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*「凍える島」 近藤 史恵

凍える島 (創元推理文庫)
 
 凍える島 (創元推理文庫)

 近藤 史恵
 文庫: 277ページ
 東京創元社 (1999/09)



近藤史恵さんのデビュー作は、クローズ・ド・サークルというミステリーではオーソドックスな手法を用いて、お決まりの連続殺人のみならず、無人島で7日間をともに過ごすことになった、大人の男女の複雑な恋愛心理を巧みに絡ませた作品である。
これは古典的ミステリーなのか。無残で哀しい恋愛小説なのか。

無人島とはこれまた古風な―とは言い条、お得意ぐるみ慰安旅行としゃれこんだ喫茶店“北斎屋”の一行は、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島へ。数年前には新興宗教の聖地だったという島で、八人の男女が一週間を共にする、しかも波瀾含みのメンバー構成。古式に倣って真夏の弧島に悲劇が幕を開け、ひとり減り、ふたり減り…。由緒正しい主題をモダンに演出する物語はどこへ行く。 第四回鮎川哲也賞受賞作
「BOOK」データベースより

北斎屋という喫茶店を友人なつこと営む店の主、野坂あやめ。あやめは本名ではなく昔詩を書いていた頃の名である。今は昔と思いはするが、周りがその名で呼ぶのを敢えて否定することもなく定着している。
なつこの恋人椋くんの提案で無人島へ慰安旅行をすることになった一行は8人。常連客のうさぎくんとその彼女に中学からの友人、詩人の鳥呼に妻。あやめと鳥呼は人知れず不倫関係にある。

秘められた関係とはいえ、波乱の種子を内包した一行8人は、とにかくも無人島を目指すのだ。時間に縛られることもなく、自由気儘な解放された時を過ごすはずの7日間。大人の夏休み!陽気で賑やかな幕開け。惰眠を貪り、読書三昧だろうとなんだろうと好きなことに時間を費やせる。ああ、羨ましい〜、夏休みが欲しい〜(この後の惨劇抜きで、もちろんである)

最初は1人の殺人事件だった。続いて起きた2人目の殺人で、残された者たちの間には最初に受けた衝撃に加え、不穏な空気が流れ始める。猜疑の目、恐慌。外部に助けを求める手段はない。平穏という均衡が崩れ始めると、その裂け目から人間のドロドロした感情が流れ出す。
閉ざされた空間で起こる連続殺人の謎が解き明かされる謎解きの妙よりも、その過程で吐露される女たちの心情が印象深かった。

そうだ、好きだったなら、殺せる。


あたし、ほっとしているの。彼が死んでしまったのに、どこかでほっとしているの。


最後に明かされる連続殺人事件の真相に唸る。犯行の動機がなんとも哀しい。こういう形でしか愛は成就出来なかったのだろうか。運命ともいえる出会いの瞬間。その時から予感されたいたことだったのかもしれない。“ナマエ”に秘められた意味を知り、そう思ったのだった。

2008年7月7日読了
| 近藤史恵 | 12:48 | comments(0) | trackbacks(1) | | |

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『凍える島』 近藤史恵
「近藤史恵」のミステリー作品『凍える島』を読みました。 [凍える島] 久しぶりにミステリー作品を読みたくなったんですよね。 -----story------------- 得意客ぐるみ慰安旅行としゃれこんだ喫茶店「北斎屋」の一行は、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島へ。 かつて新興宗
| じゅうのblog | 2013/06/18 10:01 PM |
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