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*「ホームタウン」 小路幸也

ホームタウン
 
 ホームタウン

 小路 幸也
 単行本: 245ページ
 幻冬舎 (2005/08)



先週末図書館へ行って書棚の森を歩いていたら、目の端に強く引かれる気配を感じて、そちらへ視線を向けるとあったんですよ、小路さんのこの本が。なんだか凄い。無意識に小路幸也さんの名前に反応してしまうということは、それだけ気になっている作家さんだということだ。
物語の舞台となっているのは札幌、旭川、小樽。いずれも馴染みのある場所なので、地図を側に置いておかなくても、すぐにイメージできるのが嬉しいところだ。
札幌で働く柾人のもとへ、両親の死という過去で疎遠となっていた妹から手紙が届いた。結婚するという連絡に喜んだが、式間近になって妹と婚約者がほぼ同時に失踪。柾人はふたりを捜し出すため戻ることのなかった故郷へ向かう。
「MARC」データベースより
柾人と木実の兄妹は、過去に起こった凄惨な事件がもとで、自分達に流れる呪われた血を疎ましく思いながら生きてきた。そのため<家族>を作ることに、怖れや懐疑的な気持ちを抱いている。
<家族>を失った兄妹が、失踪事件をきっかけに過去へ立ち向かい、新しい<家族>への再生へ向っていこうとする話である。

時を同じくして妹とその婚約者が失踪する。結婚を控えたふたりはどこへ消えたのか。
この謎を、多分に職権を乱用して(?)追うのが兄の柾人だ。老舗の大手百貨店、顧客管理部<特別室>勤務、27歳にして部長待遇、時には自分より上の地位にある者に対しても、職務権限を発動することが可能だ。その上長身で人並み以上の男前となると、鼻持ちなら無い奴と腹の底では思われることもあるようで、本人も自覚済みである。
柾人の周りに登場してくる人物達も一筋縄ではいかない。噂の真偽はいざ知らず、曰く有り気な過去の持ち主もいて驚かされる。特におじさん、いや、おじいちゃんトリオは凄い。<特別室>付相談役のカクさん、元ヤクザの草野さん、カクさんと同期の吉野さんと、みな只者ではないところを存分にみせて楽しませてくれる。
話は面白いようにトントントンと進んでいくので、ついつい先を急いで読んでしまうことになる。

ふたつの失踪がどのように関係するかは触れないでおくことにする。
読む前にわかってしまっては面白味がなくなる。

木実と同じ家に住む浅川美由紀のことにしてもそうだが、最後はすべて収まるところにまるく収まってしまうのだ。なんの齟齬もなく、み〜んなが仲良く、すべてが上手くいって、幸せな大団円というのはちょっと出来過ぎな展開かなという気がしないでもない。読んでいてそれは賑やかで心楽しいほっこりする風景ではあるが(嫌いではない、どちらかというと好き)、ふと、あれこんなもんだろうかって疑問もあったのだ。『東京バンドワゴン』のような徹底した約束事の世界では、みんないい人、みんな仲良くも充分説得力があり楽しめるのに。主人公が抱える心の闇が重いわりに、おじいちゃんたちの協力であっさりと事が運ぶので、ちょいハードボイルド風を楽しみながら気づけば結末を向えていたのだ。
こうも考える。ラストには未来へ向けて血の縁を繋げていこうとする思いとともに、生きる土地、地縁の繋がりの温もりの大切さへの思いが込められているのかなと。

柾人が下宿する先のおばあちゃんの言葉は、歳を重ねた者だけが持つ懐の深さが滲み出ていてよかったな。
この本のおじいちゃんはかっこよく、おばあちゃんは心優しい。

2007年9月9日読了

小路幸也さんの読了本
「東京バンドワゴン」
「シー・ラブズ・ユー ―― 東京バンドワゴン」
「東京公園」
| 小路幸也 | 20:50 | comments(8) | trackbacks(4) | | |

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♯ コメント

雪芽さん こんばんは
>嫌いではない、どちらかというと好き
とても良く解ります 笑 私も同じ気持ちです!!
できすぎという気もしますが、
好みの物語なので、すべて許しちゃいます 笑
| yori | 2007/09/10 11:34 PM |
雪芽さんの、小路さんの読了本、このホームタウンを含めて、私と全く同じだったので、何だか嬉しくなってコメントしてます。

ホームタウン、最初はバンドワゴンとは全く違う雰囲気
だと思って読んでました。
ちょいハードボイルドな感じもおもしろかったです。
でも、やっぱりバンドワゴンを思い出してしまうような結末でしたね。

小路さん、いいですねー。

ちょっと前の記事ですが、トラックバックさせていただきますね。
| | 2007/09/11 4:23 PM |
先が気になりあっという間に読んじゃいますよね。
私もラストが上手くいきすぎなのかな?って思ったりもしたんですけど「嫌いではない、どちらかというと好き」って言う雪芽さんに賛成です!
| なな | 2007/09/11 7:10 PM |
yoriさん、こんばんは。
解かって頂けて嬉しいです(笑)
好みですよ、みんなで和気藹々な雰囲気。
混ざって一緒に呑みたいくらい。
yoriさんはすべて許しちゃいますか。
そうですね、新しく出来た温かな故郷に乾杯でいいかな。
| 雪芽 | 2007/09/11 10:21 PM |
栞さん、こんばんは。
読了本が同じですか?
わあ、そんな偶然が…、嬉しくなります!
意外な展開でしたが面白かったですね。
最後バンドワゴン風なところが小路さんらしさが出てました。
小路さんは文庫を買ってあるので、
そちらもいつ読もうかと気になっています。
| 雪芽 | 2007/09/11 10:22 PM |
ななさん、こんばんは。
先が気になって徹夜して読んでしまいました。
こんなに上手くいっていいのかって、
どすどすツッコミまくりたくなりましたが(笑)、
幸せそうなラストでよかったですよね。
| 雪芽 | 2007/09/11 10:25 PM |
できすぎって感じはありましたね。
小路さんはこれっきりになってしまっていて、まだどんな作家さんなのか未知数です。
どんな感じの作品を書くんですか?
| じゃじゃまま | 2007/09/16 4:53 PM |
じゃじゃままさん、こんばんは!
私もまだこれを含めて4冊しか読んでいないので、小路さんを語れるほどではありませんが、読んだ作品に共通して感じたのは温かな優しさでした。
『東京バンドワゴン』は賑やかな大家族の話で、涙あり笑いありと楽しく読みましたよ。
| 雪芽 | 2007/09/17 8:03 PM |

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