本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
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*「厭魅の如き憑くもの」 三津田信三

ひと口に“怖い”といってもその“怖い”に含まれるコワサの意味合いは千差万別。対象となるものがはっきりしていて、わかったうえでの怖さもあれば、なにか定かでないものの存在に怯える怖さもあろう。
たまねぎさんちのブログ「今更なんですが本の話」で見かけて手にしたこの本は、気配に潜む怖さ、見えないはずのものを目にしてしまう怖さをぞんぶんに味わうことができるホラーミステリーだ。
神々櫛村。谺呀治家と神櫛家、二つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶」シリーズ第1長編。
 おどろおどろしい世界へようこそ!
と、陽気に出迎えてくれるはずもない古い因習が蔓延る村へ取材に出向いた怪奇幻想作家・刀城言耶は、判じ物のような異様な連続殺人に遭遇することになる。日記、取材ノート、記述録で複数の視点から綴られていく事件のあらましであるが、巧妙な仕掛けに唸る。
最後二転三転する真相には翻弄されっぱなしで、指差された時にはまるで自分にその指の先が向いているような、見えないはずなのに見つかっちゃった、とドッキリ。えっ!ワタシですか?別に覗き見しているわけではなく、第三者として本を読んでいるだけなのになぜか慌てる自分が可笑しいが。

ミステリーとしてよりもむしろ、白の家である神櫛(かみぐし)家と憑物筋である黒の家の谺呀治(かがち)家の成り立ちや憑物筋ができる背景的構図、カカシ様や厭魅(まじもの)、神隠しといった民俗学を絡めた話の部分のほうについつい興味がいってしまって、巻末の参考文献を追ってみたくなった。
作者によって綿密に創り上げられた村には濃密な空気が立ち込めている。村人を支配する信仰。闇がいまよりももっと暗く、半ば隔離された狭い村社会だからこそ成り立つ世界。読んでいる時は怖さが募るが、本を閉じてしまえば世界は切り離されている、はずだ。見えない見えない、何も見えないぞ、と。

連三郎が子どもの頃に体験した兄との冒険、その時感じた不安や恐怖感の心理描写が秀逸だ。行くも戻るも怖い。何かが迫ってくる恐怖。
コワイ、コワイ、コワイ。逃げろ、逃げろ、逃げろ。
連三郎ばかりでなく、登場人物たちの胸の内に起こる恐怖心をなぞりながら、後戻りできなくなっている。止められない止まらない。ホラーは嫌いだ〜!
そのくせ読んでしまうのがなんとも。
最後の最後に残る恐怖の余韻。これも怖かった。

ひたひたと寄せる恐怖にたっぷり浸ることができた読書だった。

2009年6月13日読了
| ■ま行の作家■ | 18:52 | comments(4) | trackbacks(2) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんは(^^)。
いやぁ〜、禍々しかったですねぇ・・・。
「怖いよ怖いよ怖いよ・・・」とエンドレスで呟いてしまうような、怖ろしさ。
何より、ラストですべてがひっくり返ってしまう、刀城の気付き・・・こ、怖かったですぅ〜。
| 水無月・R | 2009/06/14 10:10 PM |
水無月・Rさん、こんばんは。
どうして最後に気づいてしまうの!!って思いましたよ。
やめて〜、怖いよ〜
と目をつぶると真っ暗でそれも怖いし。
見ないようにしても目に入ってしまうって嫌ですよね。
文章を頭の中でイメージしたくないと思うけど、浮んでくる。
背筋を這い上がる怖さでした。
続きもありますね。読まなくちゃ!
| 雪芽 | 2009/06/15 12:19 AM |
おどろおどろしい世界へようこそ。。。


ホラーが似合う季節になってきましたね。といいますか、そんなになるまで返信が遅れて申し訳ありません。
でもけたたましく鳴り響く蝉の音や、窓を叩く夏の夜の嵐など、ホラーと名探偵身はぴったりです。
続編もなかなか怖いですよ。来る、来ると予感を感じながら、いざ来た瞬間には思わず叫びたくなるほどに……


| たまねぎ | 2009/08/10 5:45 PM |
夏になるとホラーが読みたく思うのはどうしてでしょうか。ホラーと夏の因果関係は、と余計なことを考えずに背筋ヒンヤリ、鳥肌たてながら読むのがいいですね。
たまねぎさんも活動を再開されたようで何よりです。お待ちしておりました。
続編も怖さ請け合いですか。
嫌だなぁ、怖いのは。夏終っちゃうし。
秋にもホラーは似合うでしょうか。
| 雪芽 | 2009/08/16 10:55 PM |

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『厭魅の如き憑くもの』/三津田信三 ◎
お・・・おどろおどろしいぃ〜。 戦後間もなくの混乱期、とある山の奥にある、神々櫛村に続く殺人事件。同じ姿をした、村の守り神「カカシ様」と忌むべき存在「厭魅(まじもの)」。代々、美しい女性双生児の続く、憑きもの落としの巫女家系。
| 蒼のほとりで書に溺れ。 | 2009/06/14 10:05 PM |
厭魅の如き憑くもの  三津田信三
三津田さんの刀城言耶シリーズ第一弾『厭魅の如き憑くもの』です。文庫になるのを待ってましたよ。 さて、事件が起こるのは蛇骨山脈の奥、九供山と哥々山という二つの山に挟まれた神々櫛村。古くからの大地主で村民からは「白い家」とも呼ばれる神櫛家。そしてその神
| 今更なんですがの本の話 | 2009/08/10 4:56 PM |
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