本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「墨攻」 酒見賢一


墨攻
酒見賢一
やぎっちょのベストブックde幸せ読書!!のやぎっちょさんが、香港旅行に行った際の記事に映画『墨攻』が紹介されていた。それで興味を抱いて原作ということもあり読んでみたのがこの本。

戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか―史実を踏まえながら奔放な想像力で描く中島敦記念賞受賞作。
「BOOK」データベースより
中国春秋戦国時代には多くの学者や学派が現れた。それらを総称して諸子百家という。墨子は諸子百家の一人であり、墨家の始祖である。
古代中国モノを読むと驚くほどに登場人物が多い。人の多さに埋もれてしまって忘れているのか、墨子についてはこれといって読んだ記憶がない。墨家、墨子ってなんぞや?という疑問をもってまず本を開くことになる。
疑問符を顔に貼っつけたような自分にとって、導入部の展開はとてもわかりやすかった。
墨子の思想はなにかといえば、兼愛と非攻にある。
なにか引っかかるものがないか。非攻であるはずなのに、どうして「墨攻」なのか。これは本を読むと納得がいく。

墨者は確かに守ることしかしない。だが、その守りが彼らの最大の攻撃なのかもしれない。

主人公革離は籠城戦において抜きん出た技量の持ち主である。始祖墨子の頃から蓄積され、改良されてきた籠城の知識と技術をもって城を守り抜こうとするのがこの物語。籠城戦の準備、実際大国趙軍を向えての戦いは、いかに墨子教団が籠城戦のプロであるかという点でも読ませる。

この本でもうひとつ興味を引かれたのは、同じ墨者としての考えの違いから起こる対立や、堅牢だった守りに穿たれた綻びの一穴は、思わぬ敵によるものだったいう、人間の心に根ざした部分の絡みにある。
革離ほどのすぐれた墨者でも、人の情に対する守りを見誤ってしまうものなんだなということがなんとも皮肉である。

墨者の籠城における人身掌握は峻烈だ。恫喝支配に近いとさえ感じた。いや、実際恫喝しているんだけどね。確かにそうするには理由があってのことなのはわかる。もっとも功績に対しては恩賞を惜しまないし、なにより革離が寝る間も惜しんで動いている。
そこまでして準備を整えた籠城戦、守りきれるか。
薄い本ではあるが読み応えはあった。

映画も楽しみ!楽しみなんだけど、文庫本の帯にある映画の紹介文を読むと、“10万の敵にたった1人で挑む”ってなっているんですけど、映画では敵の数が5倍に増えたのか!?
なんとも大変なことだな革離。

(2006年12月22日読了)
| 歴史・時代小説 | 19:02 | comments(4) | trackbacks(5) | | |

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♯ コメント

信長の下で安土城の石積みを行った(フィクションかな?)市郎太という人が主人公の「天下城」を読み終わりました。この本にも墨子のくだりが少し出てきました。
墨子原典の復元している部分を読んだことがあるんですけど、ほとんど建築とか工学つまり守りの技術論なんですよ〜。読んでてかーなりつまらないです。。。
この本はマンガも好きだったし今回映画化されてとってもうれしいです。マンガの方では小説よりも先があって(革離があそこで死なない)中国的なスケールで攻防が繰り広げられるので、もし未読だったらぜひぜひ読んでみてくださいね♪
| やぎっちょ | 2007/01/03 7:23 PM |
やぎっちょさん、今しがたTBとコメントしに伺ったばかりなのに、帰ってきたらコメント頂いてました。
速攻ですね〜、ビックリしたわ。ありがとうございます。
原典を読んだことがあるなんて凄い。
思想集団というより実践集団としての色合いが強いようですね。
マンガのほうは未読です。違う展開になっているんですね。そちらも興味引かれます。
「天下城」は築城絡みで出てくるのかしら。
やっぱり歴史モノは面白いですね。
読むには時間が掛かるのが多いですが、読み応えはたっぷりあります。
| 雪芽 | 2007/01/03 7:57 PM |
こんばんは。
薄い本なのに読み応えがあって、
最後まで目が離せない面白さでしたね。
皮肉な、あっけない結末も許せちゃいました。
革離が寸暇を惜しんで働く姿が印象的でした。
え〜っ、映画では敵の数が5倍に?。
革離の腕の見せ所かも、です(笑)。

「赤朽葉家の伝説」読まれているのですね。
記事ありますので、読まれたらお気軽にどうぞ。
| 藍色 | 2007/03/21 2:35 AM |
藍色さん、こんばんは。
最後はああなるとは思いませんでした。
中国ものの小説は長いのがけっこう多いですけど、これはお手頃な長さで読みやすく、かつ面白かったですね。

「赤朽葉家の伝説」を読む予定が他へいってしまいました^^;
読んで感想を書いたらお邪魔させて頂きますね!
いまは森見さんの本を何冊か読む予定でいます。
マイブームの予感。
| 雪芽 | 2007/04/08 10:29 PM |

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| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2007/01/03 7:24 PM |
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