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*「蝉しぐれ」

蝉しぐれ




原作 「蝉しぐれ」 藤沢周平
監督 黒土三男
出演 市川染五郎 木村佳乃 緒形拳 原田美枝子
   今田耕司 ふかわりょう 柄本明
2005年 日本

江戸時代、下級武士の養父によって育てられた牧文四郎。彼は父を誰よりも尊敬していたが、その父は切腹の運命に遭ってしまう。謀反人の子としての汚名を着せられた文四郎は、母を助けながら、質素に暮らしていく。そこには変わらず彼に接する幼なじみたちの姿もあった。数年後、牧家は名誉回復を言い渡される。そんな中、幼い頃から想い続け、今や殿の側室となっていた、ふくが派閥闘争に巻き込まれていることを、文四郎は知るのだった。
以下はネタバレあり。
白き雪が降り、雪の原を渡る風が生み出す雪霞の向こうに、墨絵のような木立が並ぶ。
映画「蝉しぐれ」は冬の風景から始まった。
白い世界はやがて緑の夏へ。蝉しぐれが耳に激しく聞こえてくる。
映像は冬の雪から春の桜、夏の稲穂や木立と、四季折々の日本の美しい風景を繰り返すように映し出していく。
豊かな自然の風景に囲まれ、つつましく根付いて生きる人々がいる。牧親子もそんなごく普通に生きる人達なのだ。
それは隣家に住むふくも同じだったろう。

文四郎の父助左衛門が家の畑で茄子を取るシーンがある。
小さな茄子だ。山形のほうへ旅すると、小茄子の漬物をよく目にする。父の手で取られた茄子は、牧家の食卓を飾るのだろう。平穏な家族の一風景だ。

変わらない自然の美しい風景がある。が、運命は人の生きる風景だけを大きく変えてしまうことがあるものだ。

父と子の対面場面には胸に詰まるものがあった。
「文四郎はわしを恥じてはならん」という父の言葉。
原作でも好きな場面なのだが、自分は恥ずべきことをやったのではなく、義の為にやったのだという、だから自分のことを恥じるなと息子に向って言う助左衛門は父として立派だ。父のこの信念は、文四郎が悲運を強く生きる一助となったのではないか。

切腹した父の遺骸を受け取り、荷車に乗せ一人家路へ向う文四郎。坂道を上がろうとするが、何度試みても疲れ切った身体には上がり切るだけの力がない。
その時陽炎が揺らぐ坂の上から駆けて来たのはふくだった。ふくの登場の仕方はベタだけど感動する。
懸命に荷車を後ろから押すふくの、ひたむきで強い瞳が印象的だ。
文四郎とふく、原作とは違っていたが、一人遺骸を運ぶ文四郎の姿に涙し、無言な中に交わされる二人の心情に涙し、感動的なシーンになっていた。

奉納試合から子役に変わって、市川染五郎が文四郎として登場。
映画の時間的制約もあってだろうと思うが、全体にだいぶ話を端折ってあるので、ストーリーとしては説明不足なところもあるように思えた。
藩のふたつの勢力の攻防の緊迫感はあまり見えてこない。
家老横山さまはすっかり気のいいご隠居風。
与之助も研鑽を積んだ学者という風ではなく、お笑いテイストが強い。原作の三者三様の性格と、変わらぬ友情を持ち成長していく三人が好きだったので残念ではある。映画だけとして考えるなら、窮地を救いに現れる与之助の登場の仕方を含めていいのかとも思う。

花火の夜、ふくが文四郎の袂の袖を握るシーンと、里村派から追われて逃げる時にお福さまが文四郎の手を握るシーン、ここにさり気ないがいまなお続く想いが現れていてよかった。

また時は流れ、文四郎とお福さまの再会。
静かに言葉を交し合ううち、昔抱いた淡い恋の記憶が匂い立つように部屋を満たし、二人を包み込んでいく。その微妙な変化を、市川染五郎と木村佳乃が情感たっぷりに演じて見せてくれる。
最後に文四郎がお福さまではなく、「ふく」と名を呼ぶ、この時の市川染五郎の表情はなんともいえずよかった。

子どもだった頃の回想シーンが流れると、観ていて妙にせつなく、涙したくなるのは荷車を押すふくの瞳のせいだろうか。
子共時代を演じた二人も真摯な演技で好印象だった。
| 映画・国内 | 17:17 | comments(0) | trackbacks(1) | | |

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#36:蝉しぐれ
KAZZのこの映画の評価   いいねっいやぁ〜泣けました こういう映画で感動するようになったって、 やっぱり自分もおじさんなんだぁ〜とちょっとショック 邦画は、やっぱり王道の時代劇なのかな ”たそがれ清兵衛”などで知られる 英雄でも、偉人でも無
| *KAZZの呟き* | 2005/10/13 12:45 PM |
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