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*「秘密―トップ・シークレット」 (2) 清水玲子

科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」が舞台のシリーズ2冊目。
第九が扱うのは通常捜査では解決不可能な凶悪犯罪であり、MRIスキャナーという特殊な装置によって、事件に関与し死亡した脳の持ち主が、生前目から得た記憶を甦らせることで、事件解決を目指すものである。

「秘密 トップシークレット 2002」では、第九に臓器専用のキャリーケースに保存された脳が送られてくるところから話が始まる。この脳の持ち主は第九メンバー全員がよく知る人物だった。
やや天然系でおっちょこちょいなところもある新人天馬、先輩となった青木、相変わらずクールな薪ら第九のメンバーは、何者かの手によって事件の当事者として渦中に引きずり込まれていく。

「秘密 トップシークレット 2003」、一家惨殺事件の犯人としてその家の父親が死刑を執行された直後、長い間行方不明だった長女が記憶喪失状態で見つかる。事件の裏には予想もしない真実、さらなる狂気が隠されていた。
今回収録されたふたつのストーリーはどちらもラストが胸を打つ。扱われた事件を満たす陰惨な臭気、荒涼とした風景を目にした後だからこそ、新人天馬が願ったささやかな幸せや、色のない世界でひたすら見続けた少年の笑顔が奇跡のように輝いて見える。
世界は限りなく美しく、温かな幸せに満ちているのがいっそう悲しく、読んでは涙、また読んでは涙だった。

青木の苦悩もますます深い。他者の記憶のすべてを覗き見ることの重さが圧し掛かる。
本田勝一の『カナダエスキモー』で目にしたのか、別のなにかで読んだのかははっきり覚えていないが、あざらしやカリブーを狩して食べる(これはもういまは昔のことになっているのだろうか)、カナダ北極圏のイヌイットの言葉を思い出す。狩りをし獲物を食べるということは、それらすべての命を背負って生きることなのだと。
青木を含め第九のメンバーは誰しもが、他人の目の記憶を自分の記憶に重ねていく。仕事だとはいえ、記憶は消えない。幾人もの人生が刻まれた記憶を負うて生きるのだ。賞賛どころか非難じみた目や言葉に晒されることも、甘んじて受けなければならない。

扱われるテーマの重さにどんよりとした気持ちにもなるが、それ以上に目の記憶に残る世界の美しさは愛おしく、胸が締め付けられるようだった。

2007年10月27日読了
| 漫画 | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) | | |

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