歩いていたら偶然古道具市に出くわした。といっても雪の積もる屋外ではなく、地下広場のような所にこんじまりと店が並んでいるだけだ。中野さんもタケオやヒトミもいるわけはないが、売り手の姿に小説世界を重ねつつその場を後にしたのだった。

よしっ!感想書いたので図書館に本を返しに行けるぞ〜(笑)

(2006年12月18日読了)
| 川上弘美 | 14:36 | comments(4) | trackbacks(5) | | |

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♯ コメント

連投御免!
サキ子さんもう最高っす!
ある意味、私の理想の女性像です。

私もこれ、図書館で借りたんですけどね(笑)
| hoy. | 2006/12/23 10:35 PM |
突然で申しわけありません。現在2006年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票に御参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.mirai.ne.jp/~abc/movieawards/kontents/index.htmlです。
| 日本インターネット映画大賞 | 2007/01/01 12:58 PM |
雪芽さんこんばんは♪
記事書いてから検索したら「なーんだ誰も読んでないよ。とほほ」と思っていたのですが、雪芽さんの記事からTBをたどると「なんだー!みんな読んでるじゃないか!」と思いました。
ちょうど1年前に読まれているんですね〜。古道具ってほとんど全然興味がないけど、古道具に秘められたストーリーやそれに関わる人の話はおもしろそうですね。おじいちゃんがやってるイメージがあります★
| やぎっちょ | 2007/12/27 1:55 AM |
やぎっちょさん、こんばんは!
この本は読んでいる方けっこういますよね。
私も古道具自体はとくに興味ありませんが、
モノに関わった人の物語を想像してしまいます。
どんな思いでとか、どんな時にとか、その時の喜怒哀楽とか。
古道具とおじいちゃんは絵的にもぴったりですね〜

| 雪芽 | 2007/12/28 10:36 PM |

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