本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
ネタバレもあるので未読の方はご注意ください
<< November 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
RECOMMEND

 極北ラプソディ 

  
読んだり観たり
雪芽さんの読書メーター 雪芽の最近読んだ本 雪芽さんの鑑賞メーター 雪芽の最近観たビデオ
読みたい!聴きたい♪
Blog散歩道
今年読んだ本
将棋○名人戦・順位戦●
≡ SPONSORED ≡
<< 「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ  | main | 飛び出す、物語。 >>

*スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | | |

*「太陽の塔」 森見登美彦

太陽の塔
太陽の塔
森見 登美彦

この文庫は買ってからずっと積読本になっていたのだが、あっちこっち、そっちこっちの本ブログを周遊してみれば、いたるところで“太陽の塔”が立ち始めているではないか。この現象はいったいなんであろう。謎を解明すべく本を紐解くのであった。
ところがである。最初の何ページかを読んだだけというのに、もう気分的には2,3歩後ろへ体勢が引いていた。いっそこのまま後退してしまおうかと思ったほどだ。

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
「BOOK」データベースより

振られた元恋人の「水尾さん研究」に勤しむ主人公の京大生。いかにも怪しげだ。というかストーカーかお主は。完全に引き気味だったにもかかわらず読んでしまったのは、昔の文豪小説っぽさを匂わせる文体と、妄想迷走する男子学生たちの魅力にいつしか引き込まれていたからだと思うのだ。
京都という町が醸し出す雰囲気なのだろうか。いまどきの若者とはずれたダサめの登場人物たちの行動や言動のせいなのか。現代を描いてなお懐かしさを感じさせる話だった。おおいに笑い、おおいに楽しませてもらった。出だしから受けた印象とは180度変わって、この世界が好きになってしまった。不思議な魅力のある本である。

時に自信過剰気味で血気盛んな言葉をぶち上げるのだが、吐き出した言葉の先がくしゅんとへし折れ行き先を見失ったりと、鼻息荒く息巻いている割に哀切が漂う男子学生たち。なんだかかわいいではないか。
招き猫と対峙する主人公、自分の夢玉を失って意気消沈する友人飾磨、友人先輩諸氏も強烈で面白い。飾磨が仕掛けた「ええじゃないか」騒動も読んでいてむやみに楽しく、やがて喧騒を離れて悲しみを帯びるのである。
男子学生たちもさることながら、独断で「宇宙遺産」にしてしまうほど太陽の塔に熱中する水尾さんの存在も欠かせない。恋に回帰していくであろうラストの描写が、明るく清々しい空気に満ちてとりわけ好きだった。

一度だけ京都に行ったことがある。それは修学旅行でだった。京都のホテルでの夜の出来事を思い出したのは、主人公が仕掛けたゴキブリキューブの話からだった。
ゴソゴソと蠢く物音。恐怖の体験。飛び道具を持っているとは反則である。なにしろゴキブリを見るのは初めてのこと。朝になって明るいところでその大きさを知った時は心底驚いたものだ。こんな大きなモノが部屋を徘徊していたとは。
ゴキブリキューブは京都での恐怖体験を超える、想像したくない、なのに読んでしまったらリアルに想像されるおぞましさだった。キモチワルイ〜
しばらくカップラーメン食べられないんじゃないかと思ったものだ。
とはいえ、読むぶんには主人公の悲喜劇に笑ってしまうのはどうしたものか。

森見さんの描く世界にすっかりハマってしまった気がする。
残りの既刊4冊を買ってほくほくと読んでいるところだ。読む時は京都の地図を傍らに置いて読んでいる。時折地図で場所を確認しながら読むのだ。
しばらく森見ブームは続く。

