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*「僕たちは歩かない」 古川日出男


古川 日出男 / 角川書店(2006/12)
Amazonランキング:135629位
Amazonおすすめ度:


近年の作品を読んだことがなかったので、古川さんといえば濃密な文章が紡ぎ出す豊饒な物語性を持つ作家というイメージがあった。おいおい順番に作品を読んでいきたいと思っていたのだけど、図書館に行ったらたまたまこの本があった。こんな嬉しい偶然は逃す手はない。

22時22分22秒、雪。終電は僕たちを乗せ、走り出す。世界が化石になる前に、“あちら側”にたどりつけ。疾走する言語と肉体、遊戯する物語。古川日出男の新境地意欲作。
「BOOK」データベースより
去年発刊された、100ページほどの短い作品である。100ページと少しの本には多数のイラストが挿入されている。だから文章としてはさらに短く、あっという間に読めてしまう。

東京で料理人として修業に励む若者たちが、ふとした偶然からもうひとつの東京で出会い<研究会>を結成する。湧き上がるインスピレーションを捏ねたり、炒めたり、炙ったりしながら切磋琢磨する彼ら。東京という現実に存在する都市に、時間の歪を創り出し、2時間の限られた時間の中で、野心と向上心をエンジンに疾走する若き料理人たちの姿を、静かに、そして活き活きと描く。短くたたみかける文章にはスピード感があって言葉が弾けている。物語というより長い詩を読んでいるようでもある。

24時間制の<こちら側>ともうひとつの26時間制の<向こう側>
ふたつの東京の間にある時間のずれをともに疾走する彼ら。あまりに固く結ばれた仲間意識に、悲劇という楔が打ち込まれるとは予想もしない。変化に身を投じるのが若さであるならば、幸福な現状に忍び寄る影のきざはしに視界を閉ざすのは、彼らのような若者に限ったことではない。
後半はより不思議な世界へと降りていく。まるで都会の銀河鉄道のようである。でも彼らには戻る場所が存在する。厨房。料理人の野心を叶える場所。そこは訪れる者の食欲と気持ちを満たす場所でもある。

雪降る東京を舞台にしたこの物語は、冬に読むのがいいかなぁ。
一周61分、29駅の山手線。いつか機会をみつけて巡ってみたいものだ。

2007年8月26日読了

古川日出男の本の感想
アラビアの夜の種族
13
沈黙
| 古川日出男 | 18:19 | comments(6) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

「都会の銀河鉄道」素敵な表現♪
でもほんとにそんな感じで、不思議な魅力がありました。
私も、山手線を一週巡ってみたいです!
もしかしたら、向こう側にふっと紛れ込めるかも♪
| エビノート | 2007/08/26 8:11 PM |
エピノートさん、こんばんは。
後半の仲間を思う彼らの行動にじ〜んときます。
ちょっとせつない。
都会にこんな不思議があると想像すると、
もしかしたらって期待しますね。
向こう側でお会いしたらどうぞよろしく!
ああ、お互い顔がわかりません、汗
| 雪芽 | 2007/08/27 8:31 PM |
私も都会の銀河鉄道にドキッとしました。
山手線も古川さんの手にかかると、こんなふうな
ファンタジーの入口になるんですね。

私もこれはやっぱり冬に読むのがいいと思います。
クリスマスプレゼントにして、古川さんのファンにしてしまう作戦を考えています。
| june | 2007/08/27 9:08 PM |
juneさん、こんばんは。
いつものようにバスや地下鉄、電車に乗る。
気づいたら知らない世界に運ばれている。
ファンタジーの入り口はどこにでもありそうですね。
友情と哀しく響く展開に、重なるように浮んだのが、大好きな宮澤賢治の銀河鉄道でした。

古川さんファンにしてしまう作戦、
今年の冬に私もやってみます!
| 雪芽 | 2007/08/27 9:59 PM |
雪芽さんこんばんは。古川さんには長大なイメージがある分、この厚さだとつい気軽に手が伸びました。
東京に珍しいくらいの大雪が降った日には、山手線に乗るのがいいかもしれませんね。
| たまねぎ | 2007/08/30 12:44 AM |
たまねぎさん、こんばんは。
最初に読んだのが『アラビア〜』だったので、なお短く思ったのかもしれません。
東京に大雪というところからして、この物語は日常を離れていますね。
でも、そんな日に東京にいたら、絶対山の手線に乗りますよ〜
| 雪芽 | 2007/09/02 6:42 PM |

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僕たちは歩かない 〔古川日出男〕
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