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*「きつねのはなし」 森見登美彦

森見 登美彦
新潮社
¥ 1,470
(2006-10-28)

デビュー作、2作目と続けて京都を妄想と爆笑の似合う街に(私の中でのお話)変えてしまった森見さん。このまま妄想街道を突っ走るかと思いきや、趣向を変えてきた。同じ京都を舞台に、歴史を重ねた土地に潜む魔が地上に滲み出し、空気を振るわせる。いかにもありそうだと自然と納得してしまう、京都はそんな雰囲気を持った土地に思える。

京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は―。端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。
「BOOK」データベースより
それまでの懐古的文学調の文章に慣れていたせいか、淡々とした文章にまずおやっと思う。凄みのある文章ではないが、ちょっと怖い、なんだか怖い、という今回の話にはほどよいといえそうだ。こういう書き方も出来ることに安心する。
収録されているのは以下のよっつの作品。

きつねのはなし
果実の中の龍

水神

それぞれに独立した話として成立しているが、関連し合ったひとつの世界として見て取れる。ひたひたと水分を多く含んだ冷気に包まれるような、ゆるゆるとした怖さ、このあたりがとても自分の好みに合っていた。匙加減が難しい。

和紙で出来たきつねのお面が欲しいと思ったことがある。買わなくてよかった。いま部屋にあったなら、背筋が薄ら寒くなっていただろうと、表題作でもある「きつねのはなし」を読んで思った。
天城を中心に交わされる駆引きにぞくりとさせられる。この男の底の見えなさと彼に翻弄される武藤くんの若さ、ナツメさんの見せる謎めいた翳り、艶っぽく妖しい作品になっている。薄暗い空間に揺らめく幻燈の灯り、狐面の朱、漆黒の盆に浮ぶ金魚絵柄、注し色の朱が鮮やかに効いている。
よっつの話の中ではこの「きつねのはなし」が一番よかった。他の作品も雰囲気のある話だが、「魔」だけは分かりずらかったかなと感じた。

この作品の後に書いた2作は『太陽の塔』の系列で、「きつねのはなし」だけが異質な作品になっている。こういうのも書いてみました、で終わるのかも今後気になるところだ。

(2007年4月28日読了)
| 森見登美彦 | 17:55 | comments(8) | trackbacks(7) | | |

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♯ コメント

モリミー作品を初めて読んだのがこの本でした。
装丁からちょっと怖い話かな?的に思って購入したのが
モリミー世界にハマるきっかけで。
雪芽さんと同じく「きつねのはなし」が一番良かったです。
うすら寒さが他のに比べてよく感じられましたよね。
夜中に読んでいたので
より背筋がゾクゾクしたのを覚えています。
| 弥勒 | 2007/05/27 11:29 PM |
弥勒さんはこの本が初モリミーだったんですね。
私は『太陽の塔』が初だったので、妄想爆笑のない森見作品はとっても新鮮な印象でした。

夏の夜に読んだらひやひやしてよかったかななんて思いますが、北海道の夏の夜は爽やか過ぎて、夏だから読むという意味もないかもしれません。
| 雪芽 | 2007/05/28 10:02 PM |
先日この作品に出てくるような、紙の狐のお面を見る機会がありました。
今までだったら可愛いと思えたものが、ちょっと背筋を震わせてきそうでした。
きっとこの本のせいだと思い苦笑です。
| たまねぎ | 2007/05/30 12:58 AM |
たまねぎさん、こんばんは。
縁日で狐面を被っている人を見たら、そそそそそと気取られぬよう逃げ出す自分が想像できます。
本の影響って凄いですね。同じものがいままでと違って見えてしまうのですから。
| 雪芽 | 2007/05/31 10:18 PM |
京都は闇がよく似合う!と言った人がいますが、この作品は本当に京都の雰囲気にあっていたと思います。
等価交換にまつわる物語は数多くありますが、どんなに欲しいものがあっても彼にだけは頼みたくない!と心底思いました。
| らぶほん | 2007/08/19 10:44 PM |
らぶほんさん、こんばんは!
京都の闇は他所とは違うのではと思ってしまいます。
土地柄の持つ雰囲気がぴったりハマる作品でした。
そうですよね、取られるものの代償が大き過ぎて怖いですよ。
彼を前にしただけでゾクゾク背筋が寒くなりそう。
暑い夏にはぴったりともいえますか。
いえいえ、止めておいたほうがよさそうですね。
| 雪芽 | 2007/08/21 11:39 PM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
確かにこの作品の後に「きつね」のお面の人を見かけたら、逃げたくなるかも知れませんね〜。
京都という土地が生んだ、京都しか生み出せないであろう、「ケモノ」が不気味でしたね。
でも私、恐くなかったんです。京都という土地にシンクロできなかったからだろうと思います。
| 水無月・R | 2008/05/18 11:19 PM |
水無月・Rさん、こんばんは。
きつねのお面は好きなんですが、これを読むと怖くてやはり部屋には置けません。道で出会うのも遠慮したいな〜
京都で少しでも生活した経験があれば、もっと肌で感じる部分があるんでしょうね。シンクロできないというのはわかります。
それでもひんやりした感覚が肌の上を通っていって、少し体温が下がりました。
遊びに行きたいなぁ、京都。いざ、実感京都!
| 雪芽 | 2008/05/19 10:10 PM |

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『きつねのはなし』/森見登美彦 ○
これは・・・判断が難しいな〜。たぶんね、この物語を最初に読んだら、森見登美彦さんにはハマらなかったような気がします。私的には、愛と笑いとツッコミ処にあふれる、モリミーワールドが好きなので・・・。 良くも悪くも京都な物語、って印象ですねぇ。魑魅魍魎・・
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