(2007年3月12日読了)
| 森見登美彦 | 23:08 | comments(16) | trackbacks(8) | | |

*スポンサーサイト

| - | 23:08 | - | - | | |

♯ コメント

ご無沙汰です!お元気ですか??
めっちゃ雪芽さんと同じでした(笑)
引き下がりそうで、一瞬読むのやめようかと思ったんですけど
踏ん張って読んでいくと
なんだか愛着がわいてきて
最後はいとおしくなりました(笑)
森見さんブーム、まだまだ続きそうです!!
| 弥勒 | 2007/04/16 2:28 AM |
雪芽さんこんにちは。
なんだか復帰後ハイペースで読書(というか記事UP?)が進んでいますねー。速い速い。
それにしても。
○○○○キューブ。恐怖と絶望のどん底に突き落とされました。速読でももうちょっとちゃんと読むだろう、というくらい読めない部分でしたねぇ。森見さんは積極的に読んでいきますが、次同じモノが出てきたらもうそれ以上は読まないかもしれません!!
| やぎっちょ | 2007/04/16 5:52 AM |
こんばんは!雪芽さん♪
私も最初は引き気味でした〜(^_^;)
こんな主人公が周りにいたら、引くでしょうね〜きっと。
でも、京都の独特の雰囲気や森見さんの文章で読んでいると、不思議と憎めない。
それどころか、最後には彼らに幸あれ!といいたくなっちゃうんですよね(笑)
| エビノート | 2007/04/16 8:56 PM |
彼らに乙女を感じて、愛らしくさえ思えてしまう私って・・と思ってたんですけど、雪芽さんもだったんですね。うれしいです♪
そしてええじゃないかのあとは、確かに
>やがて喧騒を離れて悲しみを帯びる
ほんと、そうでした!その感じがたまりませんでした。
そしてあのラスト・・。やっぱりファンタジーです。
| june | 2007/04/16 9:37 PM |
弥勒さん、お久しぶりです!
最初の試練を越えてしまえばもう怖いものなしです。
男汁〜?いらんっ!(笑)とツッコミいれながら、それでもだんだん彼らから離れられなくなってました。
いとしくさえ思えちゃいますよね。
森見さん、クセになる。怖いな〜(喜んでます)
| 雪芽 | 2007/04/16 10:01 PM |
やぎっちょさん、速いのはここまでです^^;
今週はもう記事を更新できそうにないので猛ダッシュで書きました。超短距離ランナーです。
森見さんは虫がお好きなのでしょうか。いま読んでいる『四畳半神話大系』にも虫が出てくるんですよ。ヒッチコックばりです。○○○○ではないのでご安心を!(たぶん)
| 雪芽 | 2007/04/16 10:02 PM |
エビノートさん、こんばんは〜♪
最初に引いた分余計ハマり込んでしまいました。
真面目に悪戯し掛け合っている姿がおバカだなぁって思うけど、全然湿度がなくて笑えるんです。
ほんと幸せになって欲しい。こんなに陰ながら応援団が増えているなんて、彼らは思いもしないでしょうね。
| 雪芽 | 2007/04/16 10:04 PM |
juneさんが乙女と書いているのを読んですごく納得してしまったのです。それだ!と。
男臭いし、シャレてないし、口の割りに不器用だし、いけてないけど、彼らの心根にある純な感じがよいのですよ。
妄想爆笑に物悲しさがあって、笑いだけに終わりませんよね。
ずっとこれがファンタジー?これが?って思ってましたけど、あのラストはファンタジーでしたね。
| 雪芽 | 2007/04/16 10:05 PM |
どうやら後退する機会を逸してしまったようで……
森見さんの世界はハマると深いようです
もう後戻りは出来ませんよ
| たまねぎ | 2007/04/16 10:20 PM |
たまねぎさん、京都の迷路をスキップしながら歩いていますよ〜
いざ進め森見ワールド!
| 雪芽 | 2007/04/17 10:34 PM |
こんにちは。
はじめは目が点でしたが、慣れるといっぱい笑えました。
これって京都でなければ成立しない物語なのでしょうね。
森見さん、クセになりますよね〜(笑)。
「新釈走れメロス他四篇」も、おすすめです。
トラバされていただきました。
| 藍色 | 2007/04/25 3:09 PM |
藍色さん、こんばんは。
「太陽の塔」さえ読まなければ、読まなければ〜、妄想男汁満載の森見世界とは無縁だったでしょうに〜
人生も本もどこでどう転ぶかわからないものですね。
一度この濃厚な味を知ってしまうと、なかなか抜け出せません。
「新釈走れメロス他四篇」も楽しみです!
| 雪芽 | 2007/04/26 9:53 PM |
こんにちは。

