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*「空色勾玉」

空色勾玉
空色勾玉
荻原 規子

輝の大御神の双子の御子と、闇の氏族とが烈しく争う戦乱の世に、闇の巫女姫と生まれながら、光を愛する少女狭也。輝の宮の神殿に縛められ、地底の女神の夢を見ていた、「剣の主」稚羽矢との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く…神々が地上を歩いていた古代の日本を舞台に、絢爛豪華に織りあげられた、人気沸騰のファンタジー。
「BOOK」データベースより

神々が地上を歩いていた古代日本、『古事記』でいうところの神代の巻に登場する逸話をモチーフに、日本的ファンタジーの世界が見事に描かれていく。
西洋のファンタジーとは異なる視点がここにある。
高光輝の大御神「タカヒカルカグノオオミカミ)が地上に使わした二人の御子、照日王(テルヒノオオキミ)と月代王(ツキシロノオオキミ)の討伐軍に対するのは、闇(くら)の一族。
闇の巫女姫、水の乙女である主人公狭也。
三番目の輝の御子稚羽矢(チハヤ)。
どの関係も光と闇、敵と味方、善と悪という単純な図式としての役割を割り振られることはない。

転生もいいが、わたしはそんなものを強さだとは断じて認めぬぞ。死ぬことは逃げと同じだ。弱さだ。われわれのように顔をそむけることを望みもせず、許されもしない立場に立ってみろ。

死という概念から遠いところにある照日王の言葉が持つ、厳しい定めを想像しないわけにはいかない。

短い命を生きる闇の一族は、新たな生を受ける度、何度も過ちを繰り返すだろう。
だが、彼らには“許す”ことができる。
死者を悼み、過ちを償うこともできる。

作者の目線はどちらの側にも温かく降り注がれている。

長い間気にかけていずれは読みたいと思っていた本だけに、言葉と言葉が創り出す世界観、行間から浮かび上がる豊かなイメージに、ページを繰るのが楽しかった。

些細なことではあるが、闇の一族の側の開都王が一つ目であることにも注目したい。闇の里では鍛冶場があり、「たたら」(映画『もののけ姫』を思い出して頂くとよくわかる)の技術を用いて鉄製品を作っている。
天目一箇神(アメノマヒトツノカミ)は鍛冶の神の代表的存在だが、なぜ鍛冶の神が一つ目なのかについては諸説あるようだ。
以前読んだ本には、たたらの作業中火の色を片目で見続けることで失明したという説が紹介されていた。

輝の御子達のモデルともなっている三貴神について。
黄泉国から戻った伊耶那岐命(イザナギノミコト)は、穢れを落とすために禊(みそぎ)をする。
左目を洗った時に生まれたのが天照大御神(アマテラスオオミカミ)、「空色勾玉」では照日王、
右目を洗った時に生まれたのが月読命(ツクヨミノミコト)、「空色勾玉」では月代王、
鼻を洗った時に生まれたのが建速須佐之(スサノオノミコト)、「空色勾玉」では稚羽矢、
となる。
両目から生まれた二人は太陽と月、どちらも自然神であるのに対し、最後に生まれた建速須佐之は人格神だ。
この性格付けの違いが「空色勾玉」でも生かされているが、一捻りしてあるところで、『古事記』をモチーフとしながら独自のファンタジーとしての面白さを増している。

蛇足ながら、一般に各民族の神話では右を尊いものとするが、日本神話では左を右より尊いとみることも特色のひとつだそうだ。
昔の官職でいうと、左大臣が上位にきて、ついで右大臣となる。
現在では右が優位となっているようだ。
横断歩道を渡る時も、右見て、左見て渡りましょう、と教えられたし。

ノベルズ版<勾玉>三部作は、10月に「白鳥異伝」、11月に「薄紅天女」が刊行予定。
早く読みたいところだけど、その前にもう一度この「空色勾玉」を読み返したいと思っている。
| 荻原規子 | 16:44 | comments(4) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんは〜

ノベル版出てるのですよね
ああ、悔しい(笑)
私はハードでそろえちゃったんです(^^;)

それはさておき、
雪芽さんのコメント、古事記の解説まで
なさってあって、本当に見習いたいものです

どうも、自分は横着ものだから
短文で済ませてしまうのだけど、
こうやって書いてあったら、絶対に
読みたくなりますもん

「死ぬことは逃げと同じだ。弱さだ」この
部分、私も好きです。このセリフで照日王への
見方が変わりましたもん。

細やかに書かれたコメント、拝見させていただいて
今日は、とても美味しかったです
ごちそうさまでした★

追伸:私もTBさせていただきますね〜
   何か、雪芽さんと比べちゃうと
   すごく寂しいコメントですけど(笑)
| littleapple | 2005/09/26 10:47 PM |
littleappleさん♪
ほんとうは単行本でだだ〜っと読みたかったんですけどね。
大好きな予感のするものを遠くに置いといて眺める状態というもの好きで。
来月は「白鳥異伝」、この待ち遠しさが楽しいんです。完全に楽しんでます。こんなんでいいのかしら^^;

「古事記」と「日本書紀」の創世神話は興味があって、以前関連本を読んだりしてたんですよ。

拡散思考なもので、あっちこっちと話が飛んでしまいます。もっと簡潔に明瞭に言葉を凝縮出来れば、と思ってはいるんですけどね、う〜ん、長くなる。
littleappleさんの文章は、言葉が結晶体のようにきれいに響きあっていて、いつも感心してします。

TBもありがとうございました!
| 雪芽 | 2005/09/29 7:30 PM |
はじめまして。舞花といいます。
私のブログへのコメントとTB、ありがとうございました。
とても嬉しかったです。

上の記事をさっそく読ませていただいたのですが、
とても丁寧に書かれていて感嘆いたしました。
私ももっと詳しく書けたらといつも思うのですが
勉強不足でなかなか上手くいきません…。
それでもめげずにいろんな本を紹介して
いきたいと思うのでまたぜひ遊びに来てください。
| 舞花 | 2005/09/30 8:13 PM |
舞花さん、こんばんは!
コメントありがとうございます。

本の感想、感じたことを感じたままに書けるとよいのですが、言葉にすると違うな〜って思うことも多くて、難しいですねぇ、書くって。

はい、また舞花さんのブログにも遊びに行かせて頂きますね。
よければ、また遊びに来て下さい。
| 雪芽 | 2005/09/30 9:44 PM |

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空色勾玉
  勾玉三部作といわれるこの作品を ご存知でしょうか? 和風ファンタジーは数あれど、 荻原規子さんの手によって描かれた この物語は、古事記の時代をモチーフに して描いてい
| 備 忘 録 | 2005/09/26 10:47 PM |
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