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*「夜のピクニック」 恩田陸

夜のピクニック
 
 夜のピクニック

 恩田 陸
 新潮社 (2004/7/31)
 単行本: 342ページ



みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。

朝の八時から翌朝の八時まで、夜中の数時間の仮眠を挟んで、八十キロの距離を全校生徒が歩く「歩行祭」

読んでいると、ただ歩くことが特別なことになるその過程を、一緒に体験している気持ちになってくる。もしかするとクラスの集合写真に写り込んだ謎の人物として、自分がこの物語の中に存在するんじゃないだろうか、そんな埒もないことを想像してみる。
笑い転げているうちに、何がそんなに可笑しいのかわからなくなってきて、それでも涙が出るほど可笑しくて友達と笑い合う。どうしようもないほど切ない気持ちに塞いだり、怒ったり、若さとは忙しいものだ。

海と陸の汀を歩きながら融は、自分たちが境界線に座っていると考える。
大人と子供、日常と非日常、現実と虚構。

歩行祭は、そういう境界線の上を落ちないように歩いていく行事だ。

夜歩くという非日常を共有することで生まれる高揚感が、生徒達の体験をより濃密なものにしていく。自分の中の遠い記憶を重ね合わせ、懐かしいという想いと、切なく感じる想いとが湧き上がってくる。

貴子はススキが原を見ながら思う。

二度と通らない、何気ない風景だけれど、この一瞬は、恐らく永遠なのだ。

この言葉と出会えただけでも嬉しい。
生まれてから、どれほど多くの一瞬を切り取り、自分の中に仕舞い込んできただろう。誰かに伝えようにも、あまりにありふれて、だけど永遠の一瞬として残る風景があるものだ。言葉にならない、だからそっと仕舞い込むだけ。

歩行祭が進むうちに変化をみせる融と貴子の関係、このあたりも面白い。

「夜のピクニック」を読み終えて、一瞬一瞬の大切さを改めて思った。
融じゃないが自分を包む世界に感謝したい気持ちにもなる。たとえ次の瞬間、世界に向って毒を吐こうとも、また思い出せばいい。不連続な一瞬の、どこかと、どこかでは、確実に幸福で感謝に満ちている。
| 恩田陸 | 21:15 | comments(8) | trackbacks(5) | | |

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♯ コメント

読んだのね。この本読んで一瞬にして高校時代の風景が甦ってきました。他愛のないことで悩んだり、つまらない事に時間をかけたり・・でも,掛け値なしの純粋な友情がそこにあった様な気がします。子供じゃないし大人未満、いい時期ですよね。高3の長男が改めて「学校は休まず行こう」と深く思わせた作品でした。
今、「月の裏側」読んでます。もうそろそろラスト。最近の雨がなんだか不気味に感じるのは、本のせい?
| らん | 2005/10/07 5:26 PM |
らんさん、こんにちは。
読みましたよ〜、この本は文庫になるのを待ちきれなかった。さんざん買いたい誘惑と格闘してきたのに、もっと早くに誘惑に負けてしまえばよかったのになぁ、と思った程。
息子さんの言葉、作品と同年代の人がそんなふうに思えるって、この本の持つ魅力って凄いな。

恩田さんの本は何冊か購入済みで未読のがあるんです。読むのが楽しみ!
「麦の海に沈む果実」も面白かったですよ。
恩田ファンの間でも人気の高い作品じゃないかしら。
「月の裏側」の感想も聞かせてね。
| 雪芽 | 2005/10/08 12:21 PM |
うわ、雪芽さん、読んだのですね〜。
雪芽さんの感想読んだら、私ももう我慢できそうにないわ。
明日買っちゃうかも(笑)

>不連続な一瞬の、どこかと、どこかでは、確実に幸福で感謝に満ちている。
う〜ん、いいですねぇ。雪芽さんの文章って、素敵だなあ。
「麦の海に沈む果実」いいですか?まだ読んでいないの。
これも楽しみです。
| 瞳 | 2005/10/09 8:33 PM |
瞳さん、買っちゃいましたか?(笑)
恩田さんの本は、まだそうたくさん読んでいないけど、その中でも読んで良かった!って、読んだ後本が愛おしく思えるほど、キラキラと素敵な世界の詰まった小説でしたよ。

「麦の海に沈む果実」は、『図書室の海』の中の「睡蓮」の女の子が主人公の小説です。
いいですよ〜
文庫になっているところがまた好ましいのです(笑)
| 雪芽 | 2005/10/10 11:37 PM |
雪芽さん こんにちは〜。
あー、読んじゃいましたぁ。最後泣けますね。青春ドラマだ!!なんだか「仲間モノ」に弱いことに気がつきました。たまんないなぁ、仲間モノ。
特に何か特別なインパクトの強さというわけではなかったのだけど、この「歩く」という世界の中で行き着くハッピーエンドの形がとっても良かったです。
紹介してくださってありがとうございました!!
| やぎっちょ | 2006/07/06 2:15 PM |
やぎっちょさん。
なんだか凄い勢いで陸ちゃんワールド読破してる!!
いろんな本に出会っているうちに気づくんですよね。
自分の笑いポイントとか、涙ポイントとか、
どこにあるのかってことに。
ああ、そうなんだ自分というふうに、本に出会うことで知らなかった自分に気づいちゃうんですよ。
やぎっちょさんはそれが「仲間モノ」だったわけですね。

普通のなんでもないことが特別のことになる。
ここがこの本のポイントかなと思いました。
大勢さんで歩いてみたくなりますね。
80キロか、挫折(歩く前からお前は〜)
| 雪芽 | 2006/07/06 10:40 PM |
こんにちは。
ただ歩く中にもドラマがある。これは面白かったです。
ですが未だに苦手意識は払拭できず。
お薦めをもらった作品は記憶に留めておきます。
いつか、いつかタイミングがあえば…ね。
| しんちゃん | 2008/02/19 11:55 AM |
しんちゃん、こんばんは。
ただ歩くだけのことがこんなにも面白いなんて。
発見のある物語でした。
前に恩田陸を読もう!と自分に宣言したことがあるのですが、次々と好きな作家さんが現れて宣言倒れ、汗
恩田さん好きなんですけどね。
自分のいっとう好きなのをあげただけなのでお気になされずに〜
でも、いつかタイミングがあえば…
| 雪芽 | 2008/02/20 9:01 PM |

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夜のピクニック
以前、本屋ウォッチングをしていてこの本と出会った。 「本屋大賞第1位」というふれこみだった。 それで、「恩田陸」という聞き慣れない小説家の名前が 記憶にインプットされた。 天の邪鬼である私は、流行りの本は買わない。 なんだか踊らされている気がするのと、
| 宝島のチュー太郎 | 2005/10/24 6:21 PM |
夜のピクニック 恩田陸
夜のピクニック ■やぎっちょコメント これはまた狭い世界でよくこれだけお話を作りこむなぁ、というお話です。。。「麦の海に沈む果実」では学園内という狭い世界が舞台でしたが、この本では学校行事の歩行祭が舞台となります。 高校の全学年が白いジャージを着て80
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2006/07/06 2:13 PM |
恩田陸【夜のピクニック】
夜は人の心に魔法をかける。ふだん言えないことが言えてしまう。自分の秘密を人に話したくなる。 あんまり好みのタイプではない男性なのに、夜の車の中だと、ちょっとイイ男に見えたり。(すみません。若気の至りです)
| ぱんどら日記 | 2006/09/07 12:39 PM |
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