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*「スロウハイツの神様」上・下 辻村深月

スロウハイツの神様(上) スロウハイツの神様(下)
スロウハイツの神様(上)
スロウハイツの神様(下)
辻村 深月
夢を実現してなお走り続ける者。夢に向かい走り続ける者。小説、脚本、漫画、映画、絵と表現する手段は違っていても、共通しているのは、内側に創作への強い希求を抱いていること。

猟奇的なファンによる小説を模倣した大量殺人事件から10年。筆を折っていたチヨダ・コーキは見事復活し、売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせた。しかし謎の少女の出現により…。「MARC」データベースより

スロウハイツの住人達はそれぞれの道を求めながら、同じひとつ屋根下で暮らしている。時に創り手としての葛藤や将来への不安、複雑な思いがない交ぜになることもある。それでも走り続ける彼らの姿は、ひとつの季節の輝きを思わせて眩しい。限定された時間に凝縮された、後から思い出した時、むず痒い痛みとともにあれは幸せな時代だったと思い出す、それがいまの彼らだ。
ミステリーというより、これは青春小説と呼んだほうがいいかもしれない。走り続ける彼らを追って、上下巻いっきに読んでしまった。とくに下巻12章からがもう止まらない。それについてはまた後で。
まずこの同じひとつ屋根の下での共同生活という設定が、学生時代の延長みたいでいいなぁと思ってしまう。住人はオーナーの赤羽環の友人、知り合い関係というのもあって、気心も知れた雰囲気。庭で皆で一緒に食事したり、花火に興じたりと楽しそうなのだ。
とはいえそれぞれの分野で一人前になるという目的もあるわけだから、表には出せない葛藤も生まれる。環はすでに売れっ子の脚本家だし、同じ住人のチヨダ・コーキは人気小説家ということもある。果たして自分達はふたりのようになれるのか。不確かな未来を模索する卵達。デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』を読んだ時にも感じたが、登場人物達の細やかな心理描写が巧い。

各々抱えている思いはあっても平穏に過ぎていた共同生活に、チヨダ・コーキのファンという少女が現れたことから、10年前の出来事が再浮上、謎に秘められた驚くべき過去とは、そして住人達は…

読んでいると展開が読めてしまう部分もある。謎解きマニアではないので、私としてはわかりやすくてよかったといえるが(笑)、中には物足りなく思う読者もいるかもしれない。が、下巻12章から最終章でみせる伏線回収の手並みが見事なのである。何気なく読んでいたひと言、些細な場面にこんな意味があったのかと驚き感心することしきりだった。あることのために住人が団結する場面も熱くてよかった。ぎりぎり崖っぷちでの団結話って好きなのだ。チヨダ・コーキのひと言には笑ってしまったが。本家本元なのに置いてきぼりはない(笑)

最終章のチヨダ・コーキの回想場面はちょっと泣けそうになった。長い長い思いの果てにある現在のふたり(相手が誰かは読んで確かめましょう)の関係、しかもお互いに相手を思う気持ちの深さがわかるにつれ、最後の選択はありなのか!?と思ってしまった。読んでいるこっちのほうがじたばたしたくなる。そんなもどかしさも結局はすっきり回収していってくれるので、これから読む方はご安心を。
住人達のその後についてはだいぶ出来過ぎの感があるが、読後感としてはこれでよかったのかと思う。

辻村さんの作品はこれでデビュー作と最新作を読んだ形になる。
間の作品も購入済なのでおいおい読んでいきたい。

2007年1月16日、17日読了
| 辻村深月 | 19:37 | comments(8) | trackbacks(4) | | |

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♯ コメント

辻村作品では「ぼくのメジャースプーン 」を読んだことがあります。とても良い、濁った心が洗われるような 苦笑 作品だったのですが、他の作品、何を読もうかと思案していましたが、これが最新作なのですね!! これにして見ましょうか〜 笑
| yori | 2007/02/26 9:18 PM |
yoriさん、こんばんは。
濁った心が洗われる?
それは早く「ぼくのメジャースプーン」も読まなくちゃ!
心のお洗濯が必要と感じる今日この頃ですから^^;
デビュー作もなかなか面白かったですよ。
| 雪芽 | 2007/02/27 8:49 PM |
はじめましてー
辻村さんの小説ってどれも最後があまりにも出来すぎなんですよね。
でもそれがいいのですし、しかも何故か涙腺にくるんですよね。
辻村さんの作品はデビュー作以外は他の辻村作品に出てきた重要な登場人物が出てきます。この小説もとある辻村作品の人物が出ています(ヒントは表紙)。それも辻村作品の楽しみ方の一つなんです。
| リベ | 2007/03/11 10:39 PM |
リベさん、はじめまして!
コメントありがとうございます。
最後の最後までしっかり登場人物たちの行く末を書いてくれるので、どうなったんだろうって物語の余白を想像する楽しみともどかしさは少ないけれど、満足できるラストだからいいんだよなって納得してしまいます。(笑)
辻村さんの作品て涙腺にもきますよね。
表紙をじ〜〜っと見つめてみたけど、わ、わからない。
誰だろう。他の作品も早く読まなくては。
| 雪芽 | 2007/03/12 9:55 PM |
雪芽さんこんばんは。あのコーキの一言には私も微笑んでしまいました。しかも不思議なことに、読んでいる自分もあの瞬間コーキの存在が抜け落ちていて「あ」となっていましたよ。
| たまねぎ | 2007/03/16 12:50 AM |
たまねぎさん、こんばんは。
緊迫した追い込み場面なのに、思わず笑ってしまいましたね。
笑いもあるけど涙もある。お約束の展開かなって思うところも、感動に繋がっていくのはどうしてなんでしょう。
| 雪芽 | 2007/03/16 10:21 PM |
お約束の展開でも、読んでいるものの予想を上回る感動を与えてくれた作品でしたね〜。
いや、もう大満足でございました。
コーキや環などの創作への姿勢は、大げさかもしれませんが辻村さんの作家としての決意表明のようにも思えました。これからも読んでいきたい作家さんの一人です。
| エビノート | 2009/05/10 10:08 PM |
エビノートさん、こんばんは。
いろんな希望や野望を持った若い情熱がひとつ屋根の下、っていうだけでもわくわくと楽しく、その上謎あり感動ありなんですよ!!
もういうことないですよね。
次の作品を期待してしまう作家のひとりです。
その前に中抜けの作品も読まないと。
| 雪芽 | 2009/05/10 10:51 PM |

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スロウハイツの神様  辻村深月
基本的にはハッピーエンドが一番好きです。 もっとメチャクチャに。突き抜けるところまで突き抜けてほしい。こんな甘っちょろいお涙頂戴は××!これまで何度もそう書いておいて今更ですが。もちろんそういう内面を抉ってぐちゃぐちゃに掻き回す話もかなり好きです。
| 今更なんですがの本の話 | 2007/03/16 12:51 AM |
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| まったり読書日記 | 2009/05/10 10:01 PM |
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