「太陽の塔」は、森見作品の中でも特に男汁たっぷりの本でした。
本から汁がしたたり落ちないのが不思議なくらいです。

森見さんの描く独特の世界は、本当に中毒性が高いですね。
| 空穂 | 2007/08/14 11:44 PM |
空穂さん、こんばんは!
「太陽の塔」も読まれたんですね。
ええ、ええ、男汁たっぷりで暑苦しく、夏には読みたくないです(笑)
森見さんの世界はいったん足を踏み入れると楽しくて、黒髪の乙女のように二足歩行で闊歩したくなります。
| 雪芽 | 2007/08/15 10:30 PM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
雪芽さんの記事を読んで気がつきました。
「おもしろうてやがて哀しき〜」なのですね、この物語は。
うん、いいですね。うむうむ。
あ、でも「ご○○りキューブ」は勘弁してください・・・(-_-;)。
水尾さんの真の姿を知りたいのは私だけでしょうか?
| 水無月・R | 2008/03/11 11:41 PM |
水無月・Rさん、こんばんは。
「ご○○りキューブ」は嫌ですよねっ、絶対にっ!
不思議ちゃんで謎多きヒロインの水尾さんの真の姿には興味が沸きますね。
乙女キャラの進化系が黒髪の乙女なのかなと思いました。
森見さんの小説は妄想爆走で可笑しくて堪らないのですが、ピリっと効いた哀切感が目に沁みることもあって、デビュー作のこの作品でも最後にきました。これけっこう効きます。
| 雪芽 | 2008/03/14 9:29 PM |

♯ コメントする









コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。


♯ この記事のトラックバックURL

♯ トラックバック

太陽の塔/森見登美彦
太陽の塔 最近お熱の森見さん作品。 「太陽の塔」/森見登美彦 私の大学生活には華がない。 特に女性とは絶望的に縁がない。 三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。 しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! ク
| 徒然書店 | 2007/04/16 2:30 AM |
太陽の塔 森見登美彦
太陽の塔 ■やぎっちょ書評 昨日juneさんの記事「夜は短し歩けよ乙女」にコメントを残しに行ったら、「太陽の塔」は「夜は短し〜」の後日談説、ということが書かれていたので、慌てて読んでみました。 しかるに。。。 どうでしょ。結局は後日談じゃないと思います。
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2007/04/16 5:55 AM |
太陽の塔 〔森見登美彦〕
太陽の塔森見 登美彦 新潮社 2006-05売り上げランキング : 1966おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 私の大学生活には華がない。 特に女性とは絶望的に縁がない。 三回生の時、水尾さんという恋人ができた。 毎日が愉快だった。 しかし水尾さん
| まったり読書日記 | 2007/04/16 8:48 PM |
「太陽の塔」森見登美彦
太陽の塔 日本ファンタジーノベル大賞受賞作を読もう!企画も、もう第7弾です。これだけ読んでまたまた当たりです!それにしてもこれを大賞に選ぶとは、日本ファンタジーノベル大賞恐るべしです。器が大きいです。これはやっぱりファンタジーなんですよね。アンソロ
| 本のある生活 | 2007/04/16 9:34 PM |
太陽の塔  森見登美彦
我輩は悩んでおる。葛藤の中にいるのだ。こちらとあちらの間にはマリアナ海溝よりも深い溝が存在する。私の心の中でジキルとハイドならぬ、しきる君とまいど君がはげしい泥仕合を繰り広げているのだ。 しきる君とは常に客観的に見栄えの良いよう、あれこれと指示を出し
| 今更なんですがの本の話 | 2007/04/16 10:43 PM |
太陽の塔 森見登美彦
装画は影山徹。装幀は新潮社装幀室。 2003年「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。主な作品「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「きつねのはなし」「新釈走れメロス他四篇」など。 主人
| 粋な提案 | 2007/04/25 3:04 PM |
森見登美彦【太陽の塔】
京大農学部で遺伝子工学を研究していた男が、研究対象を「水尾さん」に変更した。研究停止の宣告を受けつつも決然として己の意志を貫く「森本」の華麗なる妄想と男汁にあふれた日々。 太陽の塔森見 登美彦 (2006/05)新潮社 この商
| ぱんどら日記 | 2007/07/09 3:03 PM |
『太陽の塔』/森見登美彦 ○
いや〜〜。濃ゆい・・・ですな。あの森見登美彦さんが、こんな濃ゆい「男汁」たっぷりなデビューを飾っていたとは…ビックリですわ〜。
| 蒼のほとりで書に溺れ。 | 2008/03/11 11:38 PM |
ABOUT
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
TRACKBACK
ありがとうございます
COMMENTS
ありがとうございます
LINKS
MOBILE
qrcode
OTHERS