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*「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ 

天国はまだ遠く
天国はまだ遠く
瀬尾 まいこ

本の感想を書こうと思い、さてどう書き出そうかなどと考えていたら、どういうわけだか『水戸黄門』の主題歌が頭の中で鳴り出した。そうだそうだ人生には楽な時もあるし、苦しい時もあるものだ。楽な時は楽なのだからまずはいいとして、どっちを見ても自分の見ている風景が苦一色の単色だったら、辛い気持ちであるには違いない。
主人公の千鶴が旅に出たのはそんな心境の時である。ある決意を持って旅に出るのだ。
ところが千鶴の気持ちとは裏腹に、物語の始めのほうで深刻な決意はあっけなく頓挫してしまう。事の実行には効果はなかったが、14錠の睡眠薬は深い眠りと爽快な目覚めには大いに役に立った。死ぬつもりがたっぷり寝てすっきりと目覚める。この脱力した展開は瀬尾さんらしい。

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
「BOOK」データベースより

多くのものには距離が必要だ。千鶴に必要だった距離、自分と自分の置かれている場所を離れた視点で見れる距離感覚。物語冒頭の千鶴の視点は固定され、ただひたすら疲れていた。内側から距離を取れないなら、無理矢理にでも距離を作ってしまう。旅の目的は良いとは言えないが、結果良かったのである。
民宿の田村さんが飄々としていて味わいがある。あくせくと時間に追われ働く人間にとっては羨ましいような生活。う〜ん、それも少し違うかな。千鶴のように田村さんの生活が自分のものじゃないから羨ましいと思うのだ。遠くにあるから羨ましいのである。
時間だけはたっぷりあるのどかな生活に溶け込んできたように感じていた千鶴も、やがて気づく。田村さんはもっと早くから、たぶん最初から気づいていたのだろう。苦しくても歩き続け、苦しさを遣り過ごす方法もあれば、ちょっと寄り道したり足を止めて休んだりという方法もある。千鶴が訪れた場所は田村さんには根を張る場所であるが、千鶴は風に吹かれて迷い込んだ根付かない種子である。やがては自分の居場所に根を下ろす時がくるのだ。

この本を読んだ頃、自分としてもいろんなことが重なり、千鶴の心境に共鳴できる部分があった。そのせいか読みながらのんびりと気分が和らいでいくようだった。
疲れたなぁと思ったらこの1冊!まるきり栄養ドリンクのコマーシャルみたいだけど、効く人には効きます(笑)

(2007年2月25日読了)

| 瀬尾まいこ | 02:54 | comments(12) | trackbacks(6) | | |

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♯ コメント

おはようございます、雪芽さん。

<>疲れたなぁと思ったらこの1冊!まるきり栄養ドリンクのコマーシャルみたいだけど、効く人には効きます(笑)<>

癒されても、いつか都会に帰って行くしかないんですから、上の文に納得ですよ。

| モンガ | 2007/04/15 7:36 AM |
雪芽さんo(^-^)oお久し振りです。お元気でしたか?私は去年の勤労感謝の日の頃読みました。タイムリーでした。田村さんが作る料理に癒されそうでした。私の場合は田村さんまではいかないけど適度な、田舎暮らしなので逆に都会には住めないという感じです。
| 菱沼 | 2007/04/15 9:32 AM |
私もこの本大好きです。瀬尾さんのいらっしゃる丹後の風景が思い浮かびます。
| 柚子茶ちう | 2007/04/15 11:28 AM |
雪芽さん
こんにちは〜。自分と重なりましたか〜。登場人物が自分と重なると共感できますよね。
そして距離って、必要ですね。距離があることでいろんなモノの見方が変わったり幅広くなります。そういうところ、この本は好きだったなぁ★
| やぎっちょ | 2007/04/15 12:13 PM |
モンガさん、こんばんは。
生活する場所と癒される場所が同じなら、遠くまで旅する必要もないんでしょうけどね。
癒しがブームになるほど疲れている人が多い現代ってどうなんだろう、って思ってしまいます。
| 雪芽 | 2007/04/16 9:38 PM |
菱沼さん、元気ですよ〜!風邪もすっかり治りました(^.^)
この本、勤労感謝の日に読むにはうってつけかもしれません。やはり自分の住んでいる場所が落ち着きますよね。私は雪のない冬はダメかも。田村さんの料理美味しそう。普通に素朴な和食が食べたくなります。ついでに誰かが作ってくれれば最高なんですけど(笑)
| 雪芽 | 2007/04/16 9:39 PM |
柚子茶ちうさん、こんばんは。
あとがきを読むと、瀬尾さんの丹後での実生活が小説に生かされているみたいですね。今度のGWは少し自然に触れる時間が取れるといいなと思っています。5月の初めには桜も咲くかもと期待しつつ。
| 雪芽 | 2007/04/16 9:41 PM |
やぎっちょさん、こんばんは。
そうなんです、珍しく疲れていたようで(笑)、これは共感し共に癒される読書でした。
コロンブスの卵じゃないけど視点を変えると違ったモノが見えてくるのに、けっこう堂々巡りしてしまうのが人間のようです。ちょっと深呼吸が必要な時ってありますね。
| 雪芽 | 2007/04/16 9:43 PM |
こんばんは★
ちょうど色々悩んでいるときにこの本を読んだので、
瀬尾さんのほんのりした文章の中にも、
少なからず衝撃を受けました。

ラストで千鶴が都会に戻ってやるべきことを見出すことを決意したシーンがとても印象的でした。

私もゆっくり居場所をみつけられたらいいなぁと思いました。
| Rutile | 2007/05/01 10:14 PM |
こんばんは、Rutileさん。
本には読むタイミングというものがありますね。
迷った時とか、自分の後押しをしてくれる言葉を本の中に見つけることがあって、不思議だなと思うことがあるんですよ。
自分の居場所、ゆっくり見つけていってくださいね!
ここだ!と思っても時がたてば居心地悪くなることもあるし、その時はまた違う場所があるはず。
人はどんどん変わっていくものだから、鉢植えと同じように、窮屈になって根が底からはみ出してしまったら、植え替えしないとね。
| 雪芽 | 2007/05/03 7:21 PM |
こんにちは。樽井です。
 この本を読んで、他によんでいる方いるかなぁと探してみたらこちらがあがったので、やってきました。この本、よいですよねぇ。
 元気が出て来ますね,確かに。
 あの田村さんの不思議な味がいいですし、主人公、田村さんもいうように「全然自分の思っているのと違い過ぎ」です^^
| 樽井 | 2008/06/05 1:31 PM |
こんばんは、樽井さん。
気持ちの凝りが自然と弛緩していくような作用のある本でした。
現実にはいまの環境を離れてひと休み♪なんて無理なので、本の中でリフレッシュです(笑)
田村さんの存在感はいいですよね。
| 雪芽 | 2008/06/06 10:08 PM |

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