本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
ネタバレもあるので未読の方はご注意ください
<< August 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
RECOMMEND

 極北ラプソディ 

  
読んだり観たり
雪芽さんの読書メーター 雪芽の最近読んだ本 雪芽さんの鑑賞メーター 雪芽の最近観たビデオ
読みたい!聴きたい♪
Blog散歩道
今年読んだ本
将棋○名人戦・順位戦●
≡ SPONSORED ≡
<< 「東京奇譚集」 村上春樹 | main | 「映画篇」 金城一紀 >>

*スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | | |

*「対話篇」 金城一紀


金城 一紀 / 講談社(2003/02)
Amazonランキング:34244位
Amazonおすすめ度:


ぽつんと小さく本の題名と作者の名前だけが記されたシンプルな表紙。
この本を手にしたには訳がある。
本屋に行ったら金城さんの最新刊『映画篇』が並んでいた。しかもサイン本である。サイン蒐集マニアではないが、金城さんはかねてより読んでみたい作家のひとりであったので、サインもあることだし買って読んでみようという気になった。
少し読み始めたところでとある雑誌から、既刊の『対話篇』とリンクしているらしいことを知る。となると先にそっちを読まねばならぬという、強い命題が自分の中に生まれる。だめだめ、絶対に『対話篇』を読んでからでなくちゃ『映画篇』は読んではだめ!、と頭の中にスローガンが電光掲示板のように流れる。時々変に拘るものだな。
ちょうど図書館にあったのですぐに借りて読むことができた。初めて読む金城さんの本。真っ白な表紙が包み込む世界は、どの作品も死の影が色濃いにも係らず、静謐で穏やかな空気のせいか、重苦しい感じはない。最後には深くせつない感動に涙した、リンクする3つの作品がからなる短篇集だ。

孤独の淵に閉ざされた人々が、他者との「対話」によって少しずつ世界への扉を開いていく。心にやさしく響く作品集。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3篇を収録。
「MARC」データベースより
「恋愛小説」、「永遠の円環」、「花」はどれもが、ふたりの人間の対話を中心に話が進む展開となっている。

「恋愛小説」
「自分と親しくした人間が次々に死ぬ。数奇な運命から他人との距離を置いて生きてきた彼が出会った恋。大学生の僕が元クラスメイトの彼から聞く話は、現実から遠く離れて現代の御伽話のようでもあり、彼が語る月夜に寄り添う二人の場面は、とくに冴え冴えと美しい。

「いくら親しい人がいたとしても、会わなくなったらその人は死んじゃうのよ」


「恋愛小説」の彼女の言葉とは逆の意味の愛の形を描いたのが、最後の「花」だ。
手術を要する深刻な病気の宣告を受け、生きる希望をなくした青年が、老弁護士と鹿児島まで旅をする話。旅の過程で分かれた妻との思い出を徐々に取り戻していく老弁護士。目的地で目にしたものはなにか。距離と時間の隔たりをいっきに越えてふたりに押し寄せる感情の波。この波に一緒にのまれてしまったようで、涙が止まらないラストだった。
側に居続けること、離れていても思い続けること。どちらを選ぶか、どちらを選べるかはその時の状況によって違うだろう。願わくは……

「永遠の円環」は末期ガンで生命の淵に立つ主人公と、見舞いに訪れる学生時代の友人Kの話。Kの存在や見舞いの目的が謎で、ミステリーじみたところもある作品だ。

どれも心に残る作品だけど、そんな中でも「花」は群を抜いてよかった。旅をし、老弁護士の話に耳を傾けるうちに、どんどん青年の心境に変化が起こる。対話することで環境も年齢も違うふたりの距離が縮まっていくのが手にとるように伝わってくる。未来を見つめるラストも快い終わり方だった。
初金城作品は「花○」だ。図書館本だけど、こういう感動に出会うと、つい買って手元に置いておきたくなる。ずっと側に置いておくのがいいのか、感動を呼び起こしながら遠く思うのがいいのか、少し迷う。

2007年9月1日読了
| 金城一紀 | 19:47 | comments(0) | trackbacks(1) | | |

*スポンサーサイト

| - | 19:47 | - | - | | |

♯ コメント

♯ コメントする









コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。


♯ この記事のトラックバックURL

♯ トラックバック

対話篇 金城 一紀
直木賞受賞作の『GO』、また『レヴォリューションNo.3』で、痛快な青春劇を描い...
| 本を読もう?U | 2007/10/08 9:16 AM |
ABOUT
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
TRACKBACK
ありがとうございます
COMMENTS
ありがとうございます
LINKS
MOBILE
qrcode
OTHERS