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*「西の魔女が死んだ」 梨木香歩

西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ
梨木 香歩
中学に進んでまもなくの五月、学校に行くことが出来なくなってしまったまい。
きっかけは喘息の発作。
まもなく喘息は治まるが、学校へは行けなかった。
人が躓く時、些細なきっかけが躓きの小石となるものだ。
振り返った時に初めて気づく、ああ、あれが、と。
きっかけなんて、そんなものだ。

ママはまいを西の魔女のもとへ預けることにする。
西の魔女、ママのママ、まいの大好きなおばあちゃんのもとで過ごした一ケ月あまりの日々。
まいの魔女修業の日々でもあった。
だって、おばあちゃんは「本物の魔女」なのだから。まいはおばあちゃんの孫なのだから。

自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力


これが魔女になるために一番大切なことだと、おばあちゃんはまいに教える。
自然に溢れる風景に溶け込むような生活は、いたってシンプルで、シンプルさ故にとても豊かに感じられる。
裏の畑で採れたレタスとキンレンカはサンドイッチに、飼っている鶏が生んだ卵でハムエッグ、野いちごでワイルドストロベリージャムを手作り、素足でたらいのシーツを足踏み洗濯、おばあちゃん手縫いのエプロン。

西の魔女は荒唐無稽な魔法なんか仰々しくお披露目しない。
呪文?ない、ない。
あるのは、自分で決める、ということだけ。

「人は死んだらどうなるの」


まいの疑問におばあちゃんは、魂のありようを話して聞かせる。身体と魂のこと、魂の成長、おばあちゃんの話には生きることの喜びと光がある。
おばあちゃんとまいはこの時、ある約束をする。

変化を前もって知ることは、私からsurprise(サプライズ)の楽しみを奪います。だから必要ないのです。


日常という日々に驚きを見出し、楽しむ、おばあちゃんの生活者としての視点がそこにある。

おばあちゃんの言葉には、生きていく、生活していく上で、大切なこと、物事の本質が含まれているように思う。
必要として心が開かれた時、響いてくる言葉。
忙しく通り過ぎてしまえば気づかない草木花にも名前はある。行間に咲く草花の名前に目を止めて、聞いたこともない名前を知る。
例えば、おじいちゃんの好きだった銀龍草(ギンリヨウソウ)。
自分にとって名もない花が、ある時から名前のついた意味のある花になるように、この物語から自分にとって大切に思える言葉を摘み取ることが出来るかもしれない。
それは読む人次第。大切なのは自分で決めること。

物語上はすでにこの世にいないおじいちゃん、鉱物が大好きな人だった。
鉱物好きなおじいちゃんを好きだったまいのパパのように、おじいちゃんに親近感を感じるのは、自分が同じ鉱物好きだからだろうか。

西の魔女が死んだ。
残された者は、辛い、哀しい、寂しい気持ちを味わうのが常だ。
「アイ、ノウ」が口癖で、いつも明るいユーモアに溢れたおばあちゃんは、最後の最後に、まいに素敵な愛に満ちたあるものを残していってくれる。
ちゃんとまいとの約束を忘れずにいてくれたのだ。
さて、それはなんでしょう。

読み終わった時、口元がほころぶような、癒されていく気持ちがしたのは、西の魔女の魔法?
| 梨木香歩 | 23:37 | comments(4) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

コメントありがとうございました
掛け値なしで嬉しかったです。
なんだか照れちゃいますけど(笑)、
とても心のこもったメッセージ残してくださって。
O(≧▽≦)O ワーイ♪

おまけに雪芽さんのサイトで、
梨木さんの本見つけたのが、これまた嬉しくって。

この作品、自分は本棚に隠し持っていたりします。
買ったはいいものの、まだ未読で気になってる作品で。
他にもそういう方がいたので、これまた驚いたって
オチですけど(笑)。

でも、駄目〜。
読みたくなってしまう、雪芽さんの解説読んでると。
困ったわ(笑)。
私がいただいたコメントをそのまま、お返ししたく
なってしまうくらい、核心をついた解説されてるなって
感じられるから。
(あ、でも、もったいないので返さないですよ〜(笑))

