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*「食堂かたつむり」 小川 糸

食堂かたつむり
 
 食堂かたつむり

 小川 糸
 単行本: 234ページ
 ポプラ社 (2008/01)



本のタイトルに食堂とあるということは、食べ物系の話なんだろうか。これは気になるところである。ちょっと行ってみようかな、食堂かたつむりへ。
失ったもの:恋、家財道具一式、声
残ったもの:ぬか床

ふるさとに戻り、メニューのない食堂をはじめた倫子。
お客は一日一組だけ。
そこでの出会いが、徐々にすべてを変えていく。
本の帯より
アルバイトを終えて家に戻った倫子が目にするのは、もぬけの殻になった部屋。大きな家財道具だけでなく、細々したキッチン用具から、丹念な作業を経て漬け込んだ梅干しの瓶までなくなっている。同棲していたインド人の恋人が持ち去ったのだ。
家財一切を失い、恋人に逃げられ、声までなくした倫子に唯一残ったのは、祖母の形見のぬか床だけ。
すべてをなくして故郷に戻った倫子は、一日一組限定の食堂を開く。ふとしたことがきっかけとなり、恋や願い事を叶える店として評判になった食堂かたつむりには、いろんな思いを胸に客が訪れるようになるのだ。

人生のどん底から物語は始まる。ここまでなにもかもなくしてしまうと、かえってあっけらかんと清々しい気さえしてしまうが、倫子にしてみれば途方に暮れるしかない。それでも帰る故郷があったこと、確執はあってもおかんの存在は大きかった。

どこかにありそうな田舎の風景、そこで得る実り豊かな食材は、倫子の手で真心のこもった料理となって、店にやってくる人の胃と心を満たしていくのだ。料理人と食する人、双方の気持ちが料理に溶け込んで、美味しいというだけに止まらない幸福感を呼び起こす。しかも、満ち足りた気持ちは料理人も同じ。料理ってこんなにも人を幸せに出来るものなんだ!
美味しい料理、それもこれもすべて命を投じて作られているのだということ、身近な自然の食材も取り入れる食堂かたつむりだからこそ実感出来る。命あるものは別な命を繋ぐ。このことに関していえば、物語終盤のエピソードはかなり衝撃だったが、ある意味納得もするのだ。嗚呼…
出てくる料理がとにかく美味しそう。食べたい!一組一組のお客さんたちのエピソードに、ほのぼのしたり、じんと響いたり、ちょっとずつちょっとずつ心に広がっていくものがある。

この物語は倫子自身の再生とともに、おかんとの間に横たわる溝が再生されていくのか、というところも読みどころだ。辛らつに振舞っていたおかんの真意を知ることになった時、すべての疑問が氷解する。ふくろう爺の鳴き声の秘密、そうだったのかぁ。

