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*「いっちばん」 畠中 恵

畠中 恵
新潮社
¥ 1,470
(2008-07)

 やっと図書館の順番が回ってきた。お待ちしてました!

所帯を持って自分の店を出し独立した兄の松之助。幼馴染みの栄吉は他の店へ菓子作りの修業に行っている。それぞれが道を定め歩き出した中、己ひとりが今日も元気に寝込む有様で我が身のことさえままならない。ひとりぽつねんと取り残されたようで寂しさもある一太郎。
さて、どうしたものか。どうするものか。気になる若だんな一太郎のその後。

摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる日本橋大店の若だんな・一太郎に持ち込まれるは、訳ありの頼み事やらお江戸を騒がす難事件。お馴染みの妖がオールキャストで活躍する「いっちばん」、厚化粧のお雛ちゃんの素顔が明らかになる「ひなのちよがみ」の他三編を収録。大人気「しゃばけ」シリーズ第七弾。

親しい人が自分のもとから去っていく、そんな寂しい心情がひょこっと顔を覗かせたのが表題作の「いっちばん」だ。
岡っ引きの日限の旦那が陥った苦境を解決すべく事件に考えを巡らす若だんなと、若だんなを一番に喜ばせることを競う妖たちの奔走。ふたつの行動がより合わさって謎解きの糸口が見えてくるのだが、他の短編でも同様に若だんな、ふたりの兄や、妖たちなどお馴染の面々で交わされるやり取りは、相変わらずほのぼのとしてしまう。
ほっこりほっこり、このほっこり感が好きなんですよ。

常々、同じお江戸の安野屋に修業に行った栄吉を気にかけている若だんなであるが、「餡子は甘いか」は栄吉の修業先での話。
菓子司三春屋に生まれながら、菓子には肝心要の餡作りがどうしても上手くいかない栄吉。これでは跡取りとしての先行きが心配される。意を決し他の店に修業に出た栄吉は下働きも否とせず、真面目に日々に励んでいる様子。不器用でも愚直なまでに懸命に生きる市井の人々の姿は、江戸人情ものにはかかせない要素である。
ところが才能の違いを思い知らされる出来事が幾重にも重なって、栄吉を唯一支えてきた菓子作りへの情熱も大きく揺らぐことになる。誰もが直面するであろう迷い、不安、焦燥。あるある、そんなことってあるもんだよと共感を覚え、栄吉の涙を無言で包み込む若だんなの優しさにしんみり。
見守る大人たちが栄吉にかける言葉の温かみと含蓄もよい。
どんなことでも長く続けていくことは容易ではなく、苦労の分だけ味わえる喜びが先にある。とすれば苦労も捨てたもんじゃない。継続させるのは情熱。餡子は甘いがしょっぱく苦い経験をした栄吉は、確かに食いしん坊の妖たちも呆れるほど餡作りが下手。それでも情熱はひと一倍持ち合わせている。まだまだ先は長そうではあるが、いつかきっとね。
栄吉といい、松之助といい、不器用でも懸命にがんばっているキャラにはつい熱くなってしまう。

江戸に新しく店を出す小乃屋と、西岡屋、長崎屋、みっつのお店の品比べにおける商売の結果が痛快だった「いっぷく」では、新しい出会いとまさかの再会があってほろりとくる。
「天狗の使い魔」は管狐を取り戻すための手段として天狗に攫われた若だんな。狛犬と狐達の争い事まで絡まって、この騒動上手く収められるのか。
「ひなのちよがみ」はお店の再建に自ら動き出した紅白粉問屋一色屋のお雛ちゃん。許婚の正三郎との関係が新しい求婚者の出現もあってややこしいことに。

シリーズものは長く続くほどマンネリ化しがち。でも、若だんな自身には変化が少なくても、周りの登城人物たちの状況がどんどん変わっていくこともあって、お馴染の展開でも面白く読めてしまうし、今回もいつもながら面白かった。亀スピードとはいえ成長している若だんなに、今後大きな変化が訪れる時がシリーズとしての変わり目、勝負どころなのかも。それとも変わらずにいくのか。
なんにせよ楽しみなシリーズである。

2009年5月23日読了
| 畠中恵 | 14:54 | comments(0) | trackbacks(1) | | |

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しゃばけシリーズで脇役だったつくもがみが主役です。姉弟二人が切り盛りする「出雲屋」。鍋、釜、布団、何でも貸し出す損料屋ですが、貸し出す品は、口をきく古き品々の「付喪神」です。
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