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*「盤上の海、詩の宇宙」 羽生善治・吉増剛造

羽生 善治,吉増 剛造
河出書房新社
¥ 1,575
(1997-08)

 昨年の《宿題》が残っているというのに、すでに今年読んだ本の感想まで、更新未消化のまま増えていっている。過去の反省はどこへやら。
本を読み、無造作に放り込まれた言葉を、このへんで少し片付けておかないとえらいこっちゃ、と思う。

直前まで読んでいた本のストーリーが、まだ頭の中で反響している。余韻を楽しむように、物語中に香っていたコーヒーを淹れる。ギィが淹れるコーヒーには及ばないだろうが、ひとつの物語を読み終えた後の充実感を、苦味を含んだコーヒーと一緒に味わうのは至福のひとときだ。
静かに夜が流れていく。
なにかもう一冊読みたい気分になってくる。
夜に深く分け入る時間の始まりにぴったりな本はないかな。

天才棋士・羽生善治と、現代詩壇を代表する詩人・吉増剛造。透徹した二人の感性が出会い、実現した驚異の〈対局〉。盤上の譜面が表現する宇宙が、詩の世界と通じ合う瞬間を捉えた対談を収録。

対談は1996年9月29日東京ヒルトンホテル、12月28日椿山荘と、少しの間をおいて2回おこなわれた。1996年といえば、当時の羽生六冠が王将位を奪取、25歳で将棋史上初の七冠制覇を達成した年でもある。
 ふたまわり以上の年齢差、将棋と詩という異なる思考言語、最初は互いの領域を確認するように、手探りで始まる。およそ言語化しずらいであろう、棋士が手を読むその思考過程を、羽生さんの表現から、詩人として言語への翻訳を試みる吉増さん。対するのが詩人だからなのか、羽生さんからも感性に富んだ言葉が飛び出してくる。
歩は皮膚、棋譜にも鮮度、考えた指し手への愛着と捨てる決断、粘土のような自在さ、駒が笑うなどなど。

金や銀の鉱物、香は香辛料、幻獣もいるし、角は竜馬、飛車は竜王、桂馬は金にと相手の領域に入れば変化する、吉増さんのボルヘスの『幻獣辞典』の世界に近いという感想に、なるほどと共感する。
文字を負った駒たちが盤上で棋譜を紡ぐ。忍耐、希望、苦難、果敢、躊躇、決断、跳躍。人と人がひとつの棋譜を創造する面白さ。将棋はまったくの素人なので、描かれる奥深さを理解するのは難しいが、無限の物語が広がっていくようでワクワクする。

将棋と詩。向き合うものは違うが、無意識の領域まで降りていって、指し手なり語句なりを掴み取る行為、あるいは意識の表層に浮びくるひらめきを待つ行為は共通している。
話はぎりぎり踏込んでいく先にある狂気の世界にまで及び、羽生さんの語る狂気に触発され、吉増さんまでもが予想もしないほうへ話しが進んでいくのだ。道を極めていこうと、怖れと勇気をもって歩む者同士の共鳴音が響いてくる。それは読むものにとっても怖いと感じる境地だった。

昨年行った羽生さんの講演とか、『決断力』などの自己啓発的意味合いの強い本に比べ、対談者ふたりの内面が率直な言葉で語られている。でも、なかなか理解しずらい内容でもある。
で、結局買うことになる。う〜ん、本が減らないじゃないか。
1997年に放送されたというNHK『未来潮流』、映像版の「盤上の海、詩の宇宙」も観てみたかったなぁ。

2009年1月1日読了
| 将棋関係の本 | 14:54 | comments(0) | trackbacks(0) | | |

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