本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「キネマの神様」 原田マハ

原田 マハ
文藝春秋
¥ 1,850
(2008-12)

思いもよらない如月の雨、弥生の陽射し、二月なのにアスファルトがみえていた道路は、またすっかり雪の下に埋もれてしまった。よくよく降る雪だことと半ば呆れる。そう簡単に春は来ない。じれったくも行きつ戻りつを繰り返しようやく季節は変わる。
季節に倣うわけではないが本の感想も読み終えたホヤホヤから去年の宿題まで、気分次第の入り乱れた更新になることどうぞご容赦のほどを。

というわけで前置きどおり、今日読み終えたばかりの本の感想を書くことにする。
原田マハさんの本は『カフーを待ちわびて』以来でこれが2冊目。題名からも想像されるように物語の中にはたくさんの映画のタイトルが出てくる。劇場に足を運んで観た作品もある。思い出される場面の数々と一緒に当時の感動も甦り懐かしさでいっぱいになった。
映画を愛する気持ちが文章から溢れ出していて、これは映画の好きな人にはたまらなく嬉しく、うんうんと頷きながら共感できる作品なんじゃないかなと思った。
キネマの神様が運んできた奇跡によって再生していく家族の絆という、温かく沁みるテーマもある。
これはほんとうに優しくて、ぽっかりできた日だまりに気持ちよく寝そべっているような、厳しい冬をいっとき忘れさせてくれる湯たんぽみたいな温もりの伝わる素敵な作品だった。
だからほんわか幸せな日曜日の夜だ。

壊れかけた家族を“映画の神様”は救えるのか?
四十を前に、突然会社を辞めた娘。映画とギャンブルに依存するダメな父。二人に舞い降りた奇跡とはーーー
大手企業の課長職にまでなりながらあらぬ噂に嫌気がさして40歳を前にして仕事を辞めた娘。映画とギャンブルが趣味の父は心臓疾患で緊急入院後多額の借金が発覚。いつも謝ってばかりの母。三人三様、崩壊しかけた家族を救うことになったのは、父のちょっとした行動がきっかけだった。

映画に、映画を愛する気持ちに、ひとつまたひとつと気持ちの輪が繋がってゆき大きな環になっていく、その予想外の成りゆきに驚きつつ心躍らせた。ありえなくてもいい、心のどこかでこんな奇跡を願っている。ユーモアいっぱいの文章に自然と顔が綻び、笑っているうちに夢のような奇跡と感動に出会う。この楽しさ。まるで自分が喧騒とお祭騒ぎの中に紛れ込んでしまったようだ。

主人公歩の父ゴウ(これはブログ上のHNである)と謎のブロガー、ローズ・バッドが展開する映画評バトルは、両者の意見どちらにも頷けてしまう。好敵手から映画を愛する友へ、親愛の情を深めていく関係が素敵だった。顔も本名も、互いの素性は知らない。それでも誰よりも必要としている。ローズ・バッドの素顔、最後の願い、ゴウのせつなる行動、これはどうしたってうるうるとなってしまう。

テアトル銀幕での上映会、ローズ・バッドが人生最良の映画として選んだのはなにか、一瞬その答えがわからずあたふたとする。ちゃんと本の中にその答えはあった。危うく思い悩んで今夜眠れなくなるところだった。

作中に出てきた映画の話を少し。
なんといっても『ニュー・シネマ・パラダイス』!時が過ぎても忘れられない映画はいくつかあるがこの映画もそのひとつ。『テルマ&ルイーズ』は衝撃のラスト、なのに突き抜けて清々しさがあった。ブラピも登場。この時は小汚い兄ちゃんだった記憶が、汗。その他も名画揃いで懐かしい作品がたくさんあった。映画はそんなに多く観ているほうではないが、昔はいまより映画館に映画を観に行っていたことを思い出した。DVDは重宝で有り難い存在だけど、映画館で観る映画はいいものだ。