都会の喧騒を逃れ、時には自然いっぱいの田舎の小さな食堂で、美味しい料理に舌鼓を打ちながら癒されてみるのもいい。包み込むような優しいラストに涙した。

2008年5月25日読了
| ■あ行の作家■ | 22:56 | comments(14) | trackbacks(8) | | |

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♯ コメント

こんばんは。
1日に一組。事前に会って話を聞いてから作る料理。
私が行ったらいったいどんな料理が出てくるんだろうって気になりました。
色々と驚くことがありましたが、読後感がよかったです。
| なな | 2008/06/12 9:04 PM |
ななさん、こんばんは。
自分だったらと考えると、それは気になるところですね。
何が出てくるのかどきどき。
出だしから驚かされましたが、驚きの小さな積み重ねの中にも、温かみのある作品でした。
| 雪芽 | 2008/06/13 5:20 PM |
こんばんは。
料理がどれもおいしそうでしたね。
根源的なテーマ、食べることは生きること。
教えられました。
倫子とおかんとの間のしこりが取れて、再生する様子がとってもよかったです。
| 藍色 | 2008/06/23 2:05 AM |
藍色さん、こんばんは。
食べることは大事!と改めて思います。
料理が起こす不思議が素敵でした。
こんなお店がほんとうにあればいいのに。
母娘のしこりが取れて再生する過程もよかったです。
| 雪芽 | 2008/06/23 11:11 PM |
どっちかで言うと、グレーゾーンでした。
王道をやりすぎやろ、という反面、ブタはやりすぎ。
食べることは大事なんだろうけど、おいらには
スーパーの原型をなくした食材がいちばんです。
サバイバルは無理っぽいな、おいらには。
| しんちゃん | 2008/10/09 11:38 PM |
しんちゃん、こんばんは。
どうにもお返事遅くなりましてすみません。
普段口にしている物って、原型のないものがほとんどですからね。
それに慣れているから、このブタの話は複雑な心境で読みました。
サバイバル、火は起こせなくても、食料調達出来なくても、お馴染のコンビニがきっとあるから大丈夫(これは某CMの中だけですね)
| 雪芽 | 2008/11/05 10:12 PM |
こんにちは。TBさせていただきました。
たくさんのメディアで取り上げられ、気になっていてようやく読めました。
私も、食堂に行ったらどんなメニューが出てくるのか気になります。
でもやっぱり食べたいのはジュテームスープですね。
| 苗坊 | 2008/11/15 2:18 PM |
こんばんは、苗坊さん。
話題の本ですね。
私が本屋で手に取ったのも、某TV番組オススメという紹介文につられたためでした。まんまとのせられてる(笑)
ジュテームスープは食べてみたいですよね。
どんなお味でしょう。
| 雪芽 | 2008/11/16 9:44 PM |
雪芽さん〜お久しぶりです!
すっかりご無沙汰してしまいました。
今頃のコメントとTB許してね。

再生の物語でしたね。とにかくお料理のシーンは興味深かったです。
ザクロカレーがやっぱり気になる〜!(笑)
| リサ | 2008/11/26 6:01 PM |
リサさん、お久しぶりです!
こちらこそお返事遅れてすみませ〜ん。

やはり人間は食べることが基本だと思えた話でした。
料理のシーンはどんなレシピが出てくるかと、都度楽しみでしたし、奥深いですね。
ザクロカレーは気になりますよね!カレー味、ザクロ味、カレーの黄色、ザクロの赤、どれが勝るのか。
| 雪芽 | 2008/12/07 6:03 PM |
こんにちは。

食堂かたつむりのお料理はどれも美味しそうでしたね。
すごい話題の本だったので期待しすぎた感じはありましたが、あのお料理はちょっと食べてみたいと思いました。
| masako | 2008/12/16 12:34 PM |
masakoさん、こんばんは。
凄い話題の本だと期待し過ぎてしまいますね。
購入動機が話の中に出てくるであろう、たぶん美味しそうであろう料理だったので、登場する数々の料理にお腹が鳴りました。夜中に読んでお腹空いていたせいかも(笑)
| 雪芽 | 2008/12/21 8:52 PM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
こんな癒される料理を、人に作ってもらって、味わって食べることができたら、幸せだろうなぁ・・・と思います。
普段、ザクザク〜っと自分で作った料理を、バババッと食べるという罰当たりな食生活をしているので、ちょっと反省しました。
確かにこの作品・・・、お腹がすきますよね♪
| 水無月・R | 2009/02/10 10:33 PM |
水無月・Rさん、こんばんは。
誰かに作ってもらうだけでも嬉しい。
自分のための料理ならなお嬉しい。
美味しさもとびりきりならいうことなし。
食べることの幸せがいっぱい詰まった話でした。
自分で作るとつい手抜きしてしまいますね。
ちょうどお腹がすいてきました。
こんな時に読むには腹の虫に酷な本です^^;
| 雪芽 | 2009/02/11 5:11 PM |

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