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*「【新釈】走れメロス 他四篇」 森見登美彦

新釈 走れメロス 他四篇
新釈 走れメロス 他四篇
森見 登美彦
名の知れた古典短篇を森見さんが書くとどうなるのか、というのが一番の楽しみだった。読んでみての感想はというと、笑い先行ではなく、いつもの持ち味を生かしながら、情感ある余韻が残る作品が多かった。

原作を読んでこちらを読む。こちらを読んで原作を紐解く。どちらが先でもよいが、たぶん両方読んでみるのが一番よいのだろうと思う。とはいえ、それを抜きにしても異なる作品の風味を楽しめるのでは、と思った。
「山月記」の原作は読んだことがないなと思って読み始めたら記憶にある。なせだろうと考えてみたら思い当たったのが、いまは懐かしき国語の時間。教科書に載っていたのだろう。
人ではない存在になってまで執着を逃れられない哀しさ。舞台を京に移しても違和感なく原作の風景が溶け込んでいる。

芥川龍之介の短篇集は持っているのだけど、いま読み返すことができない。ちくまから出ている文庫版の文学全集の1冊で、けっこうな厚味のある本が行方知れずなのだ。しかもなくなったのが家の中という不可解さ。出てこ〜い。
森見さんの「藪の中」も同じ設定。話の要である三者三様の言い分という設定はさすがに変えられないか。

太宰治を読むと自殺したくなるらしいよ、と学生の頃本好きの友達がまことしやかに言ったものだ。だから太宰治は厭世的で陰鬱とした小説を書いている作家なのかと思っていた。ところがけっこうユーモアを含んだ話もあるし、「走れメロス」といえば友情、というような推薦図書に上がりそうな話もある。
森見さんの描く友情はひと味違っていた。
逆説的な友情の示し方というのだろうか。五つの短篇の中ではこれが一番面白かった。奇想天外な逃走と追跡劇に最後まで目が離せない。なにより桃色ブリーフの印象は強烈過ぎたのである。目の前にチラチラと浮んでは消える三角の桃色ブリーフ。

桜の季節の話として、坂口安吾の「桜の森の満開の下」と梶井基次郎の「桜の樹の下には」が、自分の中では二大双璧といえる。混合する生と死。人間の深い欲。いつも読むたびに、底知れない空虚に引きずり込まれる怖さを感じる話だ。
この本の場合、坂口安吾のものとは違って、幻想のうちに儚く消えることなく終わる主人公の最後が、いっそうの喪失感を滲ませているように思った。

「百物語」は未読なので比べようもないが、不気味な雰囲気のある話だった。

これを機会に、たまには古典を読んでみるのもいいかな。

(2007年5月3日読了)
| 森見登美彦 | 18:21 | comments(10) | trackbacks(4) | | |

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♯ コメント

私もちくま文庫の芥川全集を持ってます、2冊だけ。
しかも薮の中の入っていない巻を。
表紙がなかなか不気味なんですよねこのシリーズ。

そして少しづつですが古い話も読み返しています。
| たまねぎ | 2007/06/06 12:08 AM |
たまねぎさん。
同じちくまですがもしかすると違うものかも。
私の持っているのは、ちくま日本文学全集全50巻の中の芥川龍之介全集です。
全集といいながら、作家ひとりにつき1冊という。
ああ、なんかわかった気がする。
(いま本屋のちくま文庫の棚を想像中)
ちくま文庫は面白そうな本がけっこうあるのですよね。
古い話を読み返し中ですか。
私もちょっと読んでみようかな、という気がしております。
| 雪芽 | 2007/06/07 10:43 PM |
森見さんの既刊読破されたんですね!
おめでとうございます〜♪
私は、『四畳半神話体系』が未読なので今日購入してきました!
読むのはいつになることやらですが、楽しみです。
この短編集では、「走れメロス」が一番好きです!
勢いがあって面白かったです。
こうくるか〜という驚きもあったし
| エビノート | 2007/06/13 8:42 PM |
こんにちは。
森見作品に触れたのはこれが初めてなのですが、「走れメロス」のセンスには脱帽しました。
桃色ブリーフの印象は強烈ですね。

他の作品も森見さんの独特な世界がよく出ていて良かったです。
これを機に、森見さんの他の作品も読んでみたくなりました。
| 空穂 | 2007/06/15 11:10 PM |
エピノートさ〜ん。
ありがとうございます♪珍しくも既刊読破です。
普通なら古く奥ゆかしき日本人の習慣に倣って、
1冊は残しておくところですが、勢いでいっちゃいました!
とはいえ5冊なので小さくオッシ!とガッツポーズ。
エピノートさんもあと1冊ですね。
『四畳半〜』は読むとカステラが食べたくなるんですよ。
『走れメロス』は捻りが効いていて面白かったですね。
男子達が情けないやら、ぷぷぷと可笑しいやら。
| 雪芽 | 2007/06/17 3:00 PM |
空穂さん、こんにちは。
初の森見本ですか?
「走れメロス」は皆さんの評判がいいようですね。
いまでも桃色ブリーフが目の前にチラついてくるように、
文字なのに視覚的に強く残るものがポンポン飛び出すんですよ。
私のお気に入り一番は緋鯉のぬいぐるみです。
『夜は短し歩けよ乙女』に出てくるのですが、
楽しく読めた作品だったので、
お時間があればぜひ読んで頂きたいな〜
| 雪芽 | 2007/06/17 3:00 PM |
雪芽さん、こんばんは。
ご無沙汰しています。

やはり雪芽さんの回りにも、「太宰治読者=自殺願望」みたいな伝説があったんですね。

5編の中では、やっぱり『走れメロス』が秀逸でしょう。
一方『藪の中』は、何だかキレが感じられませんでした。
さだまさしさんの歌に『検察側の証人』という歌がありますが、そちらの方がずっと、『藪の中』っぽいです。
TBさせていただきます。
| touch3442 | 2007/07/01 10:23 PM |
touch3442さんこんばんは!お久しぶりです。
太宰治の読者イコールの話、やはり聞いたことがありますか。
彼自身の生き方から言われるのでしょうか。

『走れメロス』は上手い作りに感心しました。
5篇の中では少し飛び抜けているかしらと。
さださんのその歌は知りませんでした。
そうなんですか、『藪の中』っぽい。
どんな歌詞なのか気になるところです。
| 雪芽 | 2007/07/02 12:32 AM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
愛と笑いとツッコミどころ満載。
あの大学祭の別の一面がここで暴露されるわけですね(笑)。だけど、桃色ブリーフの3人組が舞い踊るというのはどうよ・・・(^_^;)。
「百物語」の語り手「森見君」は今後この腐れ大学生worldに登場するんでしょうかね?!
| 水無月・R | 2008/04/27 12:37 AM |
水無月・Rさん、こんばんは!
お返事遅くなってごめんなさいね。
二週連続で東京へ行ってぼけら〜っとしてます。
桃色ブリーフには大笑いでした。
み、見たいような、見たくないような(笑)
「森見君」はこの先どうなんでしょうね。
いまは狸の世界にいっているので、このシリーズが終ったらまた腐れ大学生worldに帰ってくるのかどうかですね。
どんな世界を描いても、笑いの中に愛とせつなさを滲ませるところなんぞ、やはりモリミー好きって思うのです。
| 雪芽 | 2008/04/30 8:06 PM |

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