 2009年2月22日読了
| 原田マハ | 23:52 | comments(10) | trackbacks(6) | | |

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♯ コメント

こんばんは。
映画に対する愛情だけでなく
他の人を思いやる気持ちがいっぱいの物語でした。
ゴウとローズ・バッドのやりとり
すごく面白かったですね。
まるで二人がこの世に存在するかのように感じました。
| なな | 2009/02/23 8:48 PM |
こんばんは。
ちょうど、いろんな映画をいっぱい観ていた時期の
作品が山のように出てきて、
懐かしさで、とっても嬉しくなりました。
登場人物たちの映画への愛情。
人々の間の善意と優しさが、心に沁みる一冊でした。

人生最良の映画、わかりましたね。
そして、ゴウとローズ・バッドの会話
Shall we ダンス?まで出てきて、楽しかったです。

映画の話になると、つい長くなってしまいます(恥)。
| 藍色 | 2009/02/24 2:17 AM |
こんばんは。
この作品って不思議だな〜と思いました。
もちろん面白かったのですが、何故か映画を語りたくなってしまう。
特に「ニュー・シネマ・パラダイス」はやばいです。
トトはどんな大人になったのでしょうね(笑)
| しんちゃん | 2009/02/24 6:28 PM |
うわぁ〜、ちゃんと答えが作品の中にあったんですね。
ちっとも分からなかった〜(^_^;)
映画好きな人も、そうじゃない人も、作中に登場した映画をはじめ、いろんな映画を映画館で観てみたくなるに違いないです!
そのくらい映画への愛情が詰まっていて、本当に素敵な作品でした。
| エビノート | 2009/02/24 9:07 PM |
ななさん、こんばんは。
ゴウとローズ・バッド、実際にこの世のどこかにいるのでは、と思わせてくれましたね。
ふたりのやりとりはもっともっと読みたかったです。
誰かが誰かを思う気持ち、優しく沁みてきました。
| 雪芽 | 2009/02/25 9:26 PM |
藍色さん、こんばんは。
溢れ出る映画への愛情と人間同士の思いやり。
本そのものの面白さに加え、思い出す懐かしい数々の名シーン。
二つの合わせ技で余計胸がいっぱいでした。
新旧幅広く取り上げたふたりの会話は楽しかったですね。
人生最良の映画、映画を愛する彼らの選択に頷きました。
映画は人を饒舌にさせる。だって楽しいですから!
| 雪芽 | 2009/02/25 9:27 PM |
しんちゃん、こんばんは。
そうなんですよ!映画を語りたくなるんですよね。
これもキネマの神様の力なのか。
トト少年、いまではかっこいいちょいワルおやじか、
はたまた平穏な暮らしを楽しんでいるか。
映画の中の愛くるしい瞳が浮びます。
| 雪芽 | 2009/02/25 9:28 PM |
エピノートさん、こんばんは。
そうです、答えは本の中に!ですよ〜
映画が好きかどうかにかかわらず楽しめる作品でしたね。
読み終わった頃には映画館へ行こう気分に染まってました。
しをんさんの文楽もそうですが、大いなる情熱は他の人の気持ちまで動かすパワーがあります。
| 雪芽 | 2009/02/25 9:28 PM |
雪芽さん、おはようございます^^
TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m

この小説、ホントに映画好きにはたまらないものでした!
映画好きの友人に薦めて、読んだ友人から感謝のメールも来ましたよ^^
最近シネコンで、名画が再上映される機会が増えてきました!
とっても嬉しいことですが、仕事をしていると、
朝一の上映はなかなかいけないです><
夜かレイトにしてほしいですよ(笑)
| cyaz | 2013/04/15 8:25 AM |
cyazさん、TBとコメントありがとうございます。
(お返事が遅くなってしまいました。ごめんなさい)
最近は「午前十時の映画祭」とかありますが、平日は無理だし……
観たい名画がいろいろあるんですけどね。
ほんと夜にも上映して欲しいです。
私が一番観たいのは「サンドイッチの年」
でも、DVDにもなっていなくて幻の作品です。
cyazさんは映画たくさん観ていらっしゃいますね。
今度ゆっくりブログを読ませて頂きたいなと思っています。
| 雪芽 | 2013/04/29 3:48 PM |

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