本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「東京奇譚集」 村上春樹


村上 春樹 / 新潮社(2005/09/15)
Amazonランキング:7128位
Amazonおすすめ度:


ここ最近読んでいる本はみな図書館から借りたものだ。予約して借りることをせず、行ってみて読みたい本がみつかったら借りてくる。新刊本や人気の作家の本はなかなか借りられない。そういった本はどのみち予約件数がかなりの数で読めるのはずっと先になるだろう。1年か2年くらい前に新刊本として並んでいた本なら、タイミングさえ合えばけっこう書棚に並んでいたりする。それは偶然なんだろうけど、まるで待っていてくれたかのように、読みたかった本がいるとすごく嬉しい。この本も図書館で待っていてくれた、と思う。
奇譚(きたん)とは、不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語――。話題の四作品に、書き下ろし『品川猿』を加えた、村上春樹待望の最新作品集刊行!
のっけから作者の村上さん登場で驚くが、ここで語られる逸話によって、自分の身の回りでも起り得るかもしれない、不思議な話を受け入れる下準備ができる。あとは村上流奇譚をじっくりと味わうだけでよい。

偶然がもたらした再会と和解。「偶然の旅人」を読むと、ありえないというより似たようなことがあったのではないかなと、自分の記憶をパタパタと引っくり返し、裏返ししてみたくなるのだった。些細なことで、運命を変えるようなことで、偶然の一致はいまも誰かの元を訪れているかもしれない。再会した二人がようやく心を許し合う場面は柔らかく温かだった。

「ハナレイ・ベイ」は鮫に襲われハワイで死んだ息子を持つ母と、毎年訪れるその地で出会った日本の若者二人組みとの交流を描いた話。

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
東京品川区のマンション。ふたつ下の階に住む義母の家から戻る途中失踪した夫の捜索依頼を受けたボランティア探偵の話。ある日突然失踪するというのはいかにも村上さんという気がする作品だ。
蛇足ながら私もオールド・ファッションが一番好きと答えるだろう。こんな時間だというのにドーナツが食べたくなってきた。

「日々移動する腎臓の形をした石」
『海辺のカフカ』でもそうであったように、石は大事なアイテムとなる。しかも腎臓の形をした石だ。たぶん河原の石は持ち帰らないほうがよいのではないかと思うが。

大事なのは誰か一人をそっくり受容しようという気持ちなんだ、と彼は理解する。

この話に限らず、受容はこの短篇集の他の作品にも通じるテーマに思える。

五つの短篇の中では一番好きなのは最後の「品川猿」だ。
ときどき自分の名前だけが思い出せなくなる女性の話である。なぜ名前だけなのか。区役所の「心の悩み相談室」でカウンセリングを受け始めたみずき。名前を忘れる原因となったものが明かされる下りもさることながら、すべてを肯定し受け入れようとする前向きなラストがなによりよかった。

2007年9月2日読了
| 村上春樹 | 23:10 | comments(2) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

雪芽さん こんばんわ
この村上春樹はとても読みやすかったですね。
素直に頷くべきか、もっと深読みするべきか、
いやいや、心のおもむくままに任せるのが正解なのでしょう 笑
| yori | 2007/09/03 7:37 PM |
yoriさん、こんばんは!
村上さんは短編も長編も好きですが、
この本はとてもすんなり読めました。
ところがいざ感想となると難しいのが村上さんです。
簡潔だけど奥深い。
でも、これは素直に醸し出す雰囲気を丸呑みしました。
| 雪芽 | 2007/09/04 10:32 PM |

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