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*「プリンセス・トヨトミ」 万城目 学

万城目 学
文藝春秋
¥ 1,650
(2009-02-26)

冷蔵庫にアイスは入っている。準備万端これでヨシ、っと。 

このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった―。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。

大阪全停止。ありえないことが起こってしまうのが小説の面白さ。ドミノ倒しのように『合図』が大阪の街を駆け巡る。時代は顔を変え現代に移り変わろうと、脈々と受け継がれてきた意志がある。守ろうとする者たち、隠された事実に真っ向から挑む者たち。赤く燃える大阪城夜の決戦へ向け、新幹線は動き出す。

 京都、奈良ときて、次はお好み焼きの街、たこ焼きの街と、浮ぶは食べ物のことばかりという食いしん坊も満足の大阪が舞台。その大阪にあるさして大きくもない空堀商店街とお堅い会計監査院、どこに接点が生まれるのだろうと思って読んでいたら、とてつもない秘密が隠されていたのにはビックリ行天之助。日本国さえ揺るがすほどの大ボラ、いや見えている現実だけが現実じゃないのかもしれないし、もしかして自分が普段見ているあの場所にだって。

なぜそれが必要なのか。
ほんとうに守るべきものは父から息子へという繋がりであり、伝えていくという行為そのもの。『合図』が大阪全域に広まっていく場面はありえなさへの驚きや興奮よりも、その人に連なる父、そのまた父、さらにまたと過去からいまに伝えられてきた意志に小さな感動を味わう。なんだかんだでこういうのっていいな。その分はぐれ親子は悲しいのである。
男たちの壮大な夢を見守る女たちのおおらかさ、肝の座り具合も頼もしかった。

会計監査院チームの「鬼の松平」、「ミラクル鳥居」、モデル並の美貌を持つ才女旭・ゲーンズブール、てんでバラバラな個性のぶつかり合い、でも、微妙にバランスが取れている。
注目なのは松平副長。「鬼の松平」とアイスは切っても切れない仲。厳しく眉間にシワを寄せていても手にはアイス。塩キャラメルのような意外性とギャップがたまらない。「鬼の松平」を思い浮かべるとアイスが食べたくなるという、ダイエット中の人には要注意人物でもある。

空堀商店街に住む大輔と茶子は幼なじみの中学生。
女の子になりたいという意志を通すため、周囲の目や暴力に向かっていく大輔、たとえセーラー服は似合わなくてもすてきに輝いてみえる。そんな大輔を守ろうとする元気過ぎるほど元気な茶子も大活躍で爽快。時々暴走気味だけど(笑)
登場人物の名前は戦国時代好きなら思わずニヤリとなるところだ。

デビュー作の『鴨川ホルモー』が抱腹絶倒、大爆笑であまりに強烈過ぎたせいか、万城目さんの作品を読むときはあの笑いを期待してしまう。期待し過ぎて笑いの濃度が少ないと物足りなく感じてしまう。『ホルモー六景』の「長持の恋」のように泣ける話も充分読ませてくれる作家さんなので、あまり笑いにばかり期待をかけ過ぎないようにしなくては。
ああ、もうアイス何本目だ。このへんでさようなら、アイスの松平さま。

2009年2月28日読了
| 万城目学 | 23:10 | comments(9) | trackbacks(5) | | |

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♯ コメント

こんばんは。雪芽さんは、アイスクリームでしたか。私はお好み焼きに垂涎でした。
主役はほとんど松平さんだった気がします。
抱腹絶倒ではないけれど、時間がたつほど、この本よかったなーという気持ちが高まっています。
| 香桑 | 2009/06/06 10:42 PM |
香桑さんはお好み焼きだったんですね〜
大阪で食べたお好み焼き美味しかったなぁ。
思い出して食べたくなりましたが、手軽なアイスに手がいきました。
一時の笑いではなくあとあと沁みてくる話ですね。
のちのち思い出す親の懐かしさにも似て。
| 雪芽 | 2009/06/07 7:36 PM |
雪芽さん☆おはようございます
これは「大阪」だからこそ成立する物語ですねぇ。
お笑いが目立ってしまうけど、実は家族とは?、仲間とは?ってことを考えさせてくれる物語だったなぁって思いました。
ところで、わたしは小倉アイスモナカを食べたくなっちゃいました!
| Roko | 2009/06/16 8:00 AM |
Rokoさん、こんばんは。
大阪に行った時にお城見学しておけばよかったなぁと今更ながら悔やまれます。
大阪らしいお笑いや名物の「粉もの」の中に、しっかり人と人の繋がりを描いて、またそれがじんわりくるという、後味がとてもよかったです。
Rokoさんは小倉アイスモナカでしたか。
それも美味しそう!
私はうまか棒とかガリガリ君とかでした。
| 雪芽 | 2009/06/17 10:58 PM |
やはり…
先日大阪へ行ったとき、大阪城へ行って来るべきだったと後悔(T_T)

それにしても、やはり男は女の手のひらで遊ばれてるんですね(笑
| じゅずじ | 2009/06/24 11:40 AM |
じゅずじさん、こんばんは。
再度の大阪上陸はいつになるのやら。
行ける時に行っておくべきですよね有名処には。
女たちの動きがないなぁと思っていたから、
最後でそうだよねと納得でした。
いや〜、さすが逞しいです。
| 雪芽 | 2009/06/25 9:39 PM |
こんばんわ。TBさせていただきました。
面白かったです^^
京都、奈良と来て大阪はこう来たかという感じです。
非現実的な話だとは思いますが、何だか実際にありそうな気がしてちょっとドキドキ^^
私は女だからいけないんだーとちょっと残念に思いました。
| 苗坊 | 2009/06/27 12:03 AM |
す、すみません。TB1つ間違えて送ってしまったので、消去してください。
ごめんなさい><
| 苗坊 | 2009/06/27 12:12 AM |
苗坊さん、こんばんは。
京都、奈良、大阪、万城目トライアングル完成ですね。
ありえないだろうと思っても、大阪ならばと思わせてしまうのはなぜでしょう(笑)
父から息子の伝承には立ち入れないですね。
でも、わかっていて知らぬふり、男たちを温かく見守る女の側も案外面白いかもと思いました。
| 雪芽 | 2009/06/28 5:37 PM |

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