文章って人柄出ますよね。
ちゃんと地に足がついていて、本質を見抜く能力がないと
こういう文章は、ぜったいに出てきませんもん。
おまけに、言いたい気持がきちんと言葉に置き換えて
あって。
しばし感動しちゃった。
やっぱりすごいなって。

週末いくつか解説UPなさるとかって?
どうしよう。
またお邪魔してしまうかもです〜(笑)
| littleapple | 2005/10/21 9:55 PM |
こんばんは、さっそくコメントありがとうございます!
嬉しいお言葉、素直に頂戴しました。
週末は調子に乗ってたくさん書いてしまうかも(笑)
それにしても、いつも簡潔に感想を書くという試みは成功しません、汗

この本はlittleappleさんのブログにお邪魔した時、梨木さんの「裏庭」が取り上げられていたので、本棚に置きっぱなしだったのを思い出したんです。

各出版社でやっていた夏の文庫フェア。
その時に購入した本の一冊でした。
他にも森絵都さんの「アーモンド入りチョコレートのワルツ」も未読。
最近積読、未読が多いわぁ。
今日はノベルズ版「白鳥異伝」も購入。
こっちも読みたいし、困った、一度に一冊しか読めない(爆)

「夏の庭」、「ポプラの秋」の湯本香樹実さんの「西日の町」が、文春文庫の新刊として出ていましたよ。
| 雪芽 | 2005/10/22 12:20 AM |
(*^¬^)ノ∀ コンバンワー
TB&コメントありがとうございま〜す
私もさせて……って思ったら、過去にコメントが残してあったのですね。
積読本宣言してあるし(笑)

この本って、実はすごく深かったんだ、って、レビューを拝見して、改めて思いました。
いつも感じるんです。
自分はどこまで、作者の言いたかったことを受け止めることができるのかなって。
それが、本を読む楽しみでもあるのだけど。
なんていうのかしら。
宝探しみたいな感じがして。

「この物語から自分にとって大切に思える言葉を摘み取ることが出来るかもしれない」
梨木さんが放った、一文一文の言葉の花たち。
それに、たくさんの作家さんの言葉の花を挿して、
いつか、自分の花束になったら良いなって思います。

そういえば、昨日、実家で雪が降ったんです。
雪と聞くと思い出してしまうのもいつも本(笑)。
クロスファイヤーのラストシーンだとか、蒲生邸事件だとかって宮部みゆきさんの作品が多いのだけど。

おおっと!脱線してしまうとこでした。
(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪。
冒頭で言いかけていた、TBさせていただきますね。
よろしくお願いしま〜す
| litteleapple | 2006/01/11 9:42 PM |
littleappleさん、TB&コメントして頂いたのにレスが遅くなってすみませ〜ん!
ちょっと宇宙の果てにお散歩に行ってたんです。
なんて冗談はさておき、雪国に雪はつきもの、毎年雪は降るし雪はねも日常化しているわけですが、連日の雪はねで背中までコリコリになってしまって、PCはアウトでした。
やっと還って来れました。

実を申しますと宮部みゆきさんの本は、「レベル7」と「模倣犯」しか読んだことがないんです。
驚きでしょ、人気作家の宮部みゆきをですよ(笑)
littleappleさんが上げている二つの作品には、印象的な雪のシーンが出てくるんですね。それはなんて食指に触れる言葉でしょう。
こんなにも雪がどっさりある今読むにはぴったりかもしれないですね。
メモメモ、と。

やっと去年読んだ「白鳥異伝」の感想を書いたので、
これで心置きなく「薄紅天女」が読めます。
感想書くまでは読まないって決めていたので。
| 雪芽 | 2006/01/15 3:50 PM |

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西の魔女が死んだ
しばらくの間、積ん読本だった、この作品。 ああ。 もったいないことをしていたんだ、って思った。 梨木香歩さんというと、淡々とした描写の中に 小さな世界を編んでいる、というイ
| 備 忘 録 | 2006/01/11 9:42 PM |
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