本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「蝉しぐれ」

蝉しぐれ
蝉しぐれ
海坂藩普請組組屋敷の裏に流れる清流。庄内地方の緑豊かな風景が周囲に広がる。
家が隣同士の牧文四郎とふくは、川岸で顔を合わせるうち、恋心ともしかと意識されない淡い想いを抱くのだが……

文四郎を取り巻くのどかな風景はある時をもって一変する。
義父牧助左衛門は藩の世継ぎ争いに巻き込まれ切腹、反逆者の子として生きることを余儀なくされる文四郎。苛酷な運命にも真っ直ぐに向き合っていく姿が清々しい。

文四郎とふくの淡い恋の行方も、ふくの江戸行きで、互いの心に淡い恋の炎を残したまま分かたれることになる。

いつも暢気で明るい性格の大和田逸平は、変わらぬ友情で男気をみせつつ、時に細やかでもある。
江戸で学問の道に進んだ島崎与之助との友情もある。

また、剣術修業を通して文四郎は、ともすれば鬱屈しそうになる己の精神を剣技に昇華させていく。

父の仇でもある藩の主席家老里村派と、父がその下で動いていた家老横山派、両派の抗争は密かに続いていた。
家老の横山が正義かといえばそうでもない。
世継ぎ争いは、勢力争いでもあり、描かれるのは下級武士達の義の為とはいえ、翻弄される姿なのだ。
現代社会のサラリーマンにも通じるところがあるのではないか。

物語は文四郎の成長とともに、友情、剣術修業、城への出仕、藩主の愛妾となったお福さまとの再会、再びお子を巡る権力抗争と、読んで息つかせぬスリリングな展開となっている。
映画『蝉しぐれ』を観る前の再読だったが、以前読んだ情景が甦りつつも飽きさせぬ内容で、この本の面白さを再確認する形となった。

最後、文四郎とお福さまの間に交わされる言葉と情愛。

「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」

「それが出来なかったことを、それがし、一生の悔いとしております」

長い月日を重ね、秘めやかに恋心を灯し続けた二人の想いが、ひとつなった瞬間だった。
短い命をこの世の限りとばかり鳴く、蝉しぐれにある儚さに似た、せつなくも強い愛の形が心に残る。

健気で、凛として真っ直ぐな行動力をみせるふくも、この小説にあって魅力的な存在だ。
| 藤沢周平 | 20:22 | comments(6) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんわ
「MISSING」のTBありがとうございました〜
なんだか、お互いにすれ違っていたみたいで、
ネットって不思議だなって思ってしまいました(笑)

「蝉しぐれ」
実は未読なんです。
「隠し剣鬼の爪」は映画で楽しんだのですけど。

でも、これを拝見していたら、読みたくなって
きました。
『最後、文四郎とお福さまの間に交わされる言葉と情愛』
うう〜、近いうちに買って来よう(笑)

それはさておき、実は、私もちらほらお邪魔してたり
します(笑)
過去に遡ったり、ちょこまかちょこまかと(爆)
どうか、お気を悪くなさらないで下さいね。
足跡残さないとき、いつもちらっと思うんです。
ごめんなさ〜いって(笑)
どうか、履歴でお邪魔したこと見て下さいね、って。
そんな自分ですけど、お許しいただけたら嬉しいです。

それでは、失礼します。
明日は晴れますように
| littleapple | 2005/10/10 9:50 PM |
こんばんは〜、littleappleさん!
ほんとすれ違いですね(笑)

私も覗き見だけで帰ってくること、けっこうあります。
しかも度々お邪魔してるし(爆)
なんだかこやつよく来る奴だ、と思わずに頂けたらこちらも嬉しゅうございます。

なんか心地良くて、ぼ〜っとくつろがせて頂いてしまうんですよ。

藤沢さんの作品、もっと読みたいと思っているんですが、他に読んだのは「密謀」と「漆の実のみのる国」のみです。
「密謀」はちょっと訳あって。
いずれ書きたいと思ってます。

明日は晴れでしょうかね。
今月の末には、こちらは初雪を見るかもしれません。
遊びにいらして頂いてありがとうございます。
| 雪芽 | 2005/10/10 11:59 PM |
こんばんわ。
「園芸家十二ヶ月」のコメントで
ご紹介いただいた「カレルチャペック紅茶店」、
HP拝見してきました。
別窓で(笑)。

