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*「いのちなりけり」 葉室 麟

葉室 麟
文藝春秋
¥ 1,575
(2008-08)

 
 

葉室麟という作家の名前は今回の直木賞候補に上がるまで知らなかった。
読んでみたら面白かった。凛とした佇まいをみせる時代小説を書く人だと思った。
こんな作家がいたんだなぁ。まだまだ修業がたりない。しからば全国武者修行の旅へ、出てしまったらこうしてブログを書いていることもできないので断念するとして、未読の中に宝が埋もれていそうな時代小説の分野も、読む作家の幅を広げていきたいなと思った。

何度生まれ変わろうとも咲弥殿をお守りいたす。
わが命に代えて生きていただく−−−
天地に仕え、いのちに仕える男、雨宮蔵人
“水戸に名花あり”と湛えられた天源寺家最後の女、咲弥
水戸藩と幕府の暗躍のさなか、数奇な運命により、
引き裂かれた夫婦が再びめぐり合う。
 これは時代小説であり恋愛小説でもある。
天源寺家の婿となった雨宮蔵人と咲弥は一度も情を交わすことなく、その後17年離れ離れで生きることになる。そのふたりが再び江戸で会う機会が巡ってくる。だが、裏には幕府、水戸藩、佐賀藩の支藩小城藩の策謀が渦巻いていて、果たしてふたりはほんとうに再会できるのか、一途な愛は貫けるのかという文字通り命を賭けた清冽な展開に、いつの間にかがんばれ蔵人、走れ蔵人とすっかり蔵人応援隊となっていたのだ。最後の力走はすごかった。恋する男ここにあり。
「何度生まれ変わろうとも咲弥殿をお守りいたす。わが命に代えて生きていただく」、蔵人の言葉はいまの時代ならばちょっと大袈裟かもと思うところ、忠義のために死ぬことも辞さないこの時代だからこそ、武士である蔵人には真の言葉で、なんという殺し文句。
初めて婿殿蔵人と相対した際、風雅を解さぬ無骨な様をみて冷淡な態度に出た咲弥であった。それがささやかな思慕へ、やがてかけがえのないこの世にひとりの男に対する愛へと傾いていく心情の変化も丁寧に描かれている。ふたりの間の桜狩りの逸話が好き。

どうして夫婦であるふたりが長きに渡り離れて暮らすようになったのか。それにはお家事情からくる藩内の騒動がある。
合法的下克上でまんまと備前佐賀藩の藩主となった鍋島家と、もともとの藩主の家系である竜造寺家の本家、あとは竜造寺四家があって、さらに竜造寺庶流にあたる天源寺家の娘が咲弥だった。上意討ちの命を受けた蔵人、その相手がなんと…、といろいろ大変なのだ。

蔵人にとっての17年はこれぞ自分の心だと思う和歌を探す旅でもあった。
咲弥の問いへ答えるため、愛を請うるため。

見た目は無骨な蔵人だけどいのちに仕えるという死生観は武士という枠を越えて自由だ。
幼い頃に島原の乱で父を失い、信じるものを失い、心の底に冷えた感情を抱える黒滝五郎衛門とのラストでの対峙お見事!昔、偶然出会った際の五郎衛門の言葉をしかと受け止めたのだった。

2009年1月30日読了
| 歴史・時代小説 | 00:48 | comments(4) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

私も今回の直木賞で初めて知った方だったんですが、
この作品は思いがけず良かったです〜。
蔵人と咲弥の関係にキュンとし、蔵人に降りかかるさまざまな思惑にハラハラしと、最後まで面白く読むことができました。和歌に込めた武士として、一人の男としての真心がこちらにまで伝わってきましたね!
| エビノート | 2009/02/04 7:52 PM |
エピノートさん、こんばんは。
期せずして面白い本に出会うのは嬉しいですね。
めっけもの、ほくほく感があります。
蔵人のスーパー侍ぶりが凄かったです。強いのなんの。
それより強い咲弥への思いがまたよくて。
蔵人の真心、しっかり受け止めました。
葉室さんの他の作品も気になっています。

| 雪芽 | 2009/02/04 8:35 PM |
雪芽さんこんばんは。全国行脚ではきっと事足りないたまねぎです。163万円貯めてポトスライムの舟に乗り、世界一周でもしてくるべきか。いや、船酔いで読書もままならないのが落ちでしょうから止しときます。
『いのちなりけり』は思わず熱くなってしまう恋愛小説でした。最後は江戸めがけて走り続ける蔵人に「死ぬなよ」と念を送ってましたよ。
| たまねぎ | 2009/02/21 10:58 PM |
たまねぎさん、こんばんは。
163万円で世界一周はすてきだけど、船酔いは嫌ですよね〜
ポトスライムの舟ってどんな舟なのかと、これは本を読まねばなりませんでしょうか。
大人しく自分の家で本を読むのが一番のようです。
まあ、志だけは全国を!世界を!目指せということで。
地味な作品なのに思わず熱くなってしまいますね。
走り続ける蔵人は一途な恋そのものでした。
| 雪芽 | 2009/02/23 7:42 PM |

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