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*「サウスポー・キラー」 水原秀策

野球というのは団体競技のはずなのだが、主人公の沢村は根っからのアウトローであり、本人も野球が個人競技ならよかったと思っている。生意気で冷めた目をした男は、チームメイトからすれば可愛げのない奴ということになるだろう。でも、そんな周りの評価や視線など知ったこっちゃないのである。ハードボイルドの主人公はこうでなくてはいけない。
ならばどうして彼が団体競技の最たる野球を選んだのか。しかもプロとしての道を進む現在である。
小学生の頃に遡る兄との対決。越えられない兄との気まぐれな対決で得た清々しい高揚感。記憶に深く刻まれた過去の一球が描く軌跡が、終盤のゲームシーンへ、満身創痍で投げる沢村のプライドと確信へと繋がっていく。
なぜ投げるのか。
孤独に身を置いた男が心に描く軌跡の落下点は、目もあてられないほどボロボロな状態であるのに、爽やかでさえあった。

沢村をスキャンダルに陥れる男・高木の悪役ぶりも実にクールだ。
ほんとうに嫌な奴だが、情の欠片も見せない徹底した冷酷さが、主人公をいたぶる敵役としては魅力的だと思う。ほんとうにほんとうに嫌な奴なんだけどね(笑)
ただですね、こういうハードボイルドの暴力描写を読むのは得てではない。だからほとんどハードボイルドを読まないのかもしれない。ところが思いがけないミスを犯すこともある。かわいい子犬の表紙と純愛小説という触れ込みに読んでみたら、もともとハードボイルドで有名な作家だったのを知らず、その描写にうむむ…となったことがある。本選びも常にハードボイルド並に危険と隣り合わせ、なのかもしれない(?)

推理小説としての部分でいくと、自分が陥れられたスキャンダルの裏に潜む陰謀を、沢村自身が探っていくあたりは面白く読める。
ただ、反りの合わないキャッチャー、コーチ、親切な先輩ピッチャー、急接近の女優が取った行動の不可解などなど、伏線もいろいろ張ってあるが、わりと先の展開は想像ついてしまうのが惜しい。
実力、それに運もプロには必要なのだろう。力でのし上がり、力に怯える。実力への羨望、嫉妬、猜疑心が渦巻く世界。まあ、これはプロ野球に限ったことではないが。沢村の所属するオリオールズのモデルは某球団でしょうかね。その他の球団との人気や金銭面での格差の描写もあり、現実と被るようでなんか苦笑い。

プロ野球にはほとんど興味がなくて、TVで観るとしてもせいぜい日本シリーズくらいだった。ところが今年は結構TVも観ているし、試合の結果も気にするようになった。少しは有名な選手の名前も覚えた。いまようやくプロ野球を面白く感じ始めている頃なのだ。だから少し前までなら手にしなかっただろう、この本を読むことにもなったのである。
ふとしたきっかけで新しい楽しみがポンとやってくる。わからないものだ。

(2007年6月2日読了)
| 推理・ホラー・冒険 | 17:34 | comments(2) | trackbacks(4) | | |

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♯ コメント

>伏線もいろいろ張ってあるが、わりと先の展開は想像ついてしまう
 私はさっぱりでした。まあ、おかげで?すっかり騙されましたが。(^^;
 こういうのはできるだけ一気読みした方がいいんでしょうが、読書タイムはもっぱら朝晩の電車の中なので…。
| higeru | 2007/06/11 12:18 AM |
higeruさん、こんばんは。
お初にお目にかかりますでしょうか?
コメントありがとうございます。
推理小説を読んで、作者に騙された〜と思う、
この瞬間がけっこう好きです。
できるなら見事に騙されたい(笑)
短い時間を惜しんでのコツコツ読書、
その積み重ねって大切ですよね。
私の場合通勤時間が短過ぎて本を開く間がないのですが。
お休み時間前の読書は面白い本にあたると大変。
止められない、止まらない、明日仕事なのに〜
そんな本に出会う嬉しさと苦しさ。
でも、最近睡魔に勝てません^^;
| 雪芽 | 2007/06/11 9:29 PM |

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