吉祥寺にお店があるんですね。
頑張れば行けるかも、くらいの距離なんです。
とっても可愛いし、美味しそう。
ビバ♪食欲の秋★(笑)
ネット通販やってるなんて、
私も欲望の塊と化しそうです(爆)

話は変わりますけど、
読了いたしました
「蝉しぐれ」。

本当に良かったです。
久々に当たり物、時代小説の世界を
堪能できて。
ここ数日、過去の記憶と読書メモを
総動員してブログ書いてました(笑)

いつもながら、
へっぽこコメントしか書けなったのだけど、
TBさせていただきますね。

それにしてもいっぱいコメント
いただいて有難うございます(感激)
お話が尽きないというか。
色々と知識を刺激されて、楽しいです♪

そちらは十月末から雪が降るのだとか。
さすがは北国!
初雪待ち遠しいですね〜
| littleapple | 2005/10/17 12:10 AM |
「蝉しぐれ」、いいですよね。
読書は孤独な作業だけど、読んだ後の想いを誰かと共有出来る、これも読書の楽しみです。
自分でも何故この本を読もうと思ったのか、記憶にないのですけど、無数にある本の中から出会えたことに感謝したくなる作品でした。

littleappleさんの「蝉しぐれ」のコメント、あちらのブログにも書きましたが、そうそう、そうなの!って頷くこと多くて、他の本のコメントもですけどね、好きなんですよ。
まだそんなに多くの本のコメントも取り上げられていない頃に、偶然見つけて、居心地がよかったのは、本に嗅覚が働いた時と似ているかも、好きな匂いがしたんです(笑)

本に出会うのも、ブログに出会うのも、似たところありますね。
人に出会うのもそうか。

読んでいる本の幅も広いけど、記憶力も凄いなと感心。
昔読んだ本は、いざ感想を書こうと思っても、内容すら忘れてたりします。
記憶力低下防止のためにも、記憶を掘り起こし、言葉にして記録していく作業って必要かもしれません、私には。

今日は雪虫が大量発生。
もうすぐ初雪が来そうです。
そう、雪虫、このことについても書きたいんですよ。
雪が降る前に、急がなくちゃ!
| 雪芽 | 2005/10/21 11:35 PM |
雪芽さん、こんばんわ。
雪芽さんの書き出した、文四郎とふくのシーンには、ぐっときました。そして、
>短い命をこの世の限りとばかり鳴く、蝉しぐれにある儚さに似た、せつなくも強い愛の形が心に残る。
という雪芽さんのレビューを読んで、蝉しぐれのイメージって、そこに重なってくるんだ!と、今更ながら気づきました。すっきりしました(笑)。
| june | 2005/10/24 10:38 PM |
juneさん、TB、コメントありがとうございます!

時代小説初心者(いまでもほとんどそうですが)の頃、この藤沢さんの「蝉しぐれ」に出会って、時代小説ってこんなに面白いものなんだと、開眼させてくれた作品でもあります。

映画では蝉しぐれ、より強烈な印象でした。

| 雪芽 | 2005/10/24 10:58 PM |

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蝉しぐれ
| 備 忘 録 | 2005/10/17 12:12 AM |
#36:蝉しぐれ
KAZZのこの映画の評価   いいねっいやぁ〜泣けました こういう映画で感動するようになったって、 やっぱり自分もおじさんなんだぁ〜とちょっとショック 邦画は、やっぱり王道の時代劇なのかな ”たそがれ清兵衛”などで知られる 英雄でも、偉人でも無
| *KAZZの呟き* | 2005/10/24 8:16 AM |
蝉しぐれ
蝉しぐれ 藤沢周平 「淡い恋、友情、そして悲運と忍苦。ひとりの少年藩士が成長してゆく姿をゆたかな光のなかで描いたこの作品は、名状しがたい愛惜をさそわずにおかない。」〜裏表紙より この本は、お友達にも勧められ、トラキチさんのチャットでも勧められてい
| 本のある生活 | 2005/10/24 10:23 PM |
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