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*「つくもがみ貸します」 畠中 恵

11月になって一番最初に読んだのは畠中さんの新刊。読書的体力がすっかり落ちてしまったので、読むにハードだと予想される本は、近くに積んであっても手が出ない。どれにしようなぁ、と迷うほどの積読本の山からこの本を手に取ったのは、いつも温かな人情味溢れるお話で、ほんわりさせてくれる畠中さんの作品だからだ。身体だけでなく、気持ちまではふはふと温めてくれる、寒い季節のおでんや鯛焼きのような、そんな予感のする本。

お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする、小さなお店「出雲屋」。鍋、釜、布団にふんどしまで、何でも貸し出す出雲屋ですが、よそにはないような、ちょっと妙な品も混じっているようで……。彼らは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位も高く、いたずら好きでおせっかいな妖怪たちは、今日もせっせと、出雲屋を引っ掻き回すのでありました。
〜本の帯より〜
ガツンとくるものはない。ないからよいといえる。衝撃的なガツンがないところが安心なのだ。通う人情の温か味。相容れないのが人の世であり、袖摺り合うも縁なのがこれまた人の世であり、細やかな心の機微に起こる笑いと涙。それでなくとも絡まり合う人と人の事々に、付喪神達まで入り乱れ、ちょっとした波乱の様相となるのである。

同じ江戸を舞台に、人間と妖達が繰り広げる話であるが、主人公の若だんなと妖達の関係が密接だったしゃばけシリーズと違い、出雲屋姉弟とお店の付喪神達は一定の距離感を保って暮らしている。人は人、妖怪は妖怪、それぞれの領分を守っているのだ。
とはいえ、互いに気づかぬふりをしているだけのこと。ひとり言の応酬が高じて八つ当たり気味に物が飛んだりと賑々しく、この聞こえよがしの掛け合いもなかなか楽しい。

物語は5篇からなる連作短篇集で、最初のうちは出雲屋から貸し出された付喪達が、貸し出された先で聞いた話を仲間に語って聞かせ、そこから事の真相の糸口をつかむという按配で、動きが少なく、ちょっと物足りないという印象だった。
ところが後半は面白くなっていく。
姉のお紅が気にかける蘇芳という名の香炉と想い人に絡んだ謎。清次がどうしてお紅のこととなると否と言わず一生懸命なのか。お紅の恋の行方とともに動き出す後半になると、先への興味が湧いてずんずん読むスピードもアップする。
最後は大波乱か!と思わせたわりにそうでもなかったのが惜しい。それでもお紅と清次のふたりにとって幸せな結末でよかった。

「やれ、しかたがない、今日も貸されてやるとしようかね」と、いささか気位の高い付喪神達だけど、噂好き、おせっかいな一面もあって、案外人がよいのかもしれない。おっと、人ではなく付喪神だった。この場合はなんと言えばいいのだろう。案外物がよい、とか?物ではないっ!ってどっちにしても付喪神達に怒られそう(コワイ〜)

2007年11月1日読了
| 畠中恵 | 21:32 | comments(4) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

こんばんは。
畠中さんらしい温かい作品でしたね。
寒い季節のおでんや鯛焼き、っていう例えが、すごく自然でうなづきました。
ひとり言の応酬が、しゃばけシリーズとは違ってて、新鮮なスタンスでしたね。
「物がよい」、笑いました。でも言い換えは難しいですね。
「気がいい」でいかがでしょう(苦しい?笑)。
| 藍色 | 2007/11/08 2:14 AM |
藍色さん、こんにちは!
畠中さんの本を読むとほっとした心地になります。
大久間屋のような人間も出てきますが、ままならないのも人の世ですからねぇ。ホロ苦さのピリ辛が人情の温かさを引き立てていました。

「気がいい」、そうそうそれならば気難しい付喪神達も納得してくれそうですね!

| 雪芽 | 2007/11/10 10:52 AM |
雪芽さん、こんにちわ!
たしかにガツンとくるものはないけれど、安心して読めるこういう作品もいいなぁって思いました。
それぞれの領分を守った距離感を保つために交わされる、じれったい応酬もよかったです。
ラスト、私も大波乱があると思ったんですが、パタパタとまとまってしまって拍子ぬけしました。でももまぁ、こういうものなのかもしれません。よかった〜と胸をなでおろしました。
| june | 2008/05/27 4:33 PM |
juneさん、こんばんは。
心の底がひっくり返るくらいの感動も欲しいけど、こんな安心して読める作品も、時に読みたくなるものです。
考えようによってはあのじれったさがいいのですね。
わかっててお互いに知らんふり(笑)
波乱を期待しながら、ラストにほっとする感じでしたね。
幸せな結末はやはり収まりがよいです。
| 雪芽 | 2008/05/27 8:03 PM |

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つくもがみ貸します 畠中恵
装画は三木謙次。装丁は角川書店装丁室。「怪」「野性時代」掲載。連作短編集。 お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟が切り盛りする出雲屋は古道具屋兼損料屋。何でも貸し出す中に、百年を経て付喪神(つくもがみ)に化した古道具たちが
| 粋な提案 | 2007/11/08 2:14 AM |
「つくもがみ貸します」畠中恵
つくもがみ貸します 畠中さんはやっぱり妖モノがいいです。しゃばけシリーズよりも大人しい感じだけれど、ほんのり優しくてあたたかな気持になれました。よかった〜。表紙もかわいらしくて好きです。 内容説明 江戸の片隅、姉弟二人が切り盛りする「出雲屋」。鍋
| 本のある生活 | 2008/05/27 4:34 PM |
つくもがみ貸します<畠中恵>−(本:2009年2冊目)−
つくもがみ貸しますクチコミを見る # 出版社: 角川書店 (2007/09) # ISBN-10: 4048737864 評価:82点 江戸、深川で古道具屋兼損料屋を商っている若いお紅と清次。 損料屋というのは、今で言うレンタル屋であって、鍋、櫛、掛け軸、根付までなんでも貸し出す
| デコ親父はいつも減量中 | 2009/01/04 7:52 PM |
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