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*「ファンタジーのDNA」 荻原規子

ファンタジーのDNA
ファンタジーのDNA
荻原 規子
ファンタジー作家の荻原規子さんが、自身の読書体験から、ファンタジーに対する考え、私的ファンタジーの書き方までを綴った初エセイ。
ああ、どうしましょう〜(これは嬉しさのあまり)という位、とても面白かった。一心に文字を追い、項を繰る手さえもどかしく、共感やら、驚きやら、ある種熱情を帯びて読むエッセイというのも珍しい。
ファンタジーの読書体験として、常々思うことがある。それは世界に対して未知が溢れている子どもの頃に、ファンタジーの古典や児童書の定番といえる作品に、あまり出会うことなく過ぎてしまったことへの後悔だ。『指輪物語』、『不思議の国のアリス』、モンゴメリのアンシリーズを読んだのは大人になってからだし、ナルニアだって映画公開に合わせてやっと1巻目を読んだくらいだ。
荻原さんの子どもの頃の読書体験に、それらの本があるのはいうまでもない。さらに目を引くのは、『古事記』を始めとする日本の古典が多く含まれていることだ。子どもの頃から培われてきた土壌の上に、あの勾玉シリーズが創り出されたのだなと納得させられた。
読書の幅広さと量にはただただ凄いと思わずにはいられない。読んだことのない本もけっこうある。荻原さんの感想を読んで、『十二国記』シリーズはやっぱり読まなくちゃとまた思う。(これで何度目だ)

『ふくろうの模様の皿』の作者アラン・ガーナー氏の体験として紹介されていた話が、ホラー真っ青で、背筋がゾクゾクとした。
荻原さんがいくつかのエッセイをとおして書いているのは、安直に神話を扱うことの怖さである。無意識の奥から知らず引きずりだしてしまうかもしれない、闇の怖さなのだ。神話の持つ力。多く神話を背景として創られていくファンタジーも、無意識へ繋がる通路となり得ることを書いている。先のガーナー氏のように、自分を傷つけてしまうことだってあるのだ。だからといって怖れが先行するものではない。必要とされるからファンタジーはあるのだし、読者にとっては楽しい読書体験に違いない。

SFについてのエッセイ“SFのいちおし”は、一時期集中して読んだジャンルだけに興味深かった。フランク・ハーバートの『デューン・砂の惑星』はエコロジーという考えを初めて知った作品でもあるし、物語としての衝撃度が高かったのを思い出す。ル=グゥインの『所有せざる人々』、「アオサギの眼」は私も好きな作品だけに、同じ本が好きというのは、その作家をより身近に感じられて嬉しい。

この本を読んで、日本中世の歴史学者である網野善彦氏と中沢新一氏が、叔父と甥の関係にあることを初めて知った。また、年初めの読書として『平安異妖伝』を読んだ後だったこともあり、“笑う平安貴族”に藤原道隆と藤原道長の名前が出てきたのもタイムリーだった。
と、このようにいろんな意味で楽しい読書だったのである。

読んでいて印象に強く刻まれた言葉はいくつもある。
その中でひとつだけ書いておこう。

わたしたちがファンタジーのようなフィクションを求める動機は、ひとからげに言ってしまえば、世界と自分に関係性があるという感覚を味わうためだと思うのだ。
それが一時的であっても、空想と言いきかせた上であっても。
神話を創造した太古の時代から変わらず、わたしたちは、世界と自分の関係性をいつになっても欲しているのではないだろうか。


誰もが読んで面白いと感じるエッセイではないのかもしれない。でも、神話やファンタジーに少しでも興味があるならば、楽しめるのではないかと思う。
最初は買うか迷っていたのだけど、柚子庵の空穂さんのレビューを読ませて頂いて購入を決めた本だった。

(2007年1月7日読了)

