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*「歩行」

おもかげをわすれかねつゝ
こゝろかなしきときは
ひとりあゆみて
おもいを野に捨てよ


尾崎翠は1971年75歳で永眠している。
75年の人生、だが作家としての活動期間は短い。
生涯の半分にも満たないのではないだろうか。
「放浪記」で知られる林芙美子とも親交があったが、人生半ばで筆を絶った尾崎翠は、長い間忘れられた作家でもあった。
「歩行」の主人公は小野町子。
翠の他の作品にも登場する長男小野一助、次男二助を兄に持つ町子が祖母と暮らしている頃の、淡い恋心を描いた小品だ。
兄一助の勤務する心理病院(となっている)の一医員で、分裂心理を研究する幸田当八は、研究資料集めの遍歴の旅に出る。その短い逗留先として一助が祖母の家に紹介状を送ったのだ。
町子と当八氏は研究のため、屋根裏部屋で恋の戯曲集を読み合う。当八氏が去った後、町子の心はひとつの想いで占められることになった。
祖母は孫の塞ぎの様子を心配してお萩を作り、重箱に詰め、いくからでも歩行させようと松本氏宅へ使いに出す。
祖母の使いを果たした町子はつぎに、おたまじゃくしの詩を書くという九作氏の無知を心配した松本氏の意向を受け、おたまじゃくしを入れた重箱を持って九作氏の家に向う。
こうして町子は祖母の願いどおり歩行を重ねるのだ。

おもかげをわすれかねつゝ
こゝろくるしきときは
風とゝもにあゆみて
おもかげを風にあたへよ


忘れがたく忘れたい想いがある時、この詩のように歩くのもいい。
恋心に限ったことではない。
抱えきれない想いがあったなら、まずは歩いてみる。
その手に重い重箱があれば、なおいい。
| 尾崎翠 | 21:59 | comments(0) | trackbacks(0) | | |

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