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*「ブラザー・サン シスター・ムーン」 恩田 陸

同じ青春小説といっても高校生と大学生では、抱える空気感がずいぶんと違うものだと感じた。『夜のピクニック』の高校生たちは境界線上で、希望と不安を行き来しながら揺れ動いており、未定形な柔軟さが持つ瑞々しい視点が魅力的でとてもよかったのだ。

3人の登場人物がそれぞれの視点で自分達の大学生活を振り返る本作。4年間が社会へ出る前の猶予期間、インターバルであることを彼らは充分にわかっている。もちろんそれなりの不安はあるし、苛立ちのようなものもないわけではない。
とはいえ、繊細な脆さは高校時代を描いた作品より薄まっているようにみえた。ひとり社会の大海へ泳ぎ出す距離が、実感として測れるほどに近くに迫っているからなのだろうか。夢想より現実感が増していく。リアルさをどこかで受け入れつつある、もう子どもじゃいられない。
青春小説である。でも、『夜のピクニック』の香りを期待して読むと、肩透かしをくらった気分になるのではと思う。

 ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを――
本と映画と音楽……それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。
『夜のピクニック』から4年、恩田陸が贈る、青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生!
彼らが過ごした時代の空気を感じることのできる作品だ。バブルの頃、就職氷河期なんて想像もしない大学生活。最近の大学生事情はわからないが、少なくともいまよりは猶予期間を猶予期間として過ごせた時代だろう。
実をいうと一部の始めのほうで挫折しそうになる。
話がどこへ向かおうとしているのかもどかしく、主人公綾音の語り口も人物像もあまり好きではないというのもある。でも、なんとかがんばって読む。かんばって読まなくてもいいけど、最初の苦しさを越えると面白くなる本もあるので、ここは諦め悪くいってみる。
三部を比べてみると綾音の一部と一の三部は低体温、逆に衛の二部は体温が常に微熱状態、時に高熱といった感じで、一番面白く読めたのはジャズバンドに熱中する衛を描いた二部の「青い花」だった。

3人を結びつけることになる高一の課外授業。そこで体験した空から蛇が落ちてくる強烈で不思議な出来事も、視点が変わると後々思い出す印象が違っていて、同じ体験なんてないのかもしれないとさえ思ってしまった。
ただ、空から蛇が落ちてきて川で泳いでいた、昼間3人が歩いた町が無人だったという、面白そうなエピソードもいかされているかどうか。

感想を書くために拾い読みしてみると、好きではなかった(拘る)綾音の心情さえも肯定できる部分はあったので、再読すれば違った感想を持つことになるかもしれない。時代が反映された青春小説といえるが、恩田さんの作品としては物足りなさの残る作品というのが正直なところだ。

第一部 あいつと私 楡崎綾音
第二部 青い花 戸崎衛 オズマバンド あの三叉路
第三部 陽のあたる場所 箱崎一

 2009年4月18日読了
| 恩田陸 | 18:14 | comments(4) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

その通り!

肩透かしを食いました(^^ゞ
| じゅずじ | 2009/05/11 6:29 PM |
じゅずじさん、こんばんは。
恩田さんは好きな作家さんだけに、読む前の期待値が大きいということもあるのでしょうか。
きっと何か起こるはず、はず…、はずだけど、あれ?
まあ、こんなこともあります。
でも、時代の香りが懐かしかった。
| 雪芽 | 2009/05/14 6:43 PM |
こちらにも。
私も最初で挫折しそうになりました。
恩田作品だから頑張って読んでいたのですが^^;
時代背景もついていけないし、3人は何を伝えようとしているのかも分からないですし、残念でした。
学生ものかと思ってたのですが、ちがいましたし^^;
| 苗坊 | 2009/05/24 4:44 PM |
苗坊さん、こちらにもありがとうございます。
わけわからんという気持ちで読み始めたのがいけなかのか。
なんだかノリきれず。
サクサクと読んで、モヤモヤっとした疑問が残ってしまいました。
空から降ってきた蛇が何かミステリーっぽく物語りに絡むのかと思っていたんですが。
それこそミステリーの読み過ぎでしょうか、汗
| 雪芽 | 2009/05/24 10:16 PM |

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【ブラザー・サン シスター・ムーン】 恩田陸 著
学生街の喫茶店…そういえばあの頃、喫茶店のマッチ集めが趣味だった  まずは来訪記念のポチッ[:ひらめき:] [:next:] ブログランキング[:右斜め上:]【あらすじ】ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを――本と映画と音楽……それさえあれば幸せだ
| じゅずじの旦那 | 2009/05/11 6:29 PM |
ブラザー・サン シスター・ムーン 恩田陸
ブラザー・サン シスター・ムーン ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを―― 本と映画と音楽……それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。 最初の印象は、「この作品は本当に恩田さんの書いた作品なのか…」でした。 「夜のピクニック」か
| 苗坊の徒然日記 | 2009/05/24 4:43 PM |
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