仕事の忙しさもあって感想の更新が進まず、読了本が溜まるいっぽうなのは困った状態だ。
ならば厚い本を読んでみようかと、昨日積読本の中から浅倉さんの『君の名残を』を取り出してみた。友達がくれたアーモンドチャイを淹れ読み始める。タイムスリップもので現代から行き着いた時代は、源平合戦を控えた平安末期。気づいてみれば文庫上巻を読み終えていた。あ、まずい。これはだいぶ予定が狂ってしまった。次はもっと長編にしなくては。
| 荻原規子 | 20:07 | comments(7) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

こんにちは。
TBどうもありがとうございます。
雪芽さんにも楽しんで読んでもらえたようで、私も嬉しいです。

「ファンタジー」を銘打ちながら、それだけにとどまらず、SFや平安文学などについてのエッセイも書かれているあたり、本当に幅広いですよね。
平安文学なんて、文法がどうしたとか「教育」と結びついた思い出しかありません……。

この本を読むと、「はたして私の奥底には何が眠っているのだろう」ということが気になります。
とはいえ、それを引っ張り出そうとするのはちょっと恐いですね。
| 空穂 | 2007/01/21 10:12 PM |
空穂さん、こんばんは!
そうなんです、読むのが楽しくて楽しくて。

平安文学というと『源氏物語』
しかも浮ぶのは大和和紀の漫画『あさきゆめみし』
これではいけませんね(笑)
授業で解体された後の文学作品はどうも読む気が失せます。

自分の中に眠る無意識の世界は、びっくり箱のようなものかもしれませんね。
いざフタを開けてみて、飛び出したものに驚く。
腰を抜かすだけならいいけど、コワイ、コワイ。
| 雪芽 | 2007/01/22 9:34 PM |
雪芽さん、こんにちは。
ファンタジー・・その文字だけですでに興味津々です(笑)
>熱情を帯びて読むエッセイ・・
おお〜!!それはぜひ私も体験したいです。
子どもの頃のファンタジー経験・・私、多い方だと思うのですが、大人になってからまた読み返すと、また世界は違って見えるものですね。
それって、世界と自分の関係性に関する感覚が変わってきてるのもあるのかも・・と読ませていただきながら感じました。

実はもう少しで職場を辞めることになりましたので、今のうちに・・とばかり毎日本を買い込むしまつです(笑)
この本も、もちろん購入決定です。
| hitomi | 2007/02/06 3:28 PM |
あら・・いけない(汗)
名前hitomiで入れてしまいました。上のコメント、私です。
| | 2007/02/06 3:32 PM |
瞳さん、こんばんは!
読んだことのある本の名前が出てきたりして、つい熱い読書となりました。(笑)
子どもの頃のファンタジー経験が多くて、いまもファンタジーが好きというならば、なおおススメかもしれません。
自分の年齢とともに読み取れるものが変わる本といえば、
『星の王子さま』もそうですよね。
読む度に新しいオアシスを発見できるって嬉しいものです。
この本は荻原さんのファンタジーに対する凛とした姿勢も素敵でしたよ。

いまのお仕事辞めるのですか。
そうなるとたくさん本を買いたくなってしまいますね。
どんな本を買われたのか、また感想が楽しみです♪
| 雪芽 | 2007/02/07 9:35 PM |
雪芽さん、お久しぶりです!
この本、図書館で予約していてもうすぐ貸し出し
です。ずーっと待っていたところに雪芽さんの記事
を読んで、ますます早く読みたくなりました。
荻原さんの本をここのところ続けて読んでいて、す
っかり面白さと内容の濃さに浸っています。
| | 2007/03/03 6:20 AM |
雫さん、こんばんは!
ただいま予約中ですか?
読み待ち、楽しみ待ち中ですね。
勾玉シリーズ以外も読んでみたいと思っていますが、
あちこち寄り道多いですからなかなか戻ってこれません(笑)
荻原さんの作品は登場人物の描き方とか、文章とか、
濃密で美しくていいですよね。
| 雪芽 | 2007/03/06 8:47 PM |

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