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*「モノレールねこ」 加納朋子

モノレールねこ
モノレールねこ
加納 朋子
昨日から繋がる今日という日。明日へ繋げる今日という日。何の支障もなく繋がっていくと思っていたものが、突然連続性を失うことがある。なんの話かというと、繋がらなくなったもの、それはウチのパソコン(性別不明)のことなのである。
話は先週に遡る。前日まではサクサクとネット接続できていたのに、昨日の終わりと今日の始まりの間に何が起こったのか繋がらない。昨日の別れ際、何かご不興を買うようなことをしでかしてしまっただろうか。まあ明日になればご機嫌が直るかもしれないと電源を落とす。
あくる日、ささやかな期待はクールな接続拒否で霧散する。
いったいどうしたものか。
画面の前でフリーズすることしばし(その心はプリーズ ヘルプ ミー)

さて繋がらない話はひとまずおいといて、『モノレールねこ』の感想といきましょう。
加納さんの作品を読むのは初めてだ。『ななつのこ』、『さらさや』、『掌の中の小鳥』と、読みたく思う本が何冊かすぐに浮ぶほどなのに、これまで読むタイミングが自分の中で巡ってこなかった。きっかけはまったり読書日記のエピノートさん。レビューの言葉に触発され、買ってしまいましたよ。

初加納さん本は、温かく、不思議のニュアンスも漂わせながら、じーんと気持ちを熱くさせる8つの短編集。
表題作でもある「モノレールねこ」の名前の意味するところは、読むとすぐにわかるが、その姿がとてもリアルに想像されるほどぴったりで、どーんとした猫の存在感がいい。
主人公のサトルとタカキを繋ぐ、デブで不細工な一匹の猫。互いに顔も知らず交わす短い手紙の遣り取りから生まれる友情。ところがある日、突然の悲しい出来事によって断ち切られてしまう。
サトルが大人になってからの後日談が、子供時代を意外な形で甦らせることに。
途切れていた絆が繋がる、赤い首輪の使い方が心憎いばかりに巧い。

「パズルの中の犬」では、忘れていた過去の記憶を埋めることで親子の絆を取り戻す。

「マイ・フーリッシュ・アンクル」も印象に残った。家族をいっぺんに失った中学生の女の子とダメ叔父さんの暮らしを描いた話。このダメ叔父さんのダメっぷりが半端ではない。どうしてこうもダメ叔父さんになってしまったのか。確かに叔父さんの秘められた想い、いってみれば純愛に驚きもするしわからないでもないが、そこまでダメでなくてもよかったのにと思ったりするわけだ。
最後までダメで頼りない叔父さん。それでも家族っていいなと思わせてくれるのは、叔父さんの、たったふたり残った家族の絆を大切に思う強い気持ちが読み取れるからだろう。

「ポトスの樹」に出てくる主人公のオヤジも、実にいい味を出している。クソオヤジ、アホオヤジ、クソ馬鹿オヤジといくつかのバリエーションをもって主人公が語るオヤジは、世間一般の父親像からはみ出している。そのせいで苦難の幼少期(?)を過ごした身としては、オヤジの前にいろいろ付けてみたくもなるのだろう。ところが、突然の出来事に対してオヤジは、いつもの言動からは考えられない行動を取る。型破りだけど憎めない。

「バルタン最期の日」も好きな作品。この話の主人公はほかでもない、ザリガニ。公園の池で捕らえられ、ある家族の一員として暮らすようになったザリガニが、家族の平和のために戦うまでを描いた作品。ザリガニが主人公の話がこんなにも面白いとは思わなかった。バルタン星人は悪役だったけど、サリガニバルタンは家族のヒーローだ。

他の3つの作品もそれぞれに違った趣向で面白かった。表紙のちょい不細工な猫もふてぶてしい表情なところがいい。

『モノレールねこ』は友達同士の友情、家族の絆、人を超えた絆と、見えなくも繋がっていく絆の温もりを感じさせる作品だったが、話を最初に戻そう。
クールな微笑みで接続拒否していたウチのパソコンは、ご覧のとおり無事ネットに繋がるようになった。電話一本繋いでサポートセンターのお姉さまに解決して頂いた。わかってしまえばさほどの原因ではなかったが、ネットは繋がってこそのものだとしみじみ思う。
ネット接続だけではない。家族の絆、他の誰かとの絆も、ある日突然遮断されるかもれしれない。

儚いけれど、揺るぎないーー
家族という「絆」


本の帯にある言葉を見て思う。儚さを、揺るぎないものに変えていくための努力。家族だからというだけではどうにもならなかった出来事があまりに多くて、ニュースを観ていると心塞ぐ感じだ。
だからこの本の温もりはほっとする。

(2007年1月2日読了)
| ■か行の作家■ | 23:12 | comments(6) | trackbacks(4) | | |

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♯ コメント

雪芽さんo(^-^)oこんばんは。パソコントラブってたんですね。大変でしたね。「モノレールねこ」私もエビノートさんの紹介読んで気になってます。
心あたたまるお話のようですね。
| 菱沼 | 2007/01/15 11:34 PM |
菱沼さん、こんばんは!
ひとつ前のがトラブル多発PC。それがトラウマになっているようでどんよりでした^^;が、無事復活できました♪
この本、ほんわか本ですよ。
| 雪芽 | 2007/01/16 10:31 PM |
本文中にご紹介いただいて、ありがとうございます〜♪
加納さんの本で温まってもらえたようで、良かったです。
「モノレールねこ」のネーミングがいいですよね!
猫の姿が目に浮かんで、ふふふと微笑んでしまいます♪

パソコンのトラブルも無事解決できて良かったですね!
私も突然ネットに接続できなくなったことがあったので、他人事じゃありません!
モデムがフリーズしてたのが原因でしたが、ヒヤヒヤしますよね〜
| エビノート | 2007/01/16 10:43 PM |
エピノートさん、こんばんは。
加納さんの作品にたっぷり温まらせてもらいました。
素敵な出会いのきっかけをありがとうございます♪

パソコン使えないと困ります〜
2台とも接続出来なくなってビビリました。
直ってほっですよ。
| 雪芽 | 2007/01/18 6:19 PM |
雪芽さん、こんにちは。
加納さん、初読みだったのですね。
私はいくつか読んだのですが、この作品、
とってもよかったです。
ハートウォーミングな短編集でしたね。
この季節に読んで、こころが暖かくなりました。
| 藍色 | 2007/01/25 11:32 AM |
藍色さん、こんにちは。
北の国はいま寒い時期なのですが、
内側からホットにしてくれる作品でした。
加納さん、他にもたくさん書いていらっしゃるので、
これを機会に読んでみましょって思っています。
| 雪芽 | 2007/01/28 11:40 AM |

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モノレールねこ 〔加納朋子〕
モノレールねこ ≪内容≫ 小学生の僕は、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。 ある日ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが…。 表題作ほか、「パズルの中の犬」「シンデレラのお城」など全8編を収録。 (MARCデータベースより
| まったり読書日記 | 2007/01/16 10:33 PM |
モノレールねこ 加納朋子
カバー装画・章扉イラストは菊池健。装丁は大久保明子。 時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。短編集。 1・モノレールねこ―デブねこの首輪に挟んだ手紙がつなぐ、ぼく:サト
| 粋な提案 | 2007/01/25 11:51 AM |
加納朋子について
加納朋子加納朋子(かのう ともこ、1966年10月19日 - )は日本の推理作家。福岡県北九州市出身。文教大学女子短期大学部文芸科卒業。夫は推理作家の貫井徳郎。作品のジャンルは推理小説だが、血生臭い殺人事件などはあまり起こらず、「日常の謎」を解くストーリーが特徴
| ミステリー館へようこそ | 2007/02/10 6:58 AM |
モノレールねこ 加納朋子
モノレールねこ ■やぎっちょ読書感想文 猫は出てくるけどモノレールは出てこない・・・ 以前他のブロガーさんのところでよく見かけていた本を図書館で借りてみる。 これもその一冊。そして短編集。 ふと思ったのですが、いや気のせいかもしれないけど、20年く
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2008/05/16 10:42